子どもの自立心が馬のケアを通して育つ

写真左より、浅川駿萬くん(15歳/静岡乗馬クラブ所属)&お母様

自宅で乗馬クラブを運営している浅川家。

駿萬(しゅんま)くんが馬術を始めたきっかけは「馬に触れられる環境がすぐ近くにあったから」と言いますが、それ以上の魅力があったとお母様は教えてくれました。

「サッカーやバスケのようにボールがあればすぐに練習に励むことができる競技ではなく、馬のケアも含め親がついていなくてはいけない場面も多々あります。

特に小さい頃は大人のサポートが必要ですし、正直大変です。

でもだからこそ、ずっと近くで子どもの挑戦を見続けることができるし、成長を感じることができるのが喜びです。

また、馬に乗った後はライダー自身が馬のケアをするので、自立心や周囲を配慮する心が育つと思います」

試合後は厩舎に戻り、馬を隅々まできれいに洗ってあげる。脚を洗おうとすると馬が自ら脚を上げてくれる。ライダーと馬の信頼関係が見える一コマだ

人とは違う自分だけの“強み”みたいなものができた

実際に駿萬くんが馬のケアをしている様子を見ていたところ、排水溝に溜まったゴミを率先してかき集めて捨てたり、使用したホースや道具を丁寧に片付ける姿が見受けられました。

「馬はペットではなくて、僕と対等の立場の存在です。だから世話をするのは当たり前のことだし、苦ではないです。

馬術をしていて良かったなと思うのは、人とは違う自分だけの“強み”みたいなものができたこと!」

試合当日は暑い日だったため、汗をかいた馬は駿萬くんに体を洗ってもらって気持ちよさそう

アンケート(参照:バンダイ子どもアンケートレポートVol.252「子どもの習い事に関する意識調査」)によると、「子どもの好きなこと・得意なことを増やしたい」というのが習い事をさせる上位の理由です。

自信が持てることがひとつでもあると、子どもは他のことにも挑戦をする気持ちを持つものです。

馬術はまさに、“自分だけができる得意なこと”と“自信を持つことができる習い事”になると言えるでしょう。

年齢性別を問わずコミュニケーション能力を身につけられる環境

写真左より、眞田翔くん(17歳/眞田ライディングクラブ所属)・蒼くん(14歳/眞田ライディングクラブ所属)&お父様

続いて、兄弟で馬術をしている、眞田さん親子に話を伺いました。

「生き物が相手だから自制心、思いやりを学ぶことが多いスポーツです。

馬は約500キロある体でジャンプをしたり走ったりするので、ライダーが納得いかないからといって長時間練習をさせるわけにはいかないんです。

馬の様子を見ながら、自分も調整していく……そういう他者を配慮しながら自分を高めることを学べるのは馬術ならではでしょう」

かなり高さのある障害物なので、一瞬でもライダーが怯むと、馬はそれを察して止まってしまうこともあるという。まさに人馬一体で行うスポーツなのだ

お父様がそう話すように、生き物と競技をする唯一のスポーツだからこそ、勝敗を競うだけでなく、情緒面にも大きな影響があるようです。

協調性が高まり、コミュニケーション能力が上がった

兄の翔(かける)くんは「短気なところがあったのですが、馬と生活を共にすることで協調性が高まったように思います」と言います。

一方、弟の蒼(そら)くんは「馬術を通してコミュニケーション能力が上がった」と感じているのだそう。

馬の動きに合わせ、ライダーは姿勢を崩さずリズムに乗る。体幹が鍛えられるスポーツというのも納得だ

「ライバルとなる他のライダーともお互いの良かったところや改善点などをフランクに話せる環境が整っています。

分け隔てなく大人も子どももお互いを讃えあう様子を見ていると、馬術をさせて良かったと感じます」

実際試合会場でも、自身が教えている乗馬クラブ以外の子どもに、指導者がにこやかに声をかけている様子が見受けられました。

日本において乗馬界は決して大きなコミュニティではないかもしれませんが、だからこそ密なコミュニケーションがとられていて、試合会場でも分け隔てなくみんなで子どもの成長を見守っている雰囲気が印象的でした。