カシオ計算機は3月1日、耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」から、航空パイロットが要求するスペックを満たす「GRAVITYMASTER」シリーズの新製品として、全世界で正確な時刻を表示する新世代モジュール「Connectedエンジン 3-way」を搭載した「GPW-2000」を発表した。ブラックの「GPW-2000-1AJF」、ブルーの「GPW-2000-1A2JF」は5月19日に発売する。税別価格は10万円。
「GPW-2000」は、Bluetooth搭載GPSハイブリッド電波ソーラーウオッチ。世界で初めて、標準電波とGPS衛星電波の受信に、スマートフォンを介したタイムサーバー接続を加えた3つの時刻取得システムを採用。スマホとBluetoothで通信し、サマータイムやタイムゾーンの情報を自動更新して時計の内蔵データを最新の状態に保つ。ほかにも、時計側のボタンを押した際の地点情報を時刻情報とともにスマホの地図上に表示できるフライトログ機能や、世界約300都市のワールドタイム設定機能などを搭載する。
衝撃、遠心重力、振動の3つの重力加速度に耐えるタフネス性能に加え、本体の振動による破損を防ぐため、ネジを使用しない新しいバンド固定構造を採用。文字板は航空機の計器をモチーフにするなど、デザインにもこだわった。重さは約198g、連続駆動時間はパワーセービング状態で約23か月。
「完全自動腕時計」を目指して開発、最先端技術を結集した新モジュール
1974年に自動カレンダー機能搭載の腕時計「カシオトロン」で、時計市場に参入したカシオ。以来、自動充電を実現したソーラー時計、自動時刻調整を可能にした電波時計など、次世代のスタンダードとなるシステムの開発に積極的に取り組み、時計の「自動化」を推進してきた。
しかし、取締役の増田裕一専務執行役員は「まだまだ理想は実現できていない」と語る。例に挙げたのが「サマータイム」。「国どころか州によっても事情は異なる。さらに情勢や時代の変化で採用されたり廃止されたりもする」と、自動化が極めて難しい状況を説明した。
この問題に対してカシオが出した回答が「インターネット」であり、新たに開発した新世代モジュール「Connected エンジン 3-way」だ。従来は標準電波とGPSという二つのシステムで正確な時刻を取得していたが、第三のシステムとしてオンラインの情報を取り入れることで、サマータイムやタイムゾーンによる時刻の変動を正確に反映できるようになる。
今後、「G-SHOCK」や「OCEANUS」をはじめ、カシオの代表的なブランドの腕時計に順次搭載していく予定。また、スマホと接続して時刻修正や時計の内蔵データの更新を行う機能を搭載したモジュールを「Connected エンジン」と名づけ、全世界で展開する。
「『Connected エンジン』は、ソーラー時計や電波時計のように、これから主流になっていくはずだ。18年度には200万台規模に成長させたい」(増田専務執行役員)。インターネット経由の更新のみ、もしくは標準電波、GPSのいずれかと連動する1wayや2wayなど、より手頃な価格帯のラインアップを拡充することも視野に入れ、新たな市場形成を目論む。(BCN・大蔵 大輔)