ファーウェイは6月9日、SIMフリースマートフォン「HUAWEI P9」、「HUAWEI P9 lite」と、スマートウォッチ「HUAWEI WATCH Jewel/Elegant」の4製品を発表し、6月17日より順次発売する。なかでもライカ共同開発の「ダブルレンズカメラ」を搭載した「HUAWEI P9」は、国内外で注目を集めている。今回新製品を試用する機会を得たので、「HUAWEI P9」を中心にレビューをお届けしよう。
●ライカクオリティーの写真撮影を楽しめる「HUAWEI P9」
「HUAWEI P9」はAndroid OSを搭載したSIMフリースマートフォン。ライカ共同開発の「ダブルレンズカメラ」を搭載しており、これまで数々の歴史的瞬間を捉えてきたライカクオリティーで写真撮影を楽しめるのが最大の特徴だ。実勢価格は5万9800円。
ライカ共同開発の「ダブルレンズカメラ」は、1200万画素RGBセンサーと1200万画素モノクロセンサーに、特別設計された高品位レンズを組み合わせたもの。1200万画素RGBセンサーが色情報、1200万画素モノクロセンサーが形状や輪郭などのディテールをそれぞれ取得することで、高精細かつ明るくノイズの少ない画像を得られる。
画質に関わるレンズ透明度、収差、フレア評価や、信号ノイズ比(SNR)、演色、鮮明度について、ライカの厳しい基準をクリアしている。6枚構成のレンズシステムの厚さはわずか4.5ミリ。レンズはコーニングゴリラガラスでカバーしているが、カメラ部分の突起はまったくなくフラットだ。さらに、ライカカメラのシャッター音も再現されており、マニア心をくすぐる仕様となっている。
ファーウェイによれば、「ダブルレンズカメラ」はシングルセンサーより多くのディテールを捉えられ、300%多くの光を取り込めるとのことだ。「HUAWEI P9」がどれだけのカメラ画質を実現しているのか検証するため、今回試用機で実際にテスト撮影を実施したのでご覧いただきたい。
撮影した写真をじっくりと検証して最も印象的なのが、圧倒的な解像感だ。葉の1枚1枚、茎の1本1本などの細かいディテールをくっきりと描き出している。鮮やかな色彩のグラデーションも従来のスマートフォンカメラとは一線を画していると言えるだろう。
またクローズアップ写真では背景のボケが非常に美しく、メインの被写体が浮かび上がるように表現できている。「HUAWEI P9」は最大F/0.95レンズ相当の深いボケ味を「デジタル絞り効果」で作り出せるが、どの程度のボケ効果になっているのかリアルタイムプレビュー可能だ。ボケ味を確認しながらシャッターを切れるので、クローズアップ写真の撮影が楽しくなることは間違いない。
さて、美しい写真を生成するためには画像処理アルゴリズムが重要だが、「HUAWEI P9」には深度計算のために専用ISP(Image Signal Processor)を搭載している。通常のスマートフォンであれば画像処理アルゴリズムのなかでハードウェアが担当するのは「画像合成」のみだが、「HUAWEI P9」は「画像合成→深度計算」までを高速な専用ハードウェアで処理する。「HUAWEI P9」は深度計算をソフトウェアからハードウェア処理に置き換えたことで、3倍の高速化を実現したとのことだ。
撮影機能も充実している。レーザーフォーカス/デプス(Depth)フォーカス/コントラストフォーカスを組み合わせることで多くのシーンで高速、正確かつ安定したフォーカス調整を実現した「ハイブリットフォーカスシステム」、標準/鮮明/ソフトの3種類のライカクラシックカラーで手軽に撮影できる「スマートフィルムモード」などは、日常のスナップ撮影に役立つだろう。
カメラ以外の要素についても触れておこう。「HUAWEI P9」のボディーは流線形のルックスが特徴的なメタルユニボディー。表面にはサンドブラスト処理が施されており、傷がつきにくい。5.2インチフルHDディスプレーのベゼルはわずか1.7ミリの超狭額縁仕様で、デザイン上のアクセントとなっている。
モバイルデータ通信はLTE-Advancedに対応。ドコモ系SIMカードを装着すれば、複数の周波数帯を束ねて高速化するキャリアアグリゲーションによって、最大下り速度262.5Mbpsで高速通信することが可能だ。また、ソフトバンク網のCAにも対応する。
CPUには新開発の「HUAWEI Kirin 955 (2.5GHz+1.8GHz、オクタコア)」、OSにはフラグメンテーション削減機能付き新ファイルシステムを組み合わせた「Android 6.0」を採用。ホームアプリには、マルチユーザー機能で端末を複数人で共有可能な「EMUI 4.1」を搭載している。ファーウェイによれば、従来モデルの「HUAWEI P8」と比べて、CPUパフォーマンスは100%、3Dグラフィックスパフォーマンスは125%向上しているとのことだ。
パフォーマンス向上に合わせて、より長時間利用できるように大容量3000mAhバッテリーを搭載。ヘビーユースでも1日以上、標準的な使い方で1.5日以上使用可能で、2.5時間でフル充電できる。
最新スマートフォンの標準装備として指紋認証システムが搭載されているが、「HUAWEI P9」には指紋の3D情報まで認識する高度な生体認証システムを採用する(後日アップデートで対応予定)。日本国内サービスでの利用は未定だが、海外では「PayPal」などの各種セキュアペイメントに対応する予定だ。
●高スペックと低価格を両立した「HUAWEI P9 lite」
「HUAWEI P9 lite」は実勢価格2万9980円とローミドルレンジに属する製品だが、各種機能はファーウェイのフラッグシップモデル譲りで非常に充実している。さらに、この価格ながらメタルボディを採用し、高級感を持たせた。
CPUは「Kirin650(2.0GHz+ 1.7GHZ、オクタコア)」を搭載しており、3Dゲームをプレイするのに十分なパフォーマンスを備えている。バッテリー容量は「HUAWEI P9」と同じく大容量3000mAh仕様。ヘビーユースでも1.3日利用可能な連続動作時間を実現している。
ボディは航空機材グレードのアルミ合金フレームを、サンドブラスト仕上げとダイヤモンドカット加工で高級感を演出。ディスプレーは5.2インチで、解像度は1920×1080ドット(424dpi)。太陽光下でも見やすく、暗所では最適な照度で目を保護する「スマートバックライト」は、日光が強くなるこれからの季節に最適だ。
ロック解除用には「指紋センサー2.0」を採用。「指紋センサー2.0」はフラッグシップモデル「HUAWEI Mate S」にも搭載されており、360度どの角度からも素早く正確にロック解除できる機能性が好評を得ている。消灯画面からわずか0.5秒で画面ロックを解除できるだけでなく、カメラのシャッター操作、着信応答、アラーム停止など様々な用途にも活用可能だ。
カメラ機能も非常に充実している。アウトカメラにはソニー製1300万画素イメージセンサー、インカメラには800万画素イメージセンサーが採用されており、どちらにもF/2.0の明るいレンズが組み合わされている。「HUAWEI P9 lite」を選ぶ若い世代には、高画質なインカメラは重要なポイントとなるだろう。
サウンド面も抜かりはない。大音量でも音が歪まない「Smart PA」や音響ボックスを内蔵することでちょっとしたコンポ代わりにも使える本製品だが、社会人に嬉しいのは周囲が騒がしくてもクリアーな音声で通話できる「デュアルマイクノイズキャンセル」機能。エコーキャンセル機能や自動ノイズ抑制機能も搭載されており、まさにビジネスで快適に使える「電話機」なのだ。
●高級アクセサリーのような「HUAWEI WATCH Jewel/Elegant」
「HUAWEI WATCH Jewel/Elegant」は、はっきりと女性をターゲットに絞ったスマートウォッチだ。
「HUAWEI WATCH Elegant」は表面のベゼルにクル・ド・パリ装飾が施され、女性の繊細さを表現している。「HUAWEI WATCH Jewel」はベゼルに68個のスワロフスキーキュービックジルコニアをあしらい、上品さを表現している。また、文字盤は標準機能で自由に変更可能で、40種類を超える文字盤に加え、女性に特化したデザインを10種類プリインストールしている。
使用するアイテムにこだわりを持つユーザーをターゲットにした「HUAWEI P9」、若年層に支持されそうな「HUAWEI P9 lite」、SNS告知、通話機能のほか、iPhoneとの接続機能などを備えた女性向けのスマートウォッチ「HUAWEI WATCH Jewel/Elegant」と、幅広い層に向けて夏モデルを用意したファーウェイ。大躍進した昨年を上回る台風の目として、日本の市場を活性化してくれそうだ。