前出「杉並アニメーションミュージアム」の館長で、「トキワ荘」時代(20代の頃)からヒット以降も、公私ともに赤塚と交流があったアニメーション作家の鈴木伸一氏に聞いた。

 

「トキワ荘」時代からの盟友で、「杉並アニメーションミュージアム」館長の鈴木伸一氏。

「(赤塚自身は)本来はすごいシャイな性格でしたけど、一方で、なんでも面白がるところがありました。『おそ松くん』もそうですけど、赤塚作品は主人公だけではなく、脇役まで面白かったりしますよね。それはきっと彼が、私生活まで含めて、面白いことならなんでもやってみる子どものような“純”な気持ちをもっていたからだと思います。

 

「赤塚不二夫のアニメ展なのだ」での赤塚キャラ像。

あと、今でも赤塚作品が古く見えないのは、キャラクターのインパクトの強さだと思います。今、CMでウナギイヌとかが出てきても違和感がない。そういう強烈な笑いがあって、キャラクターも強い個性を持っている漫画って、実は赤塚以降いないように思うんです。だから、直接の赤塚世代でない、今の若い人たちにもずっとウケているんじゃないかと思います」

赤塚の人生は、そのギャグ作品になぞらえるようなハチャメチャなエピソードも多く、「漫画を地でいった」と評されることもある。

しかし、人と人との繋がりにどこまでも向き合った逸話も多々あり、ハチャメチャな面だけで容易に捉えることはできない。赤塚の実娘で、現・フジオ・プロ代表の赤塚りえ子氏に聞いた。

 

赤塚不二夫の実娘で、現・フジオプロ代表の赤塚りえ子氏。

「赤塚は生前、『どんな人にでも読んでもらえるように描いていた』と言っていました。読み手を限定しない自由さがあって、上から目線で描いたものがない。人間でも毛虫でもカエルでも猫でも、それぞれに愛情をもっていた人なので。

だから、赤塚作品は読む人によって、感じ方もバラバラという(笑)。でも、そうやって自由に受け取ってもらえることが嬉しいですし、赤塚作品によって楽しく、笑いに繋げていただけたらなお嬉しいです。『笑う』ということは、生きる上でとても大切なことだと思っていますので」

情報が盛んで、コミュニケーションツールも成熟した昨今だが、同時に本質的な意味で、人と人とが向き合う機会が減ったことは否めない。そんな時代だからこそ赤塚自身が持っていた人間愛、笑い、そしてそれらに裏付けられた作品や愛くるしいキャラクターたちが、改めて支持されているのかもしれない。

 

『赤塚不二夫 80 年ぴあ』 5 月 22 日(金)発売予定

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また、本書にはオリジナル手ぬぐい、観音ピンナップも封入。
愛くるしいキャラクターたちのビジュアルから入る若い世代から、
原作をリアルタイムで見ていた往年のファンまでをも魅了する一冊です。

《CONTENTS》
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●「赤塚不二夫の 80 年」
●著名人、フォロワーたちによる「赤塚不二夫ファン倶楽部」
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