原:結成直後に戻ったというか、戻したという感覚に近いですね。

5月に事務所を出たタイミングで、「Sissyを結成し直したと思うようにしようよ」って話したんです。結成し直してゼロからスタートする感覚で、次に出来る曲が1曲目くらいの気持ちでやり直そうと。

だから、6月から再スタートの気持ちで曲を作って、8月には自分たちが始めてライブをやった大塚Deepaで“原点回帰ワンマン”をやったんです。

4月の時点で事務所を離れることが決まってたんですが、その時は「新しいバンド名でやろうか」って話もあったんです。でも、今いるファンを裏切る事は出来ないから、ゼロから始める気持ちでやろうって。

――とは言え、自分たちの中にも、これまでの活動や楽曲への思い入れはありますよね?

原:もちろん。なので、ワンマンでは自分たちのやりたい曲、お客さんの聴きたい曲をやりながら、新しい曲もどんどん演奏していきたいなって話していて。

示村:でも、「Ready Go!」とか「Passion!!」とか、過去の代表曲を越えていかなきゃいけないとも思っていて。「君と道」から始まった新しいSissyの曲たちはすごく自信のある曲だし、「大人になったな、Sissy」と思いながら気持ちを込めて演奏出来ているし。

昔の曲も今は全く違った気持ちで演奏出来てて、すごく良い感じではあるんですけどね。

原:悔しかったのもあるんですよね。事務所を辞める時、お互いに綺麗に別れようとするんですけど、「君たちは結果が出せなかったね」という含みがあって、こっちには「絶対に見返してやる」って気持ちももちろんあるし。

――栄作くんは事務所の契約が切れた時、どんな気持ちでした?

松田:めちゃくちゃ不安でした(笑)。でも、うすうす感づいていたことではあったし、自分たちがやりたい音楽をやり続けることが大事だと思ったので。続ける覚悟を決めて、こうして取材してもらえてることが嬉しいです。僕、自分の歌がどこまで通用するか確かめたいんです。歌の先生にも「オマエは一番になれるぞ」と言っていただいて、自分もそう思っているので。

どこまで通用するかを確認するまでは、簡単に辞められないですね。僕らのことを知らない人に知ってもらえた時、「ヤベェな、Sissy!」と思ってもらえるように、今はただ歌い続けるだけです。

辞めようと思った時、敷かれたレールの上で終わるのはイヤだと思った

――再結成するくらいの覚悟で歩き出すに至るまで、解散を考えたことはなかった?

原:僕はありました。2014年に渋谷公会堂をやった時、「1,000人行かなかったら、辞めてもいいんじゃない?」って話していたんですが。逆に1,000人入れたら、事務所が何か動いてくれると思って、頑張ってチケットを売ったんです。

そしたら結果、1,500人入ったんですけど、何も状況が変わらなかった。

入れたこと自体がプロモーションだという発想だったと思うし、それも分かるんですけど。その時は1,000人入れた先にある道が、僕には見えなかったんです。

で、2015年に2度目の渋公をやるんですけど、お客さんもだいぶ減っちゃって。僕はそれを終えた時、自分が諦めると思ってたんです。

またこの先が見えない中で、続けていくことは出来ないだろうと思ったんです。

でも、実際に渋公を終えてみたら、「このまま敷かれたレールの上で終わるのはイヤだ!」と思って。どうせ辞めるならここまでやってもらったことを糧に自分たちのやりたいことを思い切りやって、ボロボロになってから辞めればいいんじゃないか? と思って、思いとどまったんです。

――それは思ってただけじゃなくて、実際口にも出していた?

示村:出してました。僕も聞いてましたし、一人抜けたらSissyも終わりだなとも思ってました。でも、それを聞いた時に「じゃあ、俺が思いとどまらせるために何が出来るんだろう?」と思ったら、何も出来ないなと思ったんです。

その時、ずっと敷かれたレールに乗って、甘え続けていたことに気付いたんです。

デビューしたての頃とか、時間なんか死ぬほどあったはずのに僕はボーッとしてるだけで、何も頑張ってなかったなって。

そこで「俺は何をやってたんだろう!?」とやっと思えて、少しずつ意識も変わったし、意識も変わって。渋公の後、「4人で何が出来るだろう?」とすごく考えるようになったんです。

――なるほど。では、事務所を辞めたのもキッカケだったけど、具体的には昨年4月の渋公がSissyを変えるキッカケになったんですね。

示村:そうですね。僕は最初の渋公の時、みんなに救われたんです。

渋公直前、あと一ヶ月というところでチケットが全然売れていなくて。「辞めたくないけど、1,000人入らなかったら俺はSissyを辞める!」って号泣して。

佐藤:ビックリしましたよ、大の大人がこんなに号泣するなんて!って(笑)。

――わははは! 横で意外と冷静に見てたんだ(笑)。

示村:でもその時、3人が「頑張ろうよ!」って言ってくれて、実際にみんなで寒い中で路上で必死でチケット売って、思いとどまれたんです。

今でもあの時、1,000人集めたのは奇跡だったと思うんですよね。

その時、この3人に恩返ししたいと思ったし、3人のために出来ることをしたいと思ったし……と言いながら、1年に一回くらい辞めたい願望が出てきて、号泣するんですけど。
松田 もう、年に1度の恒例行事になってきてるからね(笑)。

原:そうだね(笑)。でも、原動力になるのって、嬉しいことか悔しいことだと思って。

僕らは悔しさを原動力にやってきたので、今度は嬉しいを原動力にしたいんです。そこでグローブ座のワンマンは、デビュー前以来くらい達成感あったし、成功したなと思えたし。

佐藤:熱い気持ちでこつこつ地道に頑張ってる時って、お客さんも熱い気持ちで応援してくれるし、そこから長く応援してくれる人が増えるんだよね。

渋公の時も必死でチケットを売ってる姿を見て、ライブに来てくれる人も多くて。いま、その時の気持ちを蘇らせていければ、絶対に次のステップに行けると信じているんです。