だいすけお兄さんで親しまれる横山だいすけが、世界の名作をユーモアたっぷりに届けるミュージカル・コンサート『だいすけお兄さんの世界迷作劇場パート3 2019-20』の全国ツアーが幕を開けた。
「皆と一緒に名作を旅したいと思うんだ。おいらの名前は孫悟空!」と、横山の元気のいい掛け声で、1部のミュージカル『西遊記』が始まった。他人の肉まんまで食べてしまうお調子者の孫悟空(横山)が、お猿のポーズを決めながら歌い、所狭しと舞台を駆け回り、客席を盛り上げる。
いたずらが過ぎて、修行の旅にお供することになった孫悟空は、三蔵法師や豚の猪八戒、カッパの沙悟浄とともに珍道中を繰り広げる。驚かされるのは、横山をはじめとするキャスト全員の歌のうまさだ。横山の澄み切った伸びのある歌声は一段と会場に響き渡る。それに加え、大作ミュージカルに出演経験があるというのもうなずける、ほかのキャストも負けてはいない。特に孫悟空、三蔵法師、猪八戒、沙悟浄がアカペラで歌う「トルコ行進曲」のハーモニーは迫力満点だった。「世界迷作劇場の3回目になる今作は、歌のシャワーで音楽があふれています。セリフの量よりも歌のほうが多く、ミュージカルのイメージが強い。子どもたちが西遊記を知らなくても、僕らの表情や動きを見たら伝わると思いますし、音楽があるので、そのエッセンスが必ず届くはずです」と、横山も自信を見せる。
孫悟空がにょい棒をマイクスタンドにしてロックンローラーのように歌う童謡「アイアイ」では、客席が大いに盛り上がった。「ロック調の歌は、今回、振り切った大きなチャレンジですね。会場中の子どもたちや大人に声を出してもらう。あの曲だけバーンと出たら、たぶん、子どもたちはびっくりしちゃう。でも、物語が積み重なっていく上での必然性のある曲なので、受け入れてもらえたと思います」
自由気ままで、失敗ばかりしていた孫悟空が、人を助けるために奮闘していく。「歌の随所に『どんなことでも失敗を恐れずやってみよう』という言葉が入っているんです。僕だけではなく、色んなキャストがそれを歌っている。終演後、皆さんが『何かにチャレンジしてみようかな』と、前向きな気持ちになってもらえればうれしいですね」
第2部のコンサートでは「地球ぴょんぴょん」「ぼよよん行進曲」などおなじみの曲に会場中が飛び跳ね、大きくジャンプする。その一体感に皆の笑顔があふれた。休憩なしで全速力のノンストップの公演に、横山は最後に舞台上で倒れ「もう思い残すことはありません」とおどける。「迷作劇場は、歌や舞台セット、照明、何もかもがパワーアップしすぎていて、手ごたえを十二分に感じた」という。この夏、ぜひ、体感してほしい。
取材・文:米満ゆうこ
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