~自律神経研究の第一人者・小林弘幸氏に聞く“冬バテ”の正体や新たな対策方法「引き算の防寒」とは?~
株式会社AOKI(代表取締役社長:青木彰宏)が運営する『ジャケジョ研究所』では、ジャケットに関する悩みやHOW TO情報を提供し、ジャケットを着用する女性をサポートする活動を行っています。この度、本格的な寒さを迎えるにあたり、働く女性の防寒対策に関する実態調査を実施しました。
その結果、約2人に1人が冬特有の不調“冬バテ”を経験し、8割以上が仕事のパフォーマンス低下を
懸念していることが明らかになりました。本リリースでは、自律神経研究の第一人者・小林弘幸氏を
迎え、冬に起こりうる自律神経の乱れに対する新たな対策「引き算の防寒」と、環境省が暖房時の室温を20℃(目安)で快適に過ごすライフスタイルを推奨する「ウォームビズ(WARM BIZ)」との親和性を紐解きます。冬のビジネスシーンを、より快適かつ健康に過ごすためのヒントとして、調査結果と専門家知見の双方から“冬バテ対策”を提言します。
ジャケジョ研究所:https://www.aoki-style.com/feature/jacketjoshi/
【TOPICS】
1.働く女性の約半数が「冬バテ」を経験、8割以上が「仕事のパフォーマンス低下」を懸念
冬の不調は、 “個人の悩みを超えた社会的な課題” として生産性に影響。
2.“重ね着のしすぎ”が冬バテの一因に
冬の服装ストレス「重い・動きづらい(37.1%)」「温度差で調整が難しい(31.8%)」が上位。
防寒の主流「重ね着(49.3%)」が、かえって“冬バテ”につながる可能性も。
3.「ウォームビズ(WARM BIZ)」実践理由の1位は“体調管理”(41.0%)
働く女性の間では、環境対策以上に “冬の体調を守る手段”として定着が進んでいる実態が判明。
4.自律神経研究の第一人者・小林弘幸氏、冬バテ対策の新常識として「引き算の防寒」を提唱
寒暖差で乱れやすい自律神経を守るには、室温に合わせてこまめに脱ぎ着が出来る“調整力”のある服の有効性を医学的に解説。「ウォームビズ」とも高い親和性を持つことが明らかに。
■働く女性の約2人に1人、冬特有の不調“冬バテ”を経験。
体のだるさや気分の落ち込みなど“なんとなく調子が出ない”状態を指す心身の不調「冬バテ」について、47.1%と約半数の女性が「経験がある」と回答しました。
女性の約半数が冬場に本調子ではない状態(未病)を感じており、働く女性にとって“冬バテ”は避けて通れない身近な課題であることが分かりました(グラフ1)。

「働く女性の冬の防寒対策実態調査」結果
■「働く女性の冬の防寒対策実態調査」概要・調査期間:2025年11月
・調査機関:調査委託先株式会社ノウンズ
・調査対象:ジャケットを着用する機会のある20代~50代の女性
・有効回答数:1,002件
・調査方法:インターネット調査
■ “冬バテ”は個人の不調にとどまらず、8割以上が懸念する「生産性低下」のリスク。
「集中力が続かない」「ミスが増える」…冬の不調が業務に影響する可能性も。
“冬バテ” による、働く女性の仕事への影響について調査したところ、「冬バテは仕事のパフォーマンス(生産性・集中力)が落ちると思うか」という問いでは、「とてもそう思う(28.6%)」「ややそう思う(57.1%)」が合計85.7%となり、多くの女性が業務効率の低下を懸念している実態が明らかになりました(グラフ2)。 具体的な症状として挙がった「朝起きづらい(36.9%)」「疲れがとれにくい(36.8%)」といった状態は、始業時のエンジンのかかりにくさや、午後の集中力低下につながる
可能性があります(グラフ3)。“冬バテ”対策は、働く女性のパフォーマンスを維持する上での大事なポイントと言えそうです。


■防寒対策の主流は「重ね着」。しかしその「防寒=着込む」の常識が服装ストレスを加速させている?お悩み1位は「重い・動きにくい」
「仕事中の防寒対策」を聞くと、「インナーや重ね着で調整する(49.3%)」が約半数を占め、依然として「重ね着」が主流です(グラフ4)。しかし同時に、「冬のファッションで困ること」の第1位は「衣服が重かったり、動きづらい(37.1%)」でした(グラフ5)。寒さを防ごうと服を重ねた結果、その「重さ」が肩こりや疲れを引き起こしやすく、さらに「動きにくさ」が服装ストレスになるという「防寒のジレンマ」が発生しています。多くの方が取り入れている対策が、“冬バテ”の一因となっている可能性があります。


■ 今、約6割が実践する「ウォームビズ(WARM BIZ)」。目的は環境対策から“健康対策”へ。
ここで注目したいのが、オフィスの室温設定等に関わる「ウォームビズ」への意識と、そこにおける衣服の役割です。環境省が推奨する「ウォームビズ」について、現在約6割(61.5%)の人が実践していると回答しました(グラフ6)。特筆すべきは、その実践理由です。
トップは「地球温暖化防止(13.2%)」や「電気代の節約(32.2%)」ではなく、「服装を暖かくして体調不良を防ぐため(41.0%)」でした(グラフ7)。この結果から、働く女性たちは「ウォームビズ」(過度な暖房を控えた環境)を、「エコ」というだけでなく「自分の体を守るための健康的な
環境」として捉え直し、その体調管理の主役は「衣服」であると認識していることが分かります。


■快適に働くための冬服に求められる新基準。
求める条件上位に「疲れない軽さ」「厚着せず暖かい」「着まわしやすい」。
防寒は、疲労やストレスを生まないことが重要に。
冬バテ対策として「衣服での対策も必要だと思うか」を聞いたところ、約9割(87.4%)の女性が「必要」と回答しました(グラフ8)。
では、快適に働くために、冬服にはどのような条件が求められているのでしょうか。「軽くて動きやすく長時間着ていても疲れない(33.5%)」「厚着せず暖かい(31.1%)」が上位となりました。
また、「温度変化に合わせて簡単に調整できること(25.8%)」も約4人に1人が重視していることがうかがえます(グラフ9)。
これは、脱ぐことのできない「固定的な厚着」から、状況に合わせて着脱・調整ができる可変的なスタイル(=カーディガンやジャケット等)へのニーズが高まっていることがうかがえます。防寒は今、「保温性」だけでなく「軽さ」と「調整力」を兼ね備えた、疲労やストレスを生まないための装備として捉えられていると言えそうです。


■自律神経研究の第一人者・小林弘幸氏が解説する“冬バテ”対策。
「着込みすぎない」“引き算の防寒”が、自律神経と体調を守るカギだった
本リリースの結びに、医学部教授で自律神経研究の第一人者・小林弘幸氏をお迎えし、調査結果を医学的視点から分析していただきました。
“冬バテ”対策に“引き算の防寒”が有効的である点に加え、環境対策であるはずの「ウォームビズ」が、働く女性の間で“健康を目的とした選択”として定着している点にも着目しました。
なぜウォームビズ環境が医学的にも自律神経を守るカギとなるのか、そのメカニズムと解決策も紐解きます。
ジャケジョ研究所 特任研究員 小林 弘幸(こばやし ひろゆき)氏

1960年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・医学部教授。
1987年順天堂大学医学部卒業。専門はスポーツ医学、危機管理学、自律神経、腸内環境。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。国内で初の便秘外来を開設した腸のスペシャリストであり、また同時に自律神経研究の第一人者として、スポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。
著書・メディア出演多数。YouTubeチャンネル「ドクター小林弘幸の健康のカルテ」で健康情報を発信している。
【“冬バテ”の正体は、寒暖差とストレスによる「血流障害」】
-約2人に1人が感じている「冬バテ」。医学的にはどのような状態なのでしょうか?
現代人の自律神経の状況は、5年前とは少し質が違います。コロナ禍の3年間で蓄積されたストレスにより、現代人の自律神経のバランスはベースラインが乱れてしまっています。人間が受けたストレスの影響が抜けるには、受けた期間の倍の時間がかかると言われています。つまり、私たちはまだ回復の途上にあり、自律神経が乱れやすい状態にあるのです。ベースの状態が悪いところに、ここ数年の季節の変わり目の激しい「寒暖差」と、生活リズムが乱れがちな、年末年始の「環境変化」のストレスが加わることで、今まで感じたことのない「冬バテ」に直面してしまいます。
それでは「バテ」とは何なのかというと、医学的には、「血流障害」のことです。私たちの体には
37兆個の細胞がありますが、健康やパフォーマンスというのは、この細胞の一つひとつにどれだけ「質の良い血液」を流すことが出来るかが勝負なのです。その血流をコントロールしているのが自律神経で、全臓器、全血流をコントロールする「ライフライン」なのです。これが乱れれば当然、血流が悪くなり、だるさや倦怠感が現れます。もう一つ、「血液の質」を決めるのが「腸内環境」です。この両輪の軸がしっかりしてないといけないのですが、これは独立してるのではなく、お互いにものすごく関与し合っています。そのため、自律神経が乱れれば腸内環境は悪くなるし、腸内環境が悪くなれば自律神経も乱れてしまいます。さらに実は、幸福ホルモンと呼ばれるセロトニンやオキシトシンなどは腸でも作られるため、腸の働きが鈍るとその発生も減少し、メンタル面でも「うつ」を引き起こしやすくなるのです。
だるさや、倦怠感、やる気のなさなど「なんとなく不調」の背景には、こうした自律神経と腸、そしてメンタルの負の連鎖があることを知っておく必要があります。
【「脱げない重ね着」は、なぜ逆効果? 満員電車は自律神経のパニック状態】
-多くの女性が実践している「着込む防寒」には、どのようなリスクがあるのでしょうか?
冬は夏よりも体調管理が難しい季節です。夏は脱げばいいですが、冬は寒さを防ごうと多くの方が「着込む防寒」を選択します。しかし、これこそが大きなリスク要因です。 まず前提として、冬は夏よりも脱水になりやすいのです。夏は汗をかくので水を飲みますが、冬は水を飲まない上に乾燥しているため、知らず知らずのうちに脱水になり、血管が収縮しやすい状態にあります。
そのような状態で厚着をして、暖房の効いた満員電車などに乗ると「暑い、不快だ、でも脱げない」と感じた瞬間に、自律神経にスイッチが入り、体はあっという間に交感神経が跳ね上がったパニック障害的な状態になってしまいます。さらに、本当に恐ろしいのは、その後の自律神経の「リバウンド」です。急上昇した交感神経の反動で、会社に着く頃には副交感神経が上がり過ぎてしまい、無気力になったり、動きが鈍くなったりしてしまうのです。
一度乱れた自律神経が戻るには約3時間はかかりますから、午前中の仕事のパフォーマンスは壊滅的になりかねません。「脱ぎ着できない厚着」による不快感は、自律神経にとって最大の敵なのです。
【“暖かくする”より、“調整できる”「引き算の防寒」という新しい考え方】
-先生が提唱されている「引き算の防寒」について、詳しく教えてください。
「引き算」といっても、ただ薄着をするわけではありません。重要なのは、状況に合わせて脱ぎ着ができる「調整力」を持つということです。 プルオーバーなどは、電車の中で暑くなっても簡単には脱げません。その「脱げない」
という不自由さが、焦りやストレスとなって自律神経をさらに乱します。「暑いのにどうにもできない」という状況が一番良くないのです。
一方で、前開きのジャケットやカーディガンならサッと脱ぐことができる。「暑ければ脱げばいい」という選択肢、つまり「余裕」があることが大切なのです。人間は「逃げ道(選択肢)」があるだけで安心し、自律神経が整います。 この「調整できる余裕」こそが、冬の寒暖差から身を守り、パフォーマンスを維持する最大の防御策になるのです。
【室温20℃、実は寒くない?自律神経が乱れにくい、ウォームビズの医学的理由】
-そうした「調整力」を発揮するには、どのような環境が良いのでしょうか?
「ウォームビズの室温20℃は寒い」という声も聞きますが、医学的には非常に理にかなっています。自律神経にとって最大の問題は「外気との温度差」です。外に出れば気温は急激に下がりますが、その温度差が「7℃」を超えると、自律神経は相当乱れると言われています。 室内をガンガンに暖めて薄着で過ごすよりも、あえて室内を「20℃」に抑え、外気との温度差を少しでも縮める。いかにギャップを少なくして、常に春・秋ぐらいの感覚でいられるかが重要です。 この20℃という環境こそ、ジャケットなどを羽織って調整するのに最適です。
「室温20℃」と「調整できる服」。この組み合わせが、冬バテを防ぐ最も賢い選択と言えます。
【疲れの原因は寒さではなかった。自律神経を乱すのは「服の違和感」】
-調査では「衣服の重さ」や「動きにくさ」がストレスの上位でした。これも影響しますか?
もちろんです。自律神経は「違和感」というものにものすごく反応します。 例えば、動きにくい服で、動作に引っ掛かりを覚えると、疲れが出て、肩も凝ってしまいます。その時点で自律神経のバランスは悪くなります。冬はただでさえ服が重くなりますが、重くて自由が利かないというのは体にとって大きなストレスです。動きが悪くなると、仕事の効率が悪くなりますし、ミスも起きやすくなります。だからこそ、窮屈な思いをしなくて、自由に動ける「軽さ」や「素材」を選ぶことは、自律神経を乱さないために本当に重要なことなのです。
【「一着のジャケットが自信をつくり、呼吸を変え、人生を変える。」
-最後に、冬の不調に悩む働く女性へメッセージをお願いします。
毎朝の服選びで「今日は寒いかな、何を着ようか」と迷うこと自体がストレスになり自律神経のバランスを乱します。だからこそ、「これなら大丈夫」という迷わない服を持つことをお勧めします。自信を持って選んだ服を着ていると、何が変わるかというと「呼吸」が変わります。ここからが科学の話ですが、自信があるときは呼吸が深くなり、質の良い血液が全身に巡ります。逆に自信がないと呼吸は浅くなり、血流も滞ります。人間は緊張すると自律神経の乱れにより「縮瞳」し、視野が狭くなりますが、自信があると視野が広がり、周りが見えるようになります。これは面接やプレゼンでも同じことが言えます。
たかがジャケット1枚と思われるかもしれませんが、シンプルで着心地が良く、自分が自信を持てる1枚を選んでみてください。その1着が、自信をつくり、あなたの呼吸を変え、心身の調子を整え、仕事のパフォーマンスや人生までをも変えていきます。自分にとって心地よい環境は、自分で作ることができます。ぜひ、「引き算」の発想で新しい冬の過ごし方を始めてみてください。
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