総評の後編は、視聴率とはなかなか一致しない個人的な満足度の順位を。あくまでも個人的な印象なので、自分の満足度と違っても怒らないよーに。結果はこんな感じ。
ストロベリーナイト | ★★★★★ |
最後から二番目の恋 | ★★★★★ |
最高の人生の終わり方~エンディングプランナー~ | ★★★★☆ |
運命の人 | ★★★★☆ |
理想の息子 | ★★★★☆ |
ステップファザー・ステップ | ★★★☆☆ |
早海さんと呼ばれる日 | ★★★☆☆ |
13歳のハローワーク | ★★★☆☆ |
ラッキーセブン | ★★☆☆☆ |
ハングリー! | ★★☆☆☆ |
恋愛ニート~忘れた恋のはじめ方~ | ★☆☆☆☆ |
聖なる怪物たち | ★☆☆☆☆ |
ダーティ・ママ! | ★☆☆☆☆ |
妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活~ | ★☆☆☆☆ |
脚本と演出の完成度、適切な配役、さらに中身の濃さまで考えると、やはり『ストロベリーナイト』の満足度は高かった。そのヒロイン・姫川(竹内結子)は、警察という組織の中で男と対等に、いや男以上に仕事をしていて格好良かった。
そして、姫川とは別の意味で男前のキャラクターだったのが、『最後から二番目の恋』で小泉今日子が演じていた千明だ。45歳独身でオヤジ化しているとも言えるけど、ドラマの終盤、真剣に悩む典子(飯島直子)や万理子(内田有紀)の相談に乗るシーンは、本当に男前だったと思う。とくに、万理子の悩みは、千明に恋してしまったというもので、普通ならリアクションに困ってしまう内容だけど、その堂々とした受け答えは、万理子でなくても泣ける格好良さだった。
『最後から二番目の恋』は、真平(坂口憲二)の病気をタイトルの「最後から~」にかけるのではないかという、こちらの安易な想像を見事に裏切って、普遍的な大人の恋愛物語にまとめたところがすごかった。最後の最後に和平(中井貴一)と千明がお互いの気持ちを確認するだけという終わり方も、『まだ恋は始まらない』を知っている世代としてはうれしかった。
あと、千明がテレビ局のドラマプロデューサーという設定だったのが、シニカルな切り口も出て面白かったと思う。「45歳のラブコメを楽しんでくれる人なんて、少数派だろうけどね」という自虐的なセリフもあったんだけど、視聴率の順位も4位だったし、十分に今期を代表する作品だったと思う。
『理想の息子』は、コメディのセンスが受け入れられない人も多かったと思う。でも、個人的には野島伸司らしさが出ていてけっこう楽しめた。終盤は、理想とは誰のためにあるのか、という切り口になって、子離れ、親離れも描かれたけど、ラストはやっぱり「母ちゃんが好き」でまとめたのは、コメディとして正しかったと思う。
本当は、もっと複数の母子関係を並行して描いたほうが、気持ち悪さは軽減できたはず。でも、それをせずに、NEOマザコンを前面に押し出してコメディにしたところは、作品の個性を出すことにつながって悪くなかったと思う。ただ、三船(藤ヶ谷太輔)の母子関係は、最後にもう少し時間を割いてもよかったような気がする。海(鈴木京香)が三船の部屋でご飯を作ってあげるまでの展開がかなり急で、ちょっと残念だった。
『13歳のハローワーク』は、予想と違って意外とうまく作られていた。鉄平(松岡昌宏)のキャラクターやタイムスリップの設定など、B級テイストは全開だったんだけど、村上龍のあの本をこういう形でドラマ化したところは、企画だけでは終わらせないというスタッフの意気込みを感じた。現代と1990年を何度も主人公に行き来させることで、複数の子供たちのその後も描いたのは、ドラマ性も上がって良かったと思う。
あと、子役もかなり粒が揃っていた。沢木ルカ、武井証、小野花梨、吉川史樹の他に、第12回全日本国民的美少女コンテストグランプリの工藤綾乃、第14代リハウスガールの山本舞香、『家政婦のミタ』で長男を演じていた中川大志なども出ていて、豪華な感じすらした。鉄平の中学生時代を演じた田中偉登も初めて見たけど、個性があって良かったと思う。じつは、このドラマが今期の大穴だった。
『恋愛ニート』は、恋愛ニートという単語に寄りかかり過ぎて、その見せ方に工夫がなかったと思う。マニュアルドラマなのか、ラブコメなのか、切り口も曖昧な感じがして、作品の色がハッキリしなかった。まあ、久しぶりの大人の恋愛ということなら、『最後から二番目の恋』とかぶっていたわけだし、視聴者を惹きつけるには、かなり厳しい内容だった。
出だしは凛(仲間由紀恵)が恋愛ゲームに巻き込まれるという展開だったので、もっとコメディに徹してもよかったんじゃないだろうか。実際、7話の前半などのように、無理矢理トラブルを起こしたりすると、意外とB級っぽさが出て面白かった。とにかく、いろんな意味で中途半端だったのがもったいなかった。今、売り出し中の本田翼が、仲間由紀恵の妹役で出ていたことだけはしっかり覚えておこう。
『ダーティ・ママ!』も、企画から先の描き方がしっくり来なかった。1歳の息子を特別仕様のベビーカーに乗せて捜査する、シングルマザーの刑事という主人公は確かに魅力的だった。そこに自分の子供は自分で守るという母親の覚悟と強さが出ている切り口も悪くなかった。ただ、そこに加えたダーティさのサジ加減が、主人公の魅力にはつながっていなかったと思う。主演が永作博美なので何とかなるだろうと思っていたんだけど、そうでもなかったのは残念だった。
10~12月期に比べると、良作の数は少なかった。でも、放送前の予想を良い意味で裏切った作品にいくつか出会えたので、うれしい誤算もあった1~3月期の連ドラだった。