二つの伝統芸能が出会い魅せる「ウケシコロ~紡がれるアイヌ伝統芸能と歌舞伎~」開催

公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌市中央区、常本照樹理事長)が運営するウポポイ(民族共生象徴空間)は、2026年2月1日(日)にウポポイ開業5周年記念多文化共生ウィークとして、アイヌ伝統芸能と歌舞伎の新たな交流をテーマとした特別イベント「ウケシコロ~紡がれるアイヌ伝統芸能と歌舞伎~」を開催しました。

カーテンコールの様子

現代歌舞伎界の至宝であり人間国宝の五代目・坂東玉三郎丈をゲストに迎え、会場には273名の観覧者が集い、アイヌ舞踊と歌舞伎という二つの芸能を披露しました。
第1部では、坂東玉三郎と国立アイヌ民族博物館館長・野本正博の言葉で歌舞伎とアイヌ文化の意外な共通点や文化継承についての考えが共有され、第2部では、新たな伝承の形として全編アイヌ語で演じられる舞台「イノミ」の迫力に多くの賞賛の声を頂きました。続く「残月」では、坂東玉三郎の美しい舞姿に会場中が魅了され、カーテンコールでは、静寂から一転して大きな拍手に会場が包まれました。
事前申込みには4,000名を超えるご応募をいただき、可能な限り座席を増設したほか、会場の空気を少しでも多くの方々に感じていただけるよう、園内の大型スクリーンを用いたパブリックビューイングを実施しました。
アイヌ文化と歌舞伎の意外な共通点や、ウポポイにおける初の交流に大きなご関心を寄せていただいたことを受け、本公演のダイジェストムービーを3月下旬に以下特設ウェブサイトにて公開予定です。
※「ウケシコロ」は、【相続する、受け継ぐ】を意味するアイヌ語。「シ」と「ロ」は、下付き小文字で表記します。

特設ウェブサイト
https://ainu-upopoy.jp/specialevent/kabuki202602/

当日の様子

■心通わせる対話。語られた文化継承へのまなざし。
坂東玉三郎丈と野本館長が、「伝統と革新~交易の向こうにみえてくるもの」をテーマにトークセッションを行いました。
坂東玉三郎丈は、ウポポイ園内の冬景色を背景に、今回初めて訪れたウポポイの感想や歌舞伎とアイヌ文化の接点について紹介し、過去の豊かな文化交流に想いをはせる時間となりました。また、文化継承の現代的な難しさと、それゆえ日々一生懸命に取り組むことが革新へと結果的につながると語りました。今後の文化交流の可能性については、心を通じ合わせる場の重要性を伝え、多くの来場者がうなずきながら熱心に耳を傾けていました。
野本館長は、第2部で披露される「イノミ」のテーマであるイオマンテ(熊の霊送りの儀礼)を例として、歌舞伎と同じく伝承の現代的な難しさを伝え、同じ形で受け継ぐことができないからこそ、伝承の新たな挑戦として作り上げた制作背景を紹介しました。また、身近で触れられる文化に目を向けてほしいと呼びかけました。





心に灯った祈り、舞台「イノミ」が紡ぐ新たな継承の形
ウポポイスタッフによる伝統芸能上演「イノミ」の披露では、イオマンテで伝承されてきた所作、歌や踊りを通して、その本質である祈りを受け継ぎながら次の世代に伝える新しい継承の形としての役割が観客に伝えられます。舞台演出とアイヌ舞踊が作り出す迫力と、アイヌ文化の世界観に多くの来場者が浸り、終演後は熱気と大きな拍手に包まれました。






■息をのむ美、玉三郎が紡ぐ静寂の余韻
歌舞伎の衣裳に身を包んだ坂東玉三郎が地唄舞「残月」を披露。儚く美しい舞の中に移ろう様々な感情、刻々と流れる時間を忘れ、来場者は、息をのんで舞台を見つめました。フィナーレには、その舞姿の余韻に拍手さえも惜しまれる静寂。来場者一人一人の心が震える、沈黙という名の喝采が聞こえました。






「イノミ」を披露したウポポイスタッフも舞台に呼び込まれたカーテンコールでは、会場中が大きな拍手に包まれました。



来場者の声

「アイヌ舞踊は迫力があって、儀礼を行う現地にいるような感じがした。玉三郎さんが美しかった」札幌市在住・10代
「歌舞伎もアイヌ舞踊も初めて拝見したが、当時の暮らしなど大切にしているものをそれぞれの視点で踊っていて、全然違うものだけどそれぞれ大切なものを受け継ぐために試行錯誤の上でできたものだと感じて面白かった」札幌市在住・20代
「玉三郎さんの文化継承に対して自問自答があると伺い知り、歌舞伎とアイヌ文化の伝承の取り組み方もまた違うと感じたし、もう一度歌舞伎も見たいとすごく思った。和文化とは異なるアイヌ文化があることで、文化を通して日本も進化していくのかなと感じた」釧路市在住・60代

公演を終えて

坂東玉三郎
歌舞伎では「アツシ」というアイヌ民族の衣類を用いていることから非常に親しみを持っていました。今回初めてウポポイという場所に伺い舞台上では「イノミ」というお祈りの儀式を見せてもらいました。大自然に全てがつな繋がっているという考え方と、神へのお祈りへの儀式でした。それは、以前私が京都の鞍馬寺で学んだことでもありました。草木に至るまで全てに神が宿っているという思想です。これこそが日本の基本なのであろうと感じました。ご当地の若い皆さんがアイヌ文化を将来に繋げようという思いから創られた舞台。心を込めて作って行けば、自然界から大きな力を受けて素晴らしいお祈りの儀式や舞台上での表現が出現してくると思います。そして何よりも皆さんが優しくて、今回ほとんど舞台の上では共演しなかったにも拘らず、別れを惜しんで下さったことが、私にとっては何よりもの思い出となったのです。

野本館長
海を隔て、異民族交流に一生懸命だった時代、違いを際立たせるモノにある種の憧れを抱いたのだろうと思います。お互いの技術やセンスを認め、お互いに求めあった時代が確かにあったのです。そこから見えてくるものを広げていこうというのが、本企画の背景です。玉三郎丈にはその辺をよくご理解いただき、舞踊及び衣装に至るまでご教示をいただき、その残像が消えないうちに、新しい価値創造をしていきたいと思いました。

開催概要

タイトル:ウケシコロ~紡がれるアイヌ伝統芸能と歌舞伎~
開催日:2026年2月1日(日)13:00~15:00(12:30開場)
会場:ウポポイ内 ウエカリ チセ(体験交流ホール)
料金:無料(ウポポイ入場料別途)
特設ウェブサイト
https://ainu-upopoy.jp/specialevent/kabuki202602/

ウポポイでは、今回披露した伝統芸能上演「イノミ」のほかに、アイヌの伝統芸能に触れていただける様々なプログラムをご用意しています。今回の取組をきっかけにした歌舞伎とのさらなる交流や、日本の各地で継承される文化の相互理解を深めるイベントを今後も企画していく予定です。
ウポポイで見られる伝統芸能(一部)
伝統芸能上演歌や踊りを披露する公演。日々の暮らしの中で歌われてきたもの、儀礼やお祭りの際にカムイとの関わりの中で演じられるものなど様々な芸能をご覧いただけます。
場所:ウエカリ チセ(体験交流ホール)





文化解説プログラム ウパシクマコタン(集落)での暮らし紹介と歌や踊りの公演。家、舟、狩猟具、地名など、各回異なるテーマを取り上げます。
場所:伝統的コタン
※「ウパシクマ」はアイヌ語。「シ」は下付き小文字で表記します。





ウポポイ(民族共生象徴空間)について




アイヌ文化の復興・創造等の拠点として2020年に北海道白老町にオープン。道内初の国立博物館「国立アイヌ民族博物館」、アイヌ文化を五感で感じる体験型フィールドミュージアム「国立民族共生公園」、アイヌ民族による尊厳ある慰霊を実現するための「慰霊施設」からなり、豊かな自然に抱かれたポロト湖のほとりで、触れる、体験する等さまざまな角度からアイヌ文化や歴史を体感いただけます。





公式ウェブサイト:https://ainu-upopoy.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/ainumuseumpark/
公式Facebook:https://www.facebook.com/upopoy/
公式You Tube:https://www.youtube.com/@upopoy

所在地:〒059‐0902 北海道白老郡白老町若草町2丁目3
電話:0144-82-3914(代表)
アクセス:JR白老駅から徒歩約10分。新千歳空港から高速道路または列車利用で約40分。
入場料(税込):一般大人1,200円、一般高校生600円、中学生以下無料
 ※20名以上に適用の団体料金あり※有料の体験プログラムや博物館の特別展示の料金は含みません
開園時間:9:00~17:00
 ※時期により変動あり
閉園日:月曜日、2月28日~3月9日、月曜日が祝日の場合は翌日以降の平日
 ※特別な開園日あり
開業日:2020年7月12日
指定法人:公益財団法人アイヌ民族文化財団
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