Z世代のファッション観から読み解く職場のモチベーション・マネジメント

―あなたの職場の服装ルールで、Z世代のやる気は変わるかも?
「なんでこの服じゃなきゃいけないの?」「職場でオシャレを楽しんじゃダメ?」
“自分らしさ”を大切にするZ世代にとって、職場の服装ルールはやる気に関わる重要テーマの一つ。
例えば自由に見えるビジネスカジュアルも、Z世代は「浮かないか」「注意されないか」といった周囲の視線に気を配りながら慎重に選んでいるかもしれません。
株式会社ザ・ゴールでは、全国の20~50代を対象に「職場ファッションとモチベーションの関係」に関する調査を実施。Z世代の本音に耳を傾けることで、これからの職場服装ルール、そして若手との向き合い方に新たなヒントが見えてきました。
若手のモチベーションやマネジメントに課題を感じている方も、ぜひお役立てください。
Topic1. 曖昧なドレスコードはZ世代のストレスの元?
まずは職場の服装タイプ別に、その服装に対する「不満度」を調査しました。<data1-1>
<data1-1>職場服装への不満率(着用者ベース)
全体では「制服・ユニフォーム(24.9%)」や「スーツ(20.6%)」などフォーマルな服装で働く人ほど職場服装への不満が高まっていることがわかります。一方で、Z世代(20代)ではどのような服装においても全体的に不満率が高い傾向が見られました。中でも「ビジネスカジュアル」着用者の不満は30.0%と突出しており、30~50代とのギャップは+17.7ポイントにのぼります。一方で「制服・ユニフォーム」着用者の不満はZ世代で20.8%と比較的低く、30~50代との差は-7.1pt。
Z世代は、自由度が高いようで判断の難しい服装にストレスを感じる一方、ルールが明確なスタイルには安心感を抱いている様子が伺えます。「どこまでがOKか分からず気を遣う」「職場用の服にお金がかかるのが負担」といった声も背景にありそうです。
また、一般的な職業に対する服装の「許容度」についても、0点(許容できない)~10点(自由で構わない)で評価を聴取しました。

<data1-2>一般職業への服装許容度(10段階評価)
全体の平均は5.2点。服装のカジュアル化が進む現代においても、ある程度の人が職業にふさわしい服装を求める傾向が伺えます。
本人の職場服装タイプごとに傾向を見ると、「スーツや制服」着用者の許容度は総じて低く、とくにスーツ着用者は「デザイナー・美容師」ら比較的許容されやすい職業への厳しさが目立ちました。
自身の服装スタイルが他者の服装への“見る目”にも影響を与えており、フォーマルな服装ほど他職業の服装に厳しく、カジュアルな服装ほど寛容な傾向が見られます。
Topic2. 職場の服は「自己演出」なZ世代
続いて、職場における服装意識を世代間で比較しました。<data2-1>
<data2-1>職場服装の重視点 (複数回答)
職場服装の重視点<data2-1>においては、全世代において「清潔感のある服装」「動きやすさ」「職場で浮かない」などの機能・実用面に関する項目が上位。一方で若年層はこれらの機能的な項目は相対的に低く、実用性以外の部分でも重要視するこだわりがありそうです。

<data2-2>職場服装への意識 (5段階評価Top2)
次にZ世代において特有にみられる服装意識を聴取。<data2-2>
Z世代では、30~50代と比べて「職場とプライベートで服の雰囲気を分ける(+15.5pt)」、「浮かないことを意識する(+12.8pt)」といった傾向が顕著であり、TPOを強く意識している様子がうかがえます。また「服装を褒められると仕事の意欲が上がる(+9.0pt)」、「職場の服装はプライベートよりもこだわる(+8.8pt)」といった意識も高く、評価や自己表現の手段として職場の服装を捉えていることがわかります。
このように、Z世代にとって職場の服装は単なる仕事着ではなく、周囲からの評価や自己演出を意識した“パフォーマンスツール”であることが示唆されます。服装を通じて「見られる自分」を整えることで、日々のモチベーションにつなげていると考えられます。
Topic3. カジュアルでなくても「小物が自由」だけでやる気アップ!
最後に、世代間、さらにZ世代内の「服装に対する不満の有無」によって、どのファッションアイテムがモチベーションに影響を与えるかを比較しました。<data3>
<data3>ファッションアイテムのモチベーション影響 (アイテム関心のある回答者ベース)
まず、Z世代(20代)は30~50代に比べて、「スーツ・ジャケット」がモチベーションを高めるアイテムとして挙げられる割合が高く、若年層にとってフォーマルな服装が仕事モードになるためのスイッチとして好意的に受け止められていると考えられます。
一方で、同じZ世代でも「職場の服装に不満がある層」では、「バッグ」「シューズ」「アクセサリー」など、小物類がモチベーションに与える影響が大きくなっており、とくに「バッグ」では不満なし層との差が+9.2ptと顕著でした。
このことから、若者が単にスーツやジャケット等フォーマルな服装で働くことを嫌っているのではなく、いかに自分らしさを出せるか、気分が上がるかを第一に考えていることが伺えます。
また服装が画一的であっても、バッグや小物類の選択で自分らしさを表現しようとする傾向がみられました。
まとめ 服装ルールの“共感”が、やる気を左右。
Z世代にとって職場の服装は、単なるドレスコードではなく、自分らしさを示す「心理的なバロメーター」のような存在です。不満を感じる層ほど、服装の「自由度」に敏感で、特にバッグやアクセサリーなど小物の裁量の有無が、日々のモチベーションを左右している実態が浮かび上がりました。注目すべきは、完全な自由を求めているわけではないという点です。「ある程度のルールはあっていい、でも納得感のある理由や小さな余白がほしい」といった、共感可能なルール設計がZ世代には好まれています。職業イメージとの乖離や、“らしさ”の押し付けに違和感を覚える声もあり、服装規定の設計は企業文化やマネジメントの在り方と密接に関係していることがうかがえます。
本調査の結果は、前回のZ世代マネジメント調査で見られた「見守られているという安心感が、挑戦意欲を支える」という傾向とも通じる内容でした。服装ルールにおいても、「自由にしていいよ」という丸投げではなく、「あなたを理解したうえでの選択肢」があることが、Z世代の心理的安全性を高め、自発性を引き出す鍵となりそうです。
前回の「Z世代マネジメント調査」も、あわせてぜひご覧ください。
▶“自由”にさせる上司は、「敵」認定?「7割がマニュアル人間」「上司ガチャに一喜一憂」 Z世代を動かす共感型マネジメントの新常識
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000040104.html
今後もThe Goalでは、Z世代の“リアル”を可視化し、
企業のマーケティング・ブランディングに役立つ情報をお届けしていきます。
■お問い合わせ先
株式会社ザ・ゴール(https://www.thegoalinc.co.jp/)
戦略プランニング部 藤原/岡田/黒川 info@goal.dentsu.co.jp
■調査概要
調査主体 :株式会社ザ・ゴール
調査委託先 :株式会社 電通マクロミルインサイト
調査期間 :2025年11月 調査手法:インターネット調査
調査対象 :全国20-59歳男女 有効回答数 :500サンプル
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