カギを握る新たなファン層
『フォースの覚醒』オープニング興行成績は、当たり前のように過去最高を記録しました。
しかし、全世界興行収入では『ジュラシック・ワールド』に及ばなかったとの報道も出ました。
この原因は、今や映画の巨大市場となった中国です。
中国ではまだ『フォースの覚醒』が公開されておらず、当然ながら興行収入に中国のお金が入りません。
そして、『フォースの覚醒』の最終興行成績でどこまで記録を伸ばせるかという点で最大の懸念事項となっているのが中国です。
中国は旧三部作の頃はハリウッド映画が上映されるような環境になく、中国人の多くはプリクエル(新三部作)からしか知りません。
スター・ウォーズファン自体が他国に比べて非常に少ないのです。
その層を取り込むためには、新たなシリーズだけを観ても多くのファンを獲得できるような魅力が必要となります。
これは中国だけの問題ではありません。
「今後100年」愛されるシリーズとなるためには、旧三部作に頼らず、オリジナルの魅力を生み出し続けないといけないのです。
物語を継承する難しさ
物語を継承しながら新たな魅力を生み出すこと。
ここでネックとなるのが、『ジェダイの帰還』でシリーズ完結の形を見せていることです。
ルーカスの構想としてエピソード7~9にあたる作品もありましたが、映画としては一応完結の形を見せていますし、今回の新たな三部作はルーカスの構想とは全く別のものです。
ディズニーは、『くまのプーさん/完全保存版』の「最終章」で完結したプーの物語を再び長編映画化するにあたり、『くまのプーさん クリストファー・ロビンを探せ!』の冒頭で「最終章」を語り直し、75分をかけてプーたちとクリストファー・ロビンの関係を定義し直しました。
しかし『フォースの覚醒』はもっと大変です。
アナキンとルークというスカイウォーカー親子の物語から外れ、「今後100年続く」シリーズをスタートさせなければなりません。
それを見事にやってのけながら、はじめてスター・ウォーズに触れる人にも理解できるストーリーに仕上げ、今後の作品への期待を持たせるストーリーは、見事としか言いようがありません。