2015年、デジタル家電市場で定着した言葉が「SIMフリースマートフォン」だろう。スマートフォンが安く使えるMVNO(仮想移動体サービス事業者)の台頭とともに、仕様さえ合えばどのキャリアのSIMでも自由に使えるSIMフリーのスマホが続々と発売され、一つのカテゴリーとして定着した。その日本のSIMフリースマホ市場拡大に貢献したメーカーの一つがファーウェイだ。日本でも15年から、エントリーモデルからフラッグシップまで幅広いラインアップ展開を開始、BCNランキングでも7月から9月まで3か月連続販売台数でトップシェアを獲得するなど、日々存在感が大きくなってきた。そこで、SIMフリースマホに加えタブレットのラインアップも含め15年のファーウェイを主要端末で振り返る。
●ファーウェイが世界第3位のスマホメーカーに、
日本でもSIMフリー市場で3か月連続のトップシェア獲得
2015年8月以降、イギリスの大手メディアComputer Business Reviewを始めとする海外メディアが相次いで、ファーウェイが2015年第2四半期においてサムスン、アップルに続く世界第3位のスマホメーカーとなったことを大きく報じた。ほかのメーカーがスマホ出荷台数を減少、または微増に留まっているなかで、ファーウェイは2015年上半期に前年同期比39%増に相当する4820万台を記録した。
またファーウェイのコンシューマー事業部が10月27日に発表したデータによれば、2015年第3四半期の同社スマホ出荷台数は前年同期比63%に相当する2740万台を達成しているという。出荷台数の増え幅を世界市場で見てみると、中国市場が81%増、ヨーロッパ市場が98%増、中東・アフリカ市場が70%増を記録しているとのこと。ハイエンドからローエンドまで幅広いラインナップを用意しているファーウェイが、先進国から新興国までユーザーのニーズを広くカバーし、支持されていることがわかる。
ドコモ、au、ソフトバンクのいわゆる3キャリアによる寡占状況が続いてきた日本のスマホ市場だが、格安SIMカード(MVNO SIMカード)の一般化により大きく状況が変わった。家電量販店にSIMフリースマホや格安SIMカードのコーナーが常設され、またテレビを含む多くのメディアが特集を行った。これまでSIMフリースマホや格安SIMカードはITリテラシーの高い限られた層だけが利用してきたが、多くの一般層が携帯電話の利用料金を節約するため利用するようになってきている。2015年はSIMフリースマホ元年、格安SIMカード元年と位置づけることができるだろう。
量販店店舗内にドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアと変わらぬスペースを確保するほど大躍進を遂げたSIMフリースマホ。それを牽引したのがファーウェイであることはデータが証明している。当社BCNランキングの「メーカー別SIMフリースマートフォン販売台数」において、ファーウェイは7月~9月の3か月連続で首位を獲得。特に8月については機種別販売台数1位を「HUAWEI P8lite」、4位を「Ascend G620S」が獲得しており、幅広いラインナップを国内に投入しているファーウェイの強みが現れた結果となっている。
●コストパフォーマンスに優れる「HUAWEI P8lite」
それでは2015年にファーウェイから日本向けに発売されたSIMフリースマホ、タブレットを振り返ってみよう。
当社BCNランキングのSIMフリースマホの機種別販売台数で8月に 1位を達成した「HUAWEI P8lite」の人気の理由は、なんといってもコストパフォーマンス。64ビットのオクタコア(8コア)CPU「Kirin 620」、1300万画素のアウトカメラと500万画素のインカメラを搭載しつつ、税抜で3万円を切る価格を実現している。
もちろん使い勝手も優れている。例えば、画面オフの状態からでもダブルタップするだけで画面を表示したり、オフ状態の画面上に文字を描くと設定しておいたアプリが直接起動する、といった「モーションコントロール機能」はとても便利だ。カラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、ゴールドの3色。販売は継続して順調で、2015年のSIMフリースマホを代表するモデルと言えるだろう。
●ダブルレンズ搭載でカメラ機能に注力「honor6 Plus」
アウトカメラにダブルレンズを搭載した「honor6 Plus」はカメラ機能に注力したモデル。2つの800万画素イメージセンサーの画像を超解像合成することで、最大1300万画素相当の写真撮影に対応。またHDR合成により、ゴースト現象のないシャープな画質を実現している。ほかにもダブルレンズのステレオ方式で得られた深度情報を用いてF0.95~F16と一眼レフカメラ並みのボケ味のある写真撮影や、ダブルレンズの視差を利用して約0.1秒の高速フォーカスを達成するなど、カメラ専用機並みの画質・機能性が魅力の製品だ。
●VODサービス鑑賞に最適な大画面モデル「HUAWEI P8max」
大型ディスプレーを搭載した「ファブレット」として人気を集めたのが「HUAWEI P8max」。豊かな色調とコントラスト比に定評あるJDI製6.8インチフルHD IPS-NEO液晶を搭載しつつ、画面占有率83%の狭額縁設計を実現。フル画面で映像を再生しながら手に持つと、まるで映像自体を掴んでいるような錯覚を覚えるほどだ。NTSC比95.9%の色彩表現力、1500:1の高コントラストはシネマクオリティー。Hulu、Netflix、Amazonプライム・ビデオなどVODサービスを屋内外で存分に楽しむのに最適なSIMフリースマホと言えるだろう。
そのほかの機能も充実している。6.8インチと大型のディスプレーを活かして、画面を左右に分割し、それぞれ別々のアプリを同時使える機能を備えている。また、「Knuckle Sense」と呼ばれる機能もおもしろい。ドアをノックするような要領で画面を2回叩けば、画面キャプチャーでたり、画面を叩いて、そのまま画面の上で円やハートマークを描くと、その部分だけ画面キャプチャーすることもできる。
カメラ機能も注目だ。スマホとしては世界初の1300万画素4色イメージセンサーを搭載、光学手ブレ補正機能と相まって、暗いところでもきれいな写真が撮れる基本機能は折り紙付き。さらに、光の軌跡を美しく記録できる「ライトペインティング」機能で幻想的な写真を撮ることもできる。
●質感・性能に加えユーザビリティーを大幅向上「HUAWEI Mate S」
11月26日に発表された「HUAWEI Mate S」は、ファーウェイのフラッグシップモデルにふさわしいスペックと質感を備えたモデルだ。優美な曲面を描くフルメタルボディー、AMOLEDの美しいディスプレーも魅力的だが、見逃してはならないのが指紋認証に多彩なタッチ機能を搭載したことにより達成したユーザービリティー向上。指紋センサーを上下にスライドさせることで通知エリアを表示、ギャラリーアプリで左右にスライドさせることで画像を前後に送り戻しできる「Fingerprint Sense 2.0」はとても便利だ。
画面をノックする操作を起点に写真や動画をキャプチャーしたり、文字を描いてカメラやアプリを起動したりできる「Knuckle Sense 2.0」も、直感的にスマホが使えて楽しい。「Fingerprint Sense 2.0」も「Knuckle Sense 2.0」も、どちらもスマホをより快適に操作するために搭載されたファーウェイの独自機能だ。パフォーマンスだけでなく、質感、ユーザビリティーを引き上げた「HUAWEI Mate S」は、年末年始の商戦期における最注目SIMフリースマホと言えるだろう。
●約1万円で買えるお手軽タブレット「MediaPad T1 7.0」
WiFiモデルなのでSIMカードを挿してモバイルデータ通信を行なうことはできないが、タブレットの裾野を広げた製品として特別枠で「MediaPad T1 7.0」にも触れておきたい。税込で約1万円と非常に低価格ながら、メタルフレームを採用することで十分な剛性感を備えている。CPUにクアッドコア(4コア)の「Spreadtrum SC7731G」を搭載しており、「アングリーバード」、「Ski Safari」、「Riptide GP2」などのゲームも快適に遊べるだけのパフォーマンスも実現している。気軽に購入し、ラフに扱える、初めてのタブレットとして最適な一台だ。
●画質・性能ともにタブレット最高レベル「MediaPad M2 8.0」
本格的にタブレットを活用したいなら「MediaPad M2 8.0」は有力な候補となるだろう。8インチIPSディスプレーの解像度はフルHD超えの1920×1200ドット。コントラスト比1000:1を達成しているディスプレーは、映画コンテンツの鑑賞にも十分応えてくれるだけの画質だ。CPUはオクタコア(8コア)プロセッサー「Kirin930」を採用。2015年に発表・発売された最新スマートフォンと比肩する処理能力を備えているので、Android端末用に最近増えてきた本格3Dゲームなどもゲーム専用機並みに快適に動作させられる。
画質だけでなく音の面でも最高レベル。サウンドのチューニングを担当したのは、米国ハーマン社のハーマンカードン。独自の音響技術と先進のデザイン性を兼ね備えた世界的なオーディオブランドだ。さらに、同社の「クラリファイ」テクノロジーも搭載し、圧縮で失った音楽データを本来の美しさまで復元する。そのため圧縮音源でもCDクオリティの音を楽しめるのだ。
キャリアにスマホ、モバイルルーターを提供する一方で、2015年に数多くの多彩なスマホ、タブレットをSIMフリー端末として日本市場に直接提供してきたファーウェイ。世界市場にグローバル展開しているからこそ可能な幅広いラインナップを今後も国内市場に投入していくことによって、2016年には同社端末を指名買いするようなファンをさらに増やしていくはずだ。