LYFE STYLEと提携し、「THETA 360.biz 撮影・オーサリングサービス」を開始する

リコーは3月28日、LYFE STYLEと共同で記者会見を開催し、「THETA 360.biz」の360°撮影・ツアー制作の受託サービス「THETA 360.biz 撮影・オーサリングサービス」を開始すると発表した。

360°の全天球画像を撮影できる「RICOH THETA」は、2013年10月の登場以来、動画対応や高画質化などユーザーの要望を受けて進化を遂げてきた。「THETA 360.biz」は、全天球画像を顧客のWebサイトに表示できる法人向けクラウドサービスで、不動産業の内見用途などで採用が進んでいる。

リコーの新規事業開発本部 SV(Smart Vision)事業開発センターの大谷渉所長は「現在、有料で約100社、フリープランで約1000社のお客様に利用いただいている。360°映像に対する興味関心は非常に高いが、撮影やツアー作成にかける手間や技術がないという声もよく耳にする。こうした悩みを解決し、さらに利用者を拡大するため、コンテンツ制作の受託サービスに踏み切ることにした」と、今回のサービス開始の経緯を説明した。

「ツアー」というのは、複数の全天球画像を組み合わせることで、視点を変更しても同じ空間にシームレスに移動しているように閲覧できる機能だ。部屋の間取り図と連携することで、部屋全体をさまざまな角度から検証することができる。

協業するLYFE STYLEは、VRクリエイター支援事業を展開するベンチャー企業。今年度で創業4期目だが、Googleの認定代理店の1社として「Google マップ」の制作に携わっており、1万社以上の導入実績を誇る。代表取締役の永田雅裕氏は「630人以上のフォトグラファーに360°コンテンツ制作のノウハウを研修してきた。そのネットワークと教育体制を、リコーのもつビジネス力や製品力とかけ合せることで生かしたい」とコメントした。

今回の協業では、リコーがデバイスとプラットフォームを、LYFE STYLEがコンテンツの制作を担い、顧客にワンストップで自社サイトで「THETA 360.biz」を活用できるようにする。

料金は税別で、不動産物件の居住部向けプランが3万4800円/1戸(スチール写真撮影付きで3万9800円)、マンションなどの共用部向けプランが4万4800円/1棟(スチール写真撮影付きで4万9800円)など。共用部向けプランは、360°画像撮影を15か所まで指定可能で、追加画像1点につき3000円加算される。

「コンシューマ向けの全天球カメラ市場ではトップを走っているが、ハードウェアだけでは限界がある。データプラットフォームを構築し、ハードとデータのエコシステムによって事業を拡大させていきたい」と、大谷所長は「THETA」の今後の方向性を示す。「THETA 360.biz 撮影・オーサリングサービス」は不動産業界から開始し、順次、他業界でも展開する予定だ。(BCN・大蔵 大輔)