クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパスの笹原圭一郎先生

ゲームを通じて社会性を学べる学校がある。2019年12月末にサードウェーブと毎日新聞が開催した「第2回 全国高校eスポーツ選手権」リーグ・オブ・レジェンド部門で準優勝を果たした、クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパスだ。同校はeスポーツを専攻できる先進的な学校として話題になっている。実際にどのような指導をしているのか、顧問を務める笹原圭一郎先生に話をうかがった。

全国高校eスポーツ選手権は、eスポーツを文化として根付かせるために実施している大会。ロケットリーグ部門に106校、リーグ・オブ・レジェンド部門に119校が出場し、それぞれの部門で夏の予選を勝ち上がった4校が決勝大会の舞台に立った。クラーク記念国際高等学校 秋葉原ITキャンパスのリーグ・オブ・レジェンド部門のチームは「Yuki飯食べ隊」。

メンバーはponkotu23(ポンコツ)選手、Nanabito(ナナビト)選手、D1 SA(ディーワンエスエー)選手、Funahwi(フナフィー)選手、siroshi15(シロシ)選手、Nephlen(ネフレン)選手の6人だ。

試合前、笹原先生は、「当校の強みは通信学校でありながら、毎日学校に通う制度を導入していること。選手である生徒だけでなく、講師も毎日一緒に生活することで、コミュニケーションはバッチリ取れている」と語る。選手たちも「チームの強みは絆」と日々のコミュニケーションの成果を確認し合う。

eスポーツ専攻で学ぶこと

eスポーツを専攻すると、ゲームの基礎知識やテクニックだけでなく、荷物の整理やプレイ中のコミュニケーションの取り方などを、週9時間の授業を通して教えているという。eスポーツはプレイヤーと対戦相手だけでなく、観客もいて初めて成り立つ競技だ。観客が見ていて不快にならないよう、基本的なマナーを身に付けるのは必然といえる。

笹原先生は、「入学してすぐの頃は、試合中に過激な言葉を使う選手もいた。でも、強く言っても問題が解決しないばかりか、場の雰囲気が悪くなり、チームワークも乱れる。いいコミュニケーションがとれないとチームワークは生まれないと指導し、改善していった」と、仕事でも大切になる“伝え方”を意識することで、物事が円滑に進む方法を教えた事例を紹介してくれた。

「ゲームを通じて、笑顔が増えた生徒もいる。友だち以上に、一緒に戦う仲間ができたからだと思う」と語る笹原先生は、生徒との距離を縮めるため、自らもリーグ・オブ・レジェンドをプレイし始めた。会話が増えただけでなく、プレイし始める以前よりも生徒と親しみやすくなったという。

次回大会への誓い

夏の予選まではフナフィー選手に頼り切りだったというYuki飯食べ隊。そこから決勝大会までに、「みんなでフナフィーを支えるスタイルに変えた」(笹原先生)そうだ。今大会の結果は準優勝だったが、「第3回大会にも出場し、N高校を下し、必ず優勝したい」と、Yuki飯食べ隊のフナフィー選手は優勝を誓っていた。

余暇として楽しむだけでなく、理論立てて真剣にゲームをプレイすることで得られる経験は多い。目標に向かって、一丸となって試行錯誤しながら取り組む姿勢も、どんな仕事でも必要になる基本だ。先述のコミュニケーションだけでなく、eスポーツで学んだことは、将来、さまざまな場面で生かすことができそうだ。(BCN・南雲 亮平)

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