クラウドゲームサービス「auスマートパスプレミアム用GeForce NOW」を試してみた

【なぐもんGO・68】 ゲーミングPCは持っていないけど、PC用のゲームがプレイしたい──。そんな願いを叶えるのにピッタリのサービスが、「クラウドゲームサービス」だ。手元のスマートフォン(スマホ)でPCゲームがプレイできる、ゲーマーにとっては夢のようなサービス。しかし、高性能な処理能力が必要なPCゲームをスマホで満足にプレイできるのか、通信の遅延が発生しないのかなど不安もある。どのようなサービスなのか、実際に試してみた。

クラウドゲームとは、クラウド上でゲームのあらゆる処理を行うため、端末を問わずに高品質なゲームがプレイできるサービスのことだ。端末側は映像の出力と操作だけ行えればいいので、例えば今回のようにスマホでPC用のゲームを遊ぶことができる。ソニーとマイクロソフトがゲームコンテンツのストリーミングサービスで手を組んだり、Googleがクラウドゲームサービス「Stadia」を展開したりと、近年、注目度が高い分野だ。ゲーム情報メディア「ファミ通」の調査によると、2023年には140億円以上の市場規模になる見通しだ。

クラウドゲームを楽しむための準備

今回、使用したスマホはコスパに優れた「Google Pixel 4a」。回線はau(4G)。利用したクラウドゲームサービスはauが提供する「auスマートパスプレミアム用GeForce NOW」だ。auの有料会員「auスマートパスプレミアム(月額490円)」向けのサービスで、利用するには入会登録が必要になる。通常の「GeForce NOW Powered by au」と比べると一部制限はあるが、対応タイトルを見た限りでは主要なタイトルはおさえているようだ。

ゲームをプレイするには、入会後にアプリをインストールする。終わったら起動し、経由するキャリア(筆者の場合はau)を選びログイン。これでゲーム一覧が表示されるようになる。海外から来たサービスだけあって、いわゆる洋ゲーが多くラインアップしている印象だ。日本のRPGなども見かけるが、今回はPCでしかできないゲームを試してみる。

PC版「リーグ・オブ・レジェンド」をスマホでプレイしてみた

選んだのは世界的に人気なPCゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」。10月末にスマホアプリ版の「ワイルドリフト」(β版)が登場したが、今回はPC版に挑む。ゲームをタップして早速スタート! かと思いきや、マウスとキーボードの接続を勧められた。その場に持ち合わせていなかったので、無視してプレイ開始! とはならず、今度はライアットゲームスへのログインを要求された。スタートまでの道のりは少し遠い。

ログインが終わると、ついにプレイすることができた。始まってみると映像は意外にもキレイだった。高画質で“カクツキ”もなく滑らかに表示される。早速、チュートリアルを選んでスタート。最初は移動の練習だ。1本指でタップすると左クリック扱い、二本指だと右クリックになる。移動する場合は二本指で行きたいところをタップ。攻撃時は使いたいスキルを1本指でタップし、狙う箇所を再びタップすると発動する。チュートリアルはなんとかクリアできた。

ただ、やはりPCのようにスムーズにプレイするにはマウスとキーボードが欠かせないと感じた。また、当然だがスマホだと画面サイズが小さい。新しいチャンピオンを確認したり、スキルの効果を確認したり、動きを確認したりする用途なら、スマホだとどこでもできるので手っ取り早いが、本格的にプレイするとなると難しいだろう。

「フォートナイト」は?

ついでなので、もう一つの人気ゲーム「フォートナイト」をプレイしてみた。このゲームもアプリ版はあるが、あえてPC版を試してみた。映像はこちらもキレイだ。チームプレイのゲームなので、遅延があった場合に迷惑をかけてしまうことを懸念してソロで参戦した。待機中にツルハシを振り回して資材を集めてみたが、この動きだけなら問題ない。いざ戦闘が始まると、ラグがあるのか敵の打つ弾があまり当たらない。また、敵が攻撃していないときに自分のキャラが倒れたので、やはり遅延は多少あるようだ。

また、フォートナイトをプレイする際はバーチャルコントローラーを使用した。ログイン時のアカウント情報入力に使ったのは、バーチャルキーボードだ。どちらも画面左上にある矢印をタップすると起動できる。画面上にコントローラーやキーボードが表示されるため、手放しに便利とは言えない。しかし、スマホ単体であらゆる操作を可能にしているという意味では活躍している。PS4のリモートプレイをスマホ単体で利用した際とほぼ同じ使い勝手だった。

現在のクラウドゲームにピッタリなのは?

複数のクラウドゲームをプレイしてみてしっくりきたのは、じっくりと遊ぶRPGだ。アクション要素が絡むと操作の難易度は上がるが、コマンドをじっくり選ぶバトルならバーチャルコントローラーでも問題ない。スマホ向けゲームよりもボリュームのあるゲームをどこでもプレイできるので、思わず通勤や帰宅中の電車を乗り過ごしてしまいそうだ。

気になる通信容量は、1時間程度遊んで1GBほど。遊ぶゲームや通信状況によって前後するので、あくまで今回の結果だ。準備のためにアプリをインストールしたり、アカウント情報の入力に手間取ったりしたので純粋には計れないが、動画を視聴するのと変わらない程度。昨今の大容量プランなら問題ないはずだ。

2020年10月現在、「auスマートパスプレミアム用GeForce NOW」は残念ながらiPhoneやiPadには対応していない。対応するスマホOSはAndroidだけだが、WindowsやMacではプレイすることができる。今回は4G回線でプレイしたが、5G回線なら遅延はもっと少なくなり、快適に遊ぶことができるのか。別の機会に検証してみたい。

なお、「auスマートパスプレミアム用GeForce NOW」の連続プレイ時間は基本1時間まで。12月までは6時間に延長しているので、何かの機会に有料会員になったら、試してみると面白いだろう。「GeForce NOW Powered by au」は月額1800円。いずれも有料ゲームをプレイする場合は別途購入費用がかかるので留意しておきたい。(BCN・南雲 亮平)