ソフトバンクは10月22日、ソフトバンクアカデミア特別講義を開催した。第1部では、ソフトバンクグループの孫正義 代表取締役社長が登壇し、「シンギュラリティー」「ソフトバンクグループの世界戦略」「リーダーシップ」などをテーマにプレゼンテーションを実施。今後30年でコンピュータのIQは1万になると予想し、その世界を「きっと素晴らしいものになる」と語った。第2部ではニケシュ・アローラ代表取締役副社長も登場。300年持続するソフトバンクの姿になどについてを対談した。
孫社長はプレゼンテーションで、「シンギュラリティ=(技術的特異点)」をコンピュータが人間の頭脳を超えるときと定義し「30年後に訪れる」と語った。「人間の脳細胞の数にトランジスタの数が物理的に追いつくのは2018年。およそ300億個のトランジスタがワンチップのCPUに入る」と試算。さらに30年後には「1チップに脳細胞の100万倍のトランジスタが入るようになり、人間の頭脳を完全に凌駕する」と語った。
その時点ではもはや「プログラミングは必要ない。今で言うDeep Learningの手法で、子供が自然に能力をつけていくように、あらゆる事象をコンピュータに投入して自己学習させる。あとは勝手に経験値として蓄積し考える力をコンピュータ自身が身につけていく」としながら「もしかするとそれは30年後ではなく40年後、50年後かもしれない。しかし、300年かかることは絶対にあり得ない。10年20年は誤差の範囲」と語った。
また、人間をコンピュータが超えるということは進化なのか、破滅なのかと自ら問いかけ「きっと素晴らしいものになると信じる」として「人間の知性や理性、社会性、モラルが進化してきたように、人間をはるかに超えた知能のロボットは、地球を破滅に導くことは避けるはず。人類は必ず知的ロボットと共存できる。情報革命が人々をより幸せにする」と語った。
IoTの進展については「30年後にはロボットの数が人口を上回る。車も全部ロボットになる。自ら考えながら走るロボットだ。飛行機も船も同じ。AIを持ち、ネットにつながり、クラウドにつながる。人間の知能をはるかに超えたロボットがうじゃうじゃする時代がくる。そしてありとあらゆるモノがネットにつながる。靴も眼鏡もシャツもボールペンも。一人あたり1000個のディバイス、世界では10兆個のIoT機器があふれる」と話した。
孫社長とアローラ副社長との対談では、シンギュラリティーの時代にソフトバンクはどうやって生き残るのかとして、アローラ副社長は「技術の進歩で創業のスピードは速くなった。そのなかで、ベストな創業者を見つけ、そのパッションに投資する。資金を提供して、グループ会社を増やし、多くの創業者に投資していく必要がある」と語り、孫社長も「100%同意だ」と語った。
投資先を探し出すエピソードとして、インドのタクシー配車プラットフォーム「オラ」と出会った時のエピソードも披露。まず、200社のなかから厳選し、孫社長とアローラ副社長の二人で、2日で45人と面談。そのなかから、UBERと同じことをやっている「オラ」に投資することを決めたという。アローラ副社長は「将来は車を持つ必要がなくなる。自動運転でロボットカーがそこら中に走っている時代。その車をコントロールするのがビジネスになる」と話した。
300年継続する企業作りについて、対談で孫社長は「次のステージをめざしこれから、ソフトバンク2.0になるべき。グローバルカンパニーになり、世界規模の経験と視野が必要。そのなかで、必ず300年継続する文化や組織をつくることができる」と話した。