──ボルトに限らず、劇場版に登場する次世代の子どもたちはみんな親に負けず劣らず個性的です。原作の最終回では意外な組み合わせの夫婦に驚かされた読者も多かったと思います。特にチョウジとカルイの組み合わせは衝撃的でしたが、あの夫婦はどんな経緯で生まれたのですか?

岸本:今でも読者の方からは「どうしてあのふたりがくっつくのか意味がわかりません!」という内容のファンレターが届いたりします。とりあえず次世代の猪鹿蝶は作らないといけませんでしたから、「少し強引かな?」と思いつつもチョウジとカルイをくっつけることにしたんです。

──原作ではチョウジの父であるチョウザが、自分たちのような太った男を好む女性のことを「マニア」と言っていました。やはりカルイもマニアだったのでしょうか?

岸本:いや、カルイはマニアというより、完全に軽いだけです。物事の決断が軽いので簡単に結婚をOKしたんですよ。「いいよー」って(笑)。

短期集中連載に込めた思い

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』 ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ ©劇場版BORUTO製作委員会 2015

──劇場版の公開に先立ち、週刊少年ジャンプの短期集中連載では、サラダやサクラ、サスケたちの物語が描かれました。個人的には過去にあそこまでサスケのことを好きだった香燐が、サクラやサラダを遠くから温かく見守っている姿に驚いたのですが、そこにはどんな心境の変化があったのでしょうか?

岸本:実はあの部分はネームだともっと長くて、かなりのページ数を割いて香燐に回想を語らせていたんです。でもいろいろと考えた結果、カットすることにしました。

──回想シーンをカットした理由は何だったのでしょうか?

岸本:状況や場面を回想で語ると、どうしても説明的で嘘くさくなってしまう気がしたんです。香燐はサクラと同じように一度サスケに殺されかけたことがありましたし、そのときにはサクラに回復までしてもらっています。実はあのふたりは敵同士でありながら互いの気持ちを理解し合っている……そんなニュアンスが僕の中にはあったんです。なので、描写に多くを割くのではなく、香燐の心境の変化に関しては読者の想像に委ねようと思いました。

むしろページを割いて描くべき大切な部分は、サラダやサクラ、サスケのラストシーンなので、そちらに比重を置くことにしたんです。