東映アニメーション株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:高木勝裕)は、2年ぶりの新作となるTV アニメ「DIGIMON BEATBREAK(デジモンビートブレイク)」において、シリーズディレクター・宮元宏彰のインタビュー【前編】を公開いたします。

1クールを通して描きたかったのはパートナーとデジモンの絆のプロセス
――まず、『DIGIMON BEATBREAK』の企画が立ち上がった経緯から教えてください。
最初にお話をいただいたときから、「新しいデジモンを作りたい」という企画側の強い思いがありました。これまでのシリーズのファンの方だけでなく、これまでデジモンに触れてこなかった若い世代にも届く作品にしたい、と。ターゲットも、これまでのように小学生中心というよりは、もう少し上の、10~20代くらいの層をメインに据えたいという方針でした。そのうえで、「既存シリーズにとらわれすぎず、新しいことに挑戦してほしい」と言っていただいて。そこが自分としてもやりがいを感じて、この企画をお受けしたきっかけですね。
――宮元監督ご自身は、これまでのデジモンシリーズとはどのような距離感だったのでしょうか?
リアルタイムで一番よく知っているのは、初代の『デジモンアドベンチャー』ですね。当時、自分はもう学生で、まさにど真ん中の小学生世代というよりは、「ものすごく流行っているな」と外側から見ている感覚でした。仕事に入る直前ぐらいの時期でもあって、毎週欠かさず追いかけていたわけではないのですが、「今の子どもたちにとってこういう存在なんだな」と思いながら、ところどころをつまんで観ていた感じです。だからこそ、熱心なファンとして過去作にがっつり思い入れがあるタイプではなく、「いい意味でフラットに新しいデジモン像を考えられる人」という人選で声をかけていただいた部分もあるのかなと思っています。
――1クール目の物語もひと段落し、ここまでの手応えはいかがですか?
ようやく世界観の説明やキャラクター紹介のパートが一段落して、「ここからさらに面白くしていける」というところまで来たな、という手応えがあります。1クール目は、とにかく土台づくりを大事にしていました。トモロウとゲッコーモン、グローイングドーンのメンバー、そしてこの世界で起こっているデジモン事件の仕組みを、視聴者の皆さんにちゃんと飲み込んでもらう期間だと考えていたので。そのうえで、「久しぶりにデジモンにハマれた」「大人になっても楽しめる」と感じてくださっている方がいると聞いて、作り手としてはホッとしています。

――監督として、この1クールを通して一番大事にしていたテーマはどこにあったのでしょうか?
新作なので新しい要素はいくらでも入れられるのですが、デジモンという作品の“核”はやっぱり、パートナーデジモンと人間との関係性だと思っています。デジモンと、その対になる人間がどう理解し合い、信頼を積み上げていくのか。そのドラマが結果として進化や強さにつながっていく。そこはどのシリーズでも受け継がれてきた部分ですし、『DIGIMON BEATBREAK』でも絶対に崩さないようにしようと最初から決めていました。今回はトモロウの視点を軸に、突然現れたゲッコーモンを「なんだこいつ?」と戸惑いながらも、少しずつ受け入れ、“家族”のようなパートナーになっていく過程を、丁寧に描くことを心がけました。
――「e-パルス」や「サポタマ」といった新しい設定も、そのテーマに深く関わっていますよね。
『DIGIMON BEATBREAK』では、パートナーデジモンがe-パルスから生まれている設定なので、人間の感情や思考が、より直接的にデジモンの在り方に結びついています。ある意味、自分の感情を濃縮した分身がサポタマから飛び出してきたような状況なので、パートナーは理解者であると同時に自分の合わせ鏡もある。トモロウとゲッコーモンの関係性も、トモロウがずっと抑え込んできた本音や衝動が、ゲッコーモンという形で具現化しているイメージです。最初は「勝手に暴れ回って迷惑をかけるやつ」として映るけれど、それが実は自分自身が閉じ込めてきた感情なんだと気づき、向き合うことで自己理解と成長につながっていく。もともと『デジモンアドベンチャー』などでも、デジモンが理解者としてそばにいてくれる感覚はあったと思うのですが、『DIGIMON BEATBREAK』ではそこをさらに強く押し出してみたい、という思いがありました。

――トモロウとゲッコーモンの関係は、まさにその合わせ鏡というキーワードがしっくりきます。
ゲッコーモンは、トモロウが本当はしたかったこと、本当は言いたかったことを、遠慮なくやってしまう存在なんですよね。だからこそ、トモロウにとっては眩しくもあり、腹立たしくもある。一方でゲッコーモンはすごくシンプルで、「楽しいことを一緒に共有したいだけ」という感情で動いている。そこがすれ違ってしまうことで喧嘩になり、そのぶつかり合いを乗り越えて、より深い絆に変わっていく。トモロウには兄との過去の出来事もあって、本当の気持ちを伝えられなかった後悔を抱えています。ゲッコーモンと向き合うことは、その記憶とも向き合うことでもある。そのあたりの感情の積み重ねを、1クール目ではしっかり描いていきたいと思っていました。

――グローイングドーンのメンバーとの関係性も、1クールの中で大きく変化していきますね。
そこも大事なポイントですね。トモロウはもともとグローイングドーンにいたわけではなくて、途中からチームに入っていく側の人間なんです。なので、最初から仲良しなチームではなく、ぎこちなさやぶつかり合いの時間をちゃんと描こうと決めていました。最初の数話では、なかなか折り合いがつかずに、トモロウも他のメンバーも戸惑っている。そこから少しずつ、お互いのことが分かってきて、気づけばチームとして機能し始めているという流れですね。自分自身、ああいう“チームが出来上がっていく過程”のドラマがすごく好きなんです。だからこそ、4話くらいまではあえてそこに時間を割いて、トモロウがグローイングドーンの一員になっていく物語をじっくり見せるようにしました。
ゲッコーモンの進化回に込められた制作の意図
――そんな1クールの集大成とも言えるのが、ゲッコーモンの進化回だと思います。まず、主人公のパートナーデジモンの進化を1クールの最後に持ってきた意図から教えてください。
これまでのシリーズだと、主人公のパートナーが一番に進化して……という流れが王道だと思うのですが、『DIGIMON BEATBREAK』では進化=感情の到達点として描きたかったので、そこまでの積み重ねをしっかり描く必要がありました。トモロウとゲッコーモンがお互いを誤解し、ぶつかり合い、トモロウが兄との記憶を通して「自分が今、ゲッコーモンに同じことをしている」と気づく。そこで初めて、本当の意味で向き合い直せたときに進化が起きる--という流れにしたかったんです。だから、1クール全体を「二人がちゃんと信頼し合えるようになるまでの物語」と位置づけた結果、自然とあの位置に進化回が置かれた、という感覚ですね。

――絵コンテやカット割りの段階で、進化回のどんな部分にこだわりましたか?
感情面で言うと、トモロウとゲッコーモンががっつり喧嘩をして、トモロウが一瞬ゲッコーモンを信じられなくなるところから始まります。ゲッコーモンは楽しいことを一緒に分かち合いたいだけなのに、その気持ちが伝わらないもどかしさから爆発していく。そこで挟まれる兄との過去の回想で、トモロウは兄に対して「なんで本当のことを言ってくれないんだ」とぶつかるのですが、今の自分がゲッコーモンに同じことをしていると気づいてしまう。その瞬間に、トモロウの中で兄への怒りと自分への反省がつながって、初めてゲッコーモンをちゃんと見られるようになる。そこから理解し合っていく流れを、進化の前段としてしっかり描くことを意識しました。
――進化シーンの中で、楽曲が流れるのも印象的でした。
あの曲は、「兄・アスカがバンド時代に作った曲」という設定でオーダーしています。トモロウが“もっと自分を出したい”、“本音を言えるようになりたい”と願っていること、その一方で怖くて踏み出せない気持ちなど、いろいろなテーマをメモとしてお渡しして、桶狭間さんに膨らませていただきました。結果的に、メロディも歌詞も、本当にドンピシャな曲に仕上げていただいて。曲単体として聴いてももちろんかっこいいのですが、劇中で鳴ったときに、トモロウの感情が一気に立ち上がる感じがあって、「これしかないな」と。トモロウがずっと支えにしてきた曲が、彼の大きな成長の瞬間で鳴り響く構図は、作品全体の中でも重要なピースになっていると思います。今後も、キャラクターの感情と強く結びついた音楽の使い方は、意識していきたいところですね。

――劇伴を担当されている桶狭間ありささんを起用した理由にいても聞かせてください。
『DIGIMON BEATBREAK』は「新しい世代のデジモン」「サイバーパンク的な近未来」がキーワードにありつつも、トモロウの物語としては“生の感情”や“手触りのある音”も大切にしたいと考えていました。打ち込みでかっこいいサウンドを作れる方はたくさんいらっしゃいますが、今回は電子的な質感と生楽器の熱の両方を持っている人がいいなと思っていて。そんな中で桶狭間さんの楽曲を聴く機会があって、「これはぴったりだ」と感じたんです。特にドラムの鳴り方や、打ち込みと生演奏の混ざり方が絶妙で、「この感じだ!」と。クールでサイバーな空気を保ちながらも、感情がぐっと高まるところではしっかり熱さが出る。その振れ幅が、『DIGIMON BEATBREAK』の世界観やトモロウたちのドラマとすごく相性が良いと感じました。そこからこちらのイメージをお伝えして、世界観やキャラクターの心情を共有しながら、音楽面を一緒に作り上げていきました。収録のたびに新しい楽曲が上がってくるのですが、「今回もすごいな」と毎回驚かされています。
――1クールを通して、キャストの皆さんのお芝居にはどんな印象を持っていますか?
トモロウ役の入野自由さんとゲッコーモン役の潘めぐみさんは、オーディションの段階から「この二人しかいないな」と感じていました。こちらから「トモロウにはこういうこじらせた部分がある」とか、「ゲッコーモンにはこういうもやもやを乗せてほしい」といったディレクションをしても、すぐに理解して演技に反映してくれるんです。自分の中では、「声を聞いた瞬間にキャラクターの顔が浮かぶかどうか」がすごく重要なのですが、お二人ともまさにそういう感覚を与えてくれる方々でした。現場でも、入野さんが率先して場を明るくしてくれて、潘さんがそれに乗っかってくれる、みたいな空気があって。デジモンが大好きなキャストの方も多くて、この作品への愛情がすごく伝わってきますね。

――アフレコ現場の雰囲気も、ファミリーという言葉がぴったりだと伺いました。
本当にそんな感じですね。ラウンドワンさんとのコラボのときには、「せっかくだからみんなでボウリングに行こう」となって、本当にキャスト・スタッフで遊びに行ったんです。ああいう場を経て、作品のテーマでもあるファミリー感が、現場の空気としてもぐっと強まった気がします。最初の挨拶のときに、「作品と同じように、現場もひとつのファミリーみたいになっていったらいいな」と話していたのですが、それが本当に形になってきているのを感じます。みんなが作品を大事に思ってくれているのが伝わってきて、監督としてはありがたい限りです。
――改めて、12話までを見届けた視聴者の方に向けて、1クール目の見どころを振り返りつつメッセージをいただけますか?
1クール目は、とにかく世界観やキャラクターを丁寧に紹介しながら、「トモロウとゲッコーモンが本当の意味でパートナーになっていくまで」を見せていく時間だったと思っています。トモロウ自身の過去や、兄との関係、グローイングドーンのメンバーとのぶつかり合い……その全部を通して、トモロウが少しずつ自分の本音と向き合えるようになっていく。その到達点が、ゲッコーモンの進化回です。そこまでの積み重ねを受け取ってもらえたなら、作り手としてはとても嬉しいですし、ここから先の物語もきっとより楽しんでいただけるはずです。2クール目以降は、また新しい出会いや戦いが待っていますので、ぜひトモロウたちの成長をこれからも見守っていただけたらと思います。

▼シリーズディレクター 宮元宏彰 インタビュー【前編】は公式サイトでも公開中!
https://www.toei-anim.co.jp/tv/digimon_beatbreak/special/interview/03/#interview03
■TVアニメ『DIGIMON BEATBREAK』【グローイングドーン編】となる第1話~第12話をYouTubeにて一挙無料公開中!
YouTubeデジモン公式チャンネルにて、TVアニメ『DIGIMON BEATBREAK』【グローイングドーン編】となる第1話~第12話を期間限定一挙無料公開!「DIGIMON BEATBREAK」関連チャンネルとのコラボレーション配信にて実施いたします。放送を見逃した方は、1月4日(日)より放送の最新話まで追いつくチャンス!グローイングドーンの結成やゲッコーモンの進化シーンをぜひYouTubeでもお楽しみください。

▼TVアニメ「DIGIMON BEATBREAK」第1話~第12話一挙無料公開
配信URL: https://youtu.be/mAiAuU0dGtw
配信期間:2025年12月25日(木)0:00~2026年1月8日(木)23:59まで
TVアニメDIGIMON BEATBREAK(デジモンビートブレイク)について

▼INTRODUCTION
人間の思考や感情から生まれる「e-パルス」は、AIサポートデバイス「サポタマ」のエネルギー源として活用されていた。目覚ましい発展を遂げるその陰で、恐るべき怪物が現れる。e-パルスを喰らい、進化する生命体「デジモン」である。
天馬トモロウは、サポタマから誕生したゲッコーモンとの出会いをきっかけに、非日常へと巻き込まれていく。
賞金稼ぎを生業とするチーム「グローイングドーン」の沢城キョウたちとの共同生活を送るなかで、トモロウは決意を新たにする。
人間とデジモンが描く新しい未来とは──
▼STAFF
原案/本郷あきよし
シリーズディレクター/宮元宏彰
シリーズ構成/山口亮太
キャラクターデザイン/小島隆寛
デジモンデザイン/渡辺けんじ
アニメーションデジモンデザイン/浅沼昭弘
美術監督/神綾香
色彩設計/横山さよ子
CGディレクター/大曽根悠介
撮影監督/石山智之
編集/西村英一
音楽/桶狭間ありさ
制作/フジテレビ・読売広告社・東映アニメーション
▼CAST
天馬トモロウ/入野自由
ゲッコーモン/潘めぐみ
咲夜レーナ/黒沢ともよ
プリスティモン/田村睦心
久遠寺マコト/関根有咲
キロプモン/久野美咲
沢城キョウ/阿座上洋平
ムラサメモン/濱野大輝
▼放送情報
フジテレビ他にて10月5日より毎週日曜朝9時から放送中
2026年1月4日より、新章【タクティクス編】の放送がスタート
※地域により放送時間・曜日が異なります。
▼配信情報
■地上波放送直後、毎週日曜9:30より見逃し配信スタート
TVer/FOD
■毎週水曜0:00より順次配信スタート
・見放題配信
FODプレミアム/Prime Video/U-NEXT/dアニメ/Hulu/DMM TV/ABEMA/TELASA/東映アニメチャンネル ほか
・レンタル配信
バンダイチャンネル/Lemino/HAPPY動画/ビデックス/Prime Video ほか
※配信開始日は予告なく変更となる場合がございます。詳しくは各配信サービスの情報をご確認ください。
▼「DIGIMON BEATBREAK」放送直前PV
https://youtu.be/WgCglA2Twnw
▼「DIGIMON BEATBREAK」公式サイト
https://www.toei-anim.co.jp/tv/digimon_beatbreak/
▼「DIGIMON BEATBREAK」公式X
@digimon_tv(https://x.com/digimon_tv)
■デジモンとは
1997年にリリースされた育成型携帯液晶ゲーム「デジタルモンスター」。手のひらサイズの携帯液晶ゲームでありながらモンスターの育成だけでなく、友達とモンスター同士のバトルを楽しめる斬新な要素により子供たちから圧倒的な支持を集めた。アニメは1999年公開の「デジモンアドベンチャー」を皮切りに、TVシリーズを全9作・映画全13タイトルが制作され、幅広い世代から支持され続けている。
2025年10月より、約2年ぶりの新作となる「DIGIMON BEATBREAK(デジモンビートブレイク)」の放送が開始。
25年以上の歴史があるデジモンは、今なお進化し続けている。
【著作権表記】
(C)本郷あきよし・フジテレビ・東映アニメーション
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