首都圏住宅購入市場における2025年総括と2026年展望レポート
注文住宅の施主と建築士・職人を直接つなぐ注文住宅DXプラットフォーム「建築市場」を運営する建築市場株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役:天野智弘)は、首都圏住宅市場を取り巻く環境変化を整理し、2026年に向けた住宅購入の考え方を示す資料として、「首都圏住宅購入市場における2025年総括と2026年展望レポート」を公開しました。
市場の構造転換の要約
2025年の首都圏住宅市場は、新築マンション価格の高騰、建設コストの上昇、建築供給力の制約に加え、2025年12月19日に日本銀行が政策金利を0.75%程度へ引き上げたことで、金利上昇という新たな制約が重なった「四重苦」に直面しています。特に、都心マンションと郊外戸建の平均価格間に生じた約3,225万円という巨大な乖離(かいり) (※1)を背景に、2026年は「適正価格の戸建」への需要シフトが続く見通しです。加えて、建築市場の現場感として、40代を中心とする2次取得(建て替え・更新)の動きが顕在化し始めており、住宅市場は「新規取得」だけでなく「ストックの更新」によっても再編される局面に入っています。

▼参照:2024年11月 首都圏における「新築戸建」の価格動向
https://www.athome.co.jp/corporate/news/data/market/shinchiku-kodate-kakaku-202411/

▼参照:全国 新築分譲マンション市場動向 2024年
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/619/zm2024.pdf
2025年 総括:首都圏住宅市場を縛る「四重苦」の分析
1. 価格高騰と市場の硬直化(需要サイド)2025年現在、都心の中古マンション価格は依然として高値を維持しており、2023年の平均価格は前年から約5%上昇しています。低金利政策は実需を刺激する一方、国内外の投資需要を呼び込み、価格を押し上げています。この市場は、構造的なインフレ期待と金融政策の動向に強く左右され、実需層の購買力を恒常的に低下させています。

▼参照:2024年最新!東京都心中古マンション価格の動向と今後の予測
https://librus.co.jp/jigyou_shokei/new/money/1953
2. 建設コスト上昇の複合的圧力(コストサイド)
建設費は、資材費と人件費が同時に押し上げる構造にあります。(※1)
資材については円安局面が調達コストに影響しやすく、人件費についても労働時間規制や人材不足を背景に上昇圧力がかかり続けています。結果として、住宅価格にコストが転嫁されやすい環境が固定化しつつあります。(※2)
3. 建築供給力の危機的制約(供給サイド)
帝国データバンクの調査によると、建設業界は、全産業中で最も深刻な人手不足に直面しており、正社員が「不足」していると感じる企業の割合は 70.2%に達しています。この人での供給能力の構造的制約が、市場の需要過多に対し物理的な上限を設定し、価格の自然な調整(下落)を防ぐ決定的な要因となっています 。また、55歳以上が37%を占める一方、若手は11.7% に留まる(※3)など、経験から得られた技能承継の空洞化も深刻です。

▼参照:株式会社帝国データバンク『人手不足に対する企業の動向調査(2025年10月)』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001190.000043465.html
4. 金利上昇という新たな制約(金融環境)
2025年12月19日、日本銀行は政策金利を0.75%程度へ引き上げました。日本の金利上昇局面において、これから首都圏で住宅購入を検討される際、これまで(低金利・デフレ時代)とは「常識」や「リスクの所在」が大きく変わります。
これまでのように「借りられるだけ借りて、変動金利で組めば一番得」という単純な戦略は通用しにくくなっています。
「これから先も上昇傾向」という前提に立つと、最も影響を受けるのは「総返済額」です。月々の支払いは数千円の差でも、35年トータルでは数百万円の差になります。
【シミュレーション条件:借入5,000万円・35年返済・元利均等】

金利がたった0.5%上がるだけで、総支払額は約470万円も増えます。これは高級車1台分、あるいは子供1人の大学費用に匹敵する金額が「利息」として消えることを意味します。
2026年 展望:戸建シフトの定着と「2次取得」市場の活性化
1. 購買層のライフスタイル変化と価格ギャップのインパクト2026年に向けての最大の論点は、マンションと戸建の間にある価格差です。首都圏の新築分譲マンション平均価格7,820万円(2024年)に対し、新築戸建は4,595万円(2024年11月)で、両者の差は約3,225万円に達しています。
この水準の価格差は、単なる「割安感」にとどまらず、住宅選択の前提そのものを変えます。マンションに比べて、戸建は総額を抑えながら面積・間取りの自由度を確保しやすく、2026年にかけて需要の受け皿になり続ける見通しです。
2. 「適正価格」モデルの競争優位性確立
資材・人件費高騰下で価格合理性を維持できる「適正価格」の注文住宅モデルが、2026年の需要を牽引します。このモデルは、サプライチェーンの効率化やDX(例:BIM/CIM、クラウド技術)による生産性向上を基盤とし、価格上昇率の鈍化を企図しています。
また、戸建はマンションに比べて柔軟な資金計画や、将来の改修・増築に対応できる設計が可能であり、長期的なライフサイクルコスト(LCC)の合理性で優位性を発揮します。
【リセールバリューの安定性】
首都圏では、築20年以下の戸建の平均価格が4,394万円と、全国中央値(約2,950万円)を大幅に上回るなど、戦略的な土地選定を行うことで、資産価値が比較的安定していることが確認されています。

▼参照:家の売却相場を築年数別で解説/価値は何年まで?築20年以上でも売れる!
https://www.home4u.jp/sell/juku/kodate/sell-126-13632
3. 40代を中心に「2次取得(建て替え・更新)」が動き始める
2026年のもう一つの焦点は、40代を中心とする2次取得層の動きです。首都圏および東京都の住宅地における公示地価の推移を見ると、2000年代後半から2010年前後にかけて土地価格は低水準で推移し、その後、2010年代後半以降は上昇基調に転じています。
現在45歳前後にあたる層の多くは、土地価格が比較的低い時期に住宅を取得しており、取得時点と比べて土地価格が上昇しているケースが多いと考えられます。
こうした環境を背景に、40代の住宅保有層では、
- 現在の家と土地を売却し、
- 資産価値が高まった土地を原資として、
- 異なるエリアで再度住宅を取得する
といった選択肢を検討する動きが浮上し始めています。

▼参照:【2025年】不動産価格の推移から見る今と今後!売買するのはいつがいい?
https://www.home4u.jp/sell/juku/course/sell-228-20410
当社でも、こうした層からの相談が増加しているという現場感があり、市場の重心が「初めて買う人」だけでなく、「持っている住宅を住み替える・建て替える」へ広がっていることがうかがえます。
金利上昇局面では、住み替え・建て替えの意思決定はより慎重になります。一方で、価格高騰が続くほど、現状の資産を起点に「どう更新するか」を考える需要も強まります。結果として、2026年は「戸建の主流化」と同時に、ストック更新が市場を下支えする年になっていく可能性があります。
結論
2026年に向けて、首都圏の住宅市場は次の方向に進むと考えられます。第一に、マンションと戸建の価格差が一定水準を超えたことで、中間層における戸建の主流化が続くこと。
第二に、建設コストと供給制約が続くなかで、「適正価格」を重視する意思決定が広がること。
第三に、金利上昇を背景に、購入判断が「月々の支払い」ではなく「総支払額の耐久性」へ移ること。
そして第四に、40代を中心とする2次取得層が動き始め、住宅ストックの更新が市場の重要なドライバーになることです。
とりわけ、都心一等地を除く首都圏の中間層においては、「マンション一択」から離れ、戸建を軸にした選択が現実的な主流になっていく可能性が高まっています。
■施主・建築士・職人を直接つなぐ、注文住宅DXプラットフォーム「建築市場」とは

「建築市場」は、注文住宅を建てたい施主と建築士・職人を直接つなぐマッチングプラットフォームです。従来のハウスメーカー経由での家づくりとは異なり、セルフビルドという手法を活用することで、不要な中間コストを削減し、より安価で自由度の高い注文住宅の実現を目指します。「理想の家を、適正な価格で。」それが「建築市場」の新しいスタンダードです。
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詳しくはこちら:https://lp.kenchiku-ichiba.com/lp01
■会社概要
会社名 :建築市場株式会社設立 :2025年9月1日
代表取締役:天野智弘
所在地 :東京都豊島区西池袋3-1-15 西池袋TSビル2階
事業内容 :建設DX業、資材販売業、建設業、不動産業
URL :https://kenchiku-ichiba.co.jp
■参考文献
- 「建設業の2024年問題」で建築費が上昇?! 住宅購入は急ぐべき?待つべき?https://www.jutakujohokan.co.jp/article/2024/04/13/construction-cost-rise/- 建築資材高騰はいつまでも続かず微減後に横ばいの予測|建築資材の価格・需給・在庫の推移グラフも紹介 | ミライスタイルhttps://mirai-style.net/column/30177/
- 建設業の2024年問題の背景や影響を徹底解説|DXで残業時間を緩和できる?https://www.kentem.jp/blog/construction-2024-problem/
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