家事メンを育成することで得られるメリットは?

——家事メンの育成方法はわかりましたが、普段やらない人が介入すると途端に効率が落ちるのも現実。そんな苦労を乗り越えるメリットは何かありますか?

横井:「まず20年後、30年後の自分たちを想像してもらいたいですね。子育てが一段落し、仕事や趣味など自分の好きなことを自由にしたいと考えた時、夫から『家事をおろそかにしないならよし』と言われたいかどうかだと思います。
家事スキルを身につける段階で、夫婦間のコミュニケーションは自然と活発化します。お互いの考えていることや、やりたいことを尊重できるようになる夫婦が多いので、きっと将来「好きなことをしたらいいよ」と応援してくれる夫になってくれます。
その証拠に、ファザーリングジャパンに所属している夫婦は皆とても仲良しですし、配偶者の愚痴を聞くことはありません。そんな両親の姿は、子どもにとってもいい影響があると信じています」

最後に、家事メンの育成に取り掛かろうとする女性たちへアドバイスをいただきました。

横井:「家事を難なくこなすようになるまでには、時間もかかることでしょう。ですが、誰もが最初から完璧ではなかったはず。女性だって、経験を積み重ねたからこそ今があるんです。
最初から『うちの夫は無理』などと決めつけず、経験を積んでもらいましょう。夫が成長する機会を奪うことが、一番よくないことです。お互いを尊重し、助け合える夫婦になれるよう、家事スキルを磨く夫を温かく見守ってあげてくださいね」

私たちも、最初から家事を完璧にこなせるようになったわけではありませんよね。自分だけが知っている、効率よく家事を終わらせる方法だって、毎日積み重なる経験から生まれたはず。夫の家事スキルを今の自分と同じまで引き上げるには、忍耐も必要ですがそれによって得られるものも大きいはず。今日から試してみてはいかがですか?

 

<取材協力>
横井寿史
社会保険労務士。特定非営利活動法人ファザーリングジャパン理事。
その他、特定非営利活動法人BitL(ビットル)理事長
特定非営利活動法人待合室に絵本を 理事
あいちワーク・ライフ・バランス推進協議会 有識者委員
愛知県「イクメン応援会議」 委員
愛知県「あいち はぐみんプラン」フォローアップ会議委員
名古屋市男女平等参画審議会委員    など多数。
企業や大学、自治体等において講演も行う。
家族は、妻、長男(7)、次男(4)、三男(0)の五人家族。
参考:特定非営利活動法人ファザーリングジャパン

1986年生まれ、一児のママ。大手自動車メーカー退職後、フリーランスライターに。恋愛・結婚・育児、働き方など女性に関すること、医療をテーマに執筆。仕事も育児も自分ゴトも、諦めず効率的に行う方法を日々模索し実践中。趣味は旅行と読書。