VAIOは、2月4日、Windows 10 MobileをOSに搭載したスマートフォン「VAIO Phone Biz」を発表した。
VAIO純正としては初となるスマートフォンは、Windows Phoneだ。代表取締役の大田義実 社長は「VAIOで培った技術力を新規領域に投入していく」と事業戦略を説明したうえで、本業のPCとは、もはや切り離せない領域となっているスマホでの取り組みに言及した。その選択が、VAIOブランドの立ち上げからともに歩んできたWindowsだった。ビジネスユースにフォーカスを絞り、VAIO PCの哲学である“快”を追求した“日本メーカーによる、日本市場のためのスマホ”で市場に打って出る。
日本マイクロソフトの代表執行役の平野拓也 社長は「Windows 10の普及は順調で、法人向けにはすでに2200万台の端末が稼働している。その選択肢のなかにVAIOが加わるのは非常に魅力的」と、VAIO参入の感想をコメントした。
VAIOの戦略は、すべての作業がWindows端末で完結する、マイクロソフトが掲げる“One Windowsシナリオ”に合致する。「パートナー連携を強化することで、より愛されるWindowsを創出していきたい」とビジョンを語った。
販路におけるパートナーとなるNTTドコモの取締役執行役員の高木一裕 法人ビジネス本部長は「日本マイクロソフトと法人分野での協業を開始したのは12年11月から。今日までに35万契約を達成。8割が新規契約だ」と、Windowsビジネスが着実に成果を出していることを説明。
Windows Phoneは既存ユーザーからの要望が強く、新たな開拓分野としての期待は大きい。「ドコモの快適なネットワーク、マイクロソフトのセキュアな資料作成・共有、VAIOのContinuum対応の高品質端末が三位一体となることでワンストップのソリューションを提供していきたい」と今後の事業展開を語った。
Windows 10 Mobileを搭載するメリットとして、PCや企業システムの親和性の高さが挙げられる。OfficeやOneDrive、Skypeなど、ビジネスシーンで利用することが多いアプリケーションをシームレスに使用できるので、端末や場所を問わず、快適な作業が実現する。Office Mobileをプリインストールするが、ゲームのような娯楽系アプリは初期設定では極力排除。それだけビジネスユースにフォーカスしているということだろう。
シームレスな作業という点では、スマホの画面をディスプレイに投影してデスクトップ環境を構築できる「Continuum(コンティニュアム)」に対応することにも注目だ。外部ディスプレイに専用アダプタをつなぎ、ワイヤレスでスマホに接続。接続時には、スマホ画面は外部タッチパッドとして使用することができる。アダプタを通じて、キーボードやマウスと接続することもでき、まさに使い勝手はPC同様。ディスプレイで作業しながら、スマホ側で電話したりアプリを使用したりといった使い方も可能だ。
このContinuumに対応するために、プロセッサも高スペックモデルを採用。Qualcomm社のオクタコアプロセッサ「Snapdragon617」は、他社のスマホメーカーが搭載する同社のプロセッサより、一段階か二段階、グレードが高い。
SIMフリー端末はまだ海外メーカー製の占める割合が高いが、国内の通信バンドで対応していないモデルが混在しているのが実情だ。「VAIO Phone Biz」は、国内で主要な通信バンドをカバーするだけでなく、NTTドコモのキャリアアグリゲーションに対応する。
5.5インチ液晶ディスプレイ(1080×1920ドット)のきょう体は、アルミニウムの削り出しボディで美しさと耐久性を両立。PCのフラッグシップモデル「VAIO Z Canvas」のデザインコンセプトを踏襲した。
製造自体は海外の協力会社で行うが、VAIOの安曇野工場で全数検査する「安曇野FINISH」を実施し、高品質と安心をアピールする。RAMは3GBで、ROMは16GB。外部メモリはmicroSDに対応し、最大64GBまで増量できる。
法人向けには、パートナーシップを組むNTTドコモとダイワボウ情報システムから、個人向けにはVAIOストア、BIGLOBE、楽天モバイルなどのMVNO、一部の家電量販店で販売する。受注・発売は4月から。価格はオープンで、実勢価格は5万円台の見込み。(BCNランキング編集部・大蔵 大輔)