今回紹介するそれは、文房具なのかと聞かれたら、文房具だと胸を張って答えよう。机の上で使える小物、それは文房具だ。仕事するのにコーヒーが必須なら、コーヒーカップはペンケース程度には文房具と言っていいはずだ。飲み物無しでは一行の文章も書けない筆者にとって、ドリンク周りのツールは全て文房具なのだ。元々、酒器なんて、文人が墨を磨るための水差しで酒を飲んだ所から始まったりもしてるのだから、文具と飲み物の距離はとても近いのだ。と、言い訳をしておいてから、最近とても気に入っている小物から。
YO-KO Design「リブ・カクテルスターラー」各色525円(税込)
この、プラスチックのトンボの群れは、フランスのプロダクトデザイナーが考案した新しいツール。1つ500円というお手ごろ価格のコレが何かというと、商品名は「リブ・カクテルスターラー」といって、まあ、早い話がマドラーだ。
羽根部分がグリップになって、とても混ぜやすいマドラーだ。
トンボというか、日本で言えばどちらかというとカゲロウとかイトトンボ的なフォルムになった尾の部分が、ちゃんとオール状になっていて、中の飲み物がよく混ざる。時々、ただの棒の先に球が付いただけの、まったくかき混ぜる効果がないマドラーがあるけど、そんなものとは違うのだ。氷がなくても、例えばお湯割りやホットレモネード、ココアなんかも、しっかり混ぜる事が出来る。こういう言い方があるかどうかは知らないが、本格的なマドラーだ。
では、何故トンボの形をしているのかといえば、それは、グラスやカップの縁に、トンボのようにとまらせる事が出来るからだ。これ、分かる人にはこれだけで分かると思う。かき混ぜた後のマドラーくらい始末に負えないものはないのだ。グラスに差したままだと飲みにくいし、かといって、そのへんに置いとくと、次に混ぜたくなった時困るし、水のグラスの上に置いたりするけど、それもカッコよくない。ということで、グラスの縁にトンボのようにとまらせると、見た目も良ければ邪魔にもならず、置き場も考えなくて済む。ちょっとだけ前に重心がある、少しだけ尾が上向きになる角度もいい感じだし、特に気を使わず、ポンとグラスの縁に置けば、ちゃんととまる、その重心のバランスも良いあたりに、理系グッズの香りがする。そこがカッコいいと思うのだ。
さらに嬉しい事に、このトンボをとまらせたままでも、普通に飲み物が飲めるのだ。羽根の角度も考えられていて、持つ手にも、飲む口にも、全く邪魔にならない。もちろんグラスを傾け過ぎると、こちら側に滑り落ちるけれど、ゆっくりと飲めば最後までトンボを向こう側に眺めながら、酒やお茶が楽しめる。トンボが落ちるようじゃ、まだまだリラックスが足りない、とかね。使えば使うほどに、バランスや長さ、角度がとても綿密に計算されている事が分かって、そのアイディアと技術を楽しみながら、お湯割りでもホットカルピスでも、ホットワインでも、色々とかき混ぜながら飲める、愛用のマドラーを持ってるのもカッコいいと思うのだ。
SUS Gallery「真空チタンカップ」左300ml、マット仕上げ(16,800円)、右230ml、ゴールド仕上げ(22,050円)。
その、トンボをとめてた銀色のカップも、実はただ者ではない。これは、SUS Galleryの「真空チタンカップ」といって、何と、チタン製で中空構造になっているから、その金属のルックスからは考えられないほど軽く、でも丈夫で、しかも中空部分は真空二層構造だから熱を通さない。つまり、熱々のお茶を入れても普通に持てるし、氷たっぷりの水割りでも、持つ手は冷えないし、何より結露もしないから、机の上が濡れる事もない。それこそ、仕事中の机の上に最適のカップ、文房具的カップなのだ。
真空二層構造、つまりステンレスの保温保冷水筒と同じ仕組みで、中の飲み物の温度も保つし、それが外側に伝わる事も無い。それでいて、飲み口は薄く作られていて口当たりが良いし、胴体も微妙に凹凸があって手にフィットする。何といっても軽い(300ml入るタイプが約120g)から、たっぷり入れても飲みやすい。中の飲み物の温度が変わりにくいし、氷も溶けにくいから、仕事しながら飲むのに最適なのだ。冬場に冷たいものを飲みたい時、手が冷えないのが何より嬉しい。