細部にこだわらない方がいい

小学校の段階では、学習指導要領で「点画の長短や方向、接し方や交わり方などに注意して、筆順に従って文字を正しく書くこと」とされています。

それが基本ではありますが、文字の細部に必要以上にこだわる先生は実際にいて、本来であれば問題ないような違いでも、誤りだとされがちです。

次の2枚の用紙を見てください。どちらも同じ文字を書いたものです。

子どもは「ほ」を書いたのですが、ほとんどの「ほ」の右上の部分が「ま」のように飛び出してしまっています。

まぐれで正しくたまたま書けたのか、間違って覚えているのかわかりませんが、唯一、真ん中の「ほ」だけが突き出ることなく書けています。

そんなとき、先生の性格によって、添削したり、出来ていない文字だけを評価するなど対応が分かれます。

私は添削に反対です。今まで多くの子どもたちに指導をしてきましたが、たくさん「×」をして「こんなに間違えたんだ。今度は直されないように注意して書こう」と奮い立つ子には一人も出会ったことがありません。

たいていは嫌な顔をして、それ以降やる気をなくしてしまいます。

間違っている場合はどのようにするべき?

行動心理学で「正の行動を強化して、負の行動を強化しない」というやり方があります。

つまり、悪い行動を叱るという形で強化するのではなく、無視します。そして、良い行動を褒める、認めるという形で強化します。

そうすると、悪い行動が自然消滅するというやり方です。

文字を書かせるときも同様で、間違っている箇所は無視して、出来ている文字だけに「ここを突き出さずに書けているね」と、なぜこの字がよいのか、具体的に言葉をかけて〇をすることで子どもの意欲に火が灯り、次第にきれいな字を書くようになります。

今回は先生の例でお話ししましたが、親が子どもに教える場合も同様です。

せっかく芽生えた文字への興味、大人のダメ出しでかき消してしまわないようにしたいものですね。