人口増加、食品ロス、気候変動が未来を脅かすなか、持続可能な食料システムの構築は可能か。ビル・ゲイツが著作を愛読するシュミルがこれまでの知見を総動員。食料問題の歴史と未来を誇張なしに描き出す。




人口増加や食料危機――どこか他人事に感じてしまいがちですが、“令和の米騒動”を経験した今、現実味を帯びた問題として迫ってきます。培養肉や遺伝子組み換えなど、テクノロジーで解決できるという期待が広がる一方、冷静なデータが示すのは意外な事実の数々。著者が日本の読者に向けて特別に寄せた序文も含め、食の未来を考えるための確かな手がかりとなる一冊です。
内容紹介
ビル・ゲイツ絶賛!
「“博識”という言葉は、彼のような人物を形容するために作られたものだ。
食と飢餓の常識を覆す。思考が一変する一冊」

なぜ、1人あたり1,000 キロカロリーもの食料が毎日無駄にされているのか? 人口が爆発的に増えるなか、どうすれば地球を壊さずに人類が食べていけるのか? 学際的な研究者である著者の最新作のテーマが「食料」であるのは、私たちの生存の根幹であると同時に、エネルギーなどほかの分野と比べても衝撃的なレベルで非効率が目立つからだ。本書では、歴史を踏まえながら、気候変動や人口増加という難題に直面する食料供給の未来を検証。私たちがいかに食の基本を誤解しているかを明らかにし、私たちの身体は何を必要としているのか、そしてそれが環境にどんな影響を与えているのかを、ファクトから誇張なしに描き出す。





日本が巨額の貿易黒字を享受し、食料需要の大半を輸入しても貿易赤字を深刻化せずにすんだ時代には、それほど懸念されなかった。しかし、状況は変わった。2011年以降、日本は3年を除き毎年、貿易赤字を記録している。さらに生産性の低さ、2023年の不作、需要の急増といった状況が重なり、国内米価は衝撃的な上昇を見せた。2024年から2025年にかけて、スーパーの店頭に並ぶ国産米の平均価格が2倍以上に跳ねあがったのだ。これらの動向からパニックが生じることはなかったものの、警戒を強めるべき事態だ。日本の人口は現在、年間約100万人のペースで減少しているが、少なくとも2040年代後半までは1億人以上を維持する見込みだ。長期的な傾向を踏まえると、輸入食料への依存度はさらに高まるだろう。この理由だけでも、次世代の世界の人々をどう養うかという問題について、日本は真剣に考えなければならない。
――日本語版への序文より抜粋(一部編集)


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目次
日本語版への序文
はじめに
第1章  農業はなにをもたらしたのか? 
第2章  私たちはなぜ、いくつかの種の植物だけを大量に食べるのか?
第3章  私たちが育てられるものの限界
第4章  なぜ、私たちはある種の動物を食べ、ほかの種の動物は食べないのか?
第5章  食べ物とスマホ、どちらがより重要?
第6章  健康であるためにはなにを食べるべきか?
第7章  環境への負荷を減らしながら、増加する人口を食べさせる――疑わしい解決策
第8章  増えつづける人口を食べさせる―どんな方策に効果があるのか

著者
バーツラフ・シュミル/Vaclav Smil

写真/Andreas Laszlo Konrath

マニトバ大学特別栄誉教授。カナダ王立協会(科学・芸術アカデミー)フェロー。エネルギー、環境変化、人口変動、食料生産、栄養、技術革新、リスクアセスメント、公共政策等の分野で学際的研究に従事。2000年、米国科学振興協会より「科学技術の一般への普及」貢献賞を受賞。2010年、『フォーリン・ポリシー』誌により「世界の思想家トップ100」の1人に選出。2013年、カナダ勲章を受勲。

商品情報


『世界はいつまで食べていけるのか 人類史から読み解く食糧問題』
著者:バーツラフ・シュミル
出版社:NHK出版
発売日:2025年12月25日
定価:2,860円(税込)
判型:四六判並製
ページ数:304ページ
ISBN:978-4-14-082003-2
URL:
NHK出版ECサイト→https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000820032025.html
Amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/4140820039
楽天ブックス→https://books.rakuten.co.jp/rb/18428002/


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