世界第3位のスマートフォン(スマホ)メーカーとなったファーウェイは、2015年に年間の世界出荷台数1億8000万台を記録。さらに、2016年に入ってから日本市場にSIMフリースマホのミドルレンジモデル「HUAWEI GR5」、エントリモデル「HUAWEI Y6」を投入。さらにグローバルではフラッグシップモデル「HUAWEI P9」、「HUAWEI P9 Plus」をリリースするなど、国内外のスマホ市場に攻めの姿勢を見せ、さらなるシェア拡大を目指している。
その一方で、ファーウェイ・ジャパンは3月22日にソフトバンクホークスとチームスポンサー契約を、ファーウェイ本社は3月24日にバルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ選手をブランドアンバサダーとして迎えることを発表した。この二つの施策によるファーウェイの目的はどこにあるのだろうか?
まず大前提として、世界第3位のスマートフォンメーカーとなったファーウェイが、グローバル企業としての責務を果たしているという側面がある。本業で得た利益をスポーツ振興などの社会貢献に還元することは、社会からグローバル企業に当然求められるものであり、ファーウェイもその役割を実直に果たしているということだろう。
とはいえ営利企業であるファーウェイが無作為にスポンサードすることはありえない。世界最高のプレイヤーであるメッシ選手と契約することで、ファーウェイブランドの認知度がさらに高めることが目的だろう。しかし意図はそれだけにはとどまっていないことが、会見の席でのコメントから推察できる。
メッシ選手はブランドアンバサダーに就任した席で、「自分の夢を実現するためには、犠牲をいとわず、全力でより大きな目標に向けて一生懸命努力すべき。自分に全く進歩がないと感じたら、別の分野で努力し、成功を勝ち取るべきだ」と語っている。
それを受けコンシューマー・ビジネス・グループ(CBG)プレジデントのケビン・ホー氏は、「メッシは弊社のブランドとともに、弊社が力を入れている欧州、アジア、南米などの人々に対して、目標に向かって努力し、困難を克服してすばらしい成果を得ることの大切さを自身のプレーで示していくことでしょう。弊社とメッシのこれまでの歩みには、『夢を抱き、諦めない信念と努力で夢を実現し、素晴らしい成果を上げる』という共通点があります。私たちは、新たな挑戦のたびに最後まで諦めることなく、正しい方向を模索し、成功にあぐらをかくことなく、常に成功へ続く道を歩み続けます」と続けた。
つまり、単純に“ファーウェイ”というロゴやブランドイメージを露出させるだけではなく、ファーウェイという企業の“姿勢”を内外に明確にアピールするために、そのスタンスが重なっているメッシ選手をブランドアンバサダーに選出したわけだ。
もちろんソフトバンクホークスとのチームスポンサー契約も、2014年、2015年と2年連続で日本一を獲得して常勝を期待されている球団に、ファーウェイがこれから内外グローバル市場でさらに上を目指す姿勢と重ねたからこその施策だろう。
メッシ選手のブランドアンバサダー選出、ソフトバンクホークスとのチームスポンサー契約のいずれも、ファーウェイがさらに上を目指すにあたっての決意表明だ。
2016年は多機能カメラや指紋認証センサを備えたミドルレンジの「HUAWEI GR5」、スタイリッシュかつコンパクトな1万円台のエントリモデル「HUAWEI Y6」を発売して、マホメーカーとしてのイメージが強いファーウェイだが、スペイン・バルセロナで開催した世界最大のモバイル関連展示会“Mobile World Congress 2016”では、Windows 10搭載2 in 1 PC「HUAWEI MateBook」を電撃発表し、世界中のメディアを驚かせた。日本市場を重要拠点のひとつとして捉えているファーウェイが、今後どのような製品を投入して私たちを驚かせてくれるのか期待して待つ価値は十分にあるはずだ。