2020年から小学校でプログラミング教育が必修化することになっているが、特定の教科書が決まっているわけでもなく、学校や自治体ごとに取り組み姿勢に温度差があるなど、足並みがそろっていないのが実情だ。プログラミング教育について教育現場で手探り状況の中、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)は1月27日と28日の2日間、練馬区立大泉第六小学校で小学5年生と6年生を対象にした「プログラミング出前授業」を開催した。

初めての「スクラッチ」も抵抗感なく楽しめる

「スクラッチでプログラミング体験!」と題した出前授業は、1回当たり2時限を使って2日間で6クラスに教えた。記者が取材で訪れたのは、28日の10時40分~12時15分の授業で、PCがある教室に6年生の男子11人、女子14人の合計25人の生徒が参加した。

講師役は、豆蔵ホールディングスグループであるオープンストリームの宮田友美さん。普段は、システムインテグレーション事業部戦略技術推進本部イノベーショングループのアーキテクトとして、スマートフォン(スマホ)向けアプリなどを開発している。

きゅうりの仕分け作業やドローンを使ったスマート農業、古典資料の研究者など、生徒に身近な生活から学術分野まで広く日常でプログラミングが使われていることを、丁寧に分かりやすく教えていた。

上手な授業運びから教え方に慣れているように感じたが、宮田さんは同社の過去のイベントで教えたほかに経験がないという。小学校の授業で教えたのは、今回が初めてとのことだ。

授業内容は、スクラッチで猫のキャラクターを動かしたり、リンゴやボールを上から下に落ちたりするようにプログラムするというもの。ゲームに近い感覚もあってか、生徒たちは終始、楽しそうに学んでいた。

もちろん、プログラミング教育らしく論理的な考え方を教えていた。キャラクターが思うように動かないとき、なぜ動かないのかを生徒自らが考えたほか、仲間同士で論理的に説明するようアドバイスしていた。授業の最後には、少し高度な「変数」を使って落ちてくるリンゴをカウントしながら拾うゲームを完成させるというゴールを設定した。

授業形式に、3人以上で一つのプログラミングを書く「モブプログラミング」という手法を採り入れているのも興味深かった。3人1組のチームで1台のノートPCを使ってスクラッチを操作するのだが、1人が書記役のようなタイピストとなり、他の2人の意見や考えをコードとして反映する。タイピストは全員が担当するルールだ。

他にも、タイピスト自らが考えたものをコードに反映してはいけなかったり、コードは批判しても人や意見を批判しないといったルールを設けることで、チームみんなで考えられるように工夫していた。

生徒の一部にはパソコンクラブに所属していたり、自分でPythonを学んでいたりする生徒もいたが、多くはプログラミングは初めての経験だった。

それにもかかわらず、スクラッチの操作にクラスの全員が抵抗感なく扱っていたのは、生まれたときからスマホやタブレット端末があったデジタルネイティブならではだろう。クラスの全員が、問題なくスクラッチでキャラクターを動かせるようになっていた。

CSAJの各種委員会の一つに、「プログラミング教育委員会」(田中邦裕委員長、さくらインターネット社長)がある。今回の出前授業は、同校の西野國子校長がCSAJのホームページを見て問い合わせたのがきっかけとなり、プログラミング教育委員会のメンバーの何社かが手を挙げたことで実現した。

CSAJに加盟する企業が自社でさまざまな学校でプログラミング授業をすることはあるが、CSAJとしての出前授業は今回が初めてだったという。

小学校のプログラミング教育では、教える側の先生の負担も課題の一つになっている。今回のように、餅は餅屋で民間のサポートを得るのも解決策の一つだろう。CSAJでは今後、専用の窓口を新設するなど、業界団体としてプログラミング教育をサポートしていくという。(BCN・細田 立圭志)

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