自身を投影して描いた父親としてのナルト

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』 ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ ©劇場版BORUTO製作委員会 2015

──15年間の連載の中で、ナルトの成長とともに先生自身を取り巻く環境も変化していったと思います。以前、岸本先生は「ナルトに自分自身のコンプレックスを投影している」とおっしゃっていましたが、今作で描いた父親としてのナルトの姿にも先生自身の体験は投影されているのでしょうか?

岸本:やはり自分の実体験や普段考えていることは、どうしても作品に出てきちゃいますね。ナルトとボルトの姿なんて、まさに僕と息子そのものです。

この前も予定よりも遅れていた原稿を描いていたら、「約束した時間であれば、もう原稿は終わっているはずですよね?」というメールが息子から届きました(笑)。忙しくて子どもに構ってやることができない経験は僕にもありますし、そこは劇中で描きたかった部分でもあります。

──お子さんもボルトと同じように、忙しいお父さんと遊びたい年ごろなんでしょうね(笑)。ちなみにお子さんはナルトを全巻読まれたんでしょうか?

岸本:途中までは読んでくれたようです。でもこの前ドラゴンボールの映画が公開されたのをきっかけに、ナルトを中断してドラゴンボールの完全版に乗り換えてました(笑)。最近ようやく完全版を全巻読み終えたみたいなので「これでナルトに戻ってくれるかな?」と思っていたら、今度はまたドラゴンボールを第一巻から読み返していましたよ(笑)。やっぱり鳥山先生はスゴイですね。

──そうは言っても、やっぱりこの映画はお子さんにも観てもらいたいのでは?

岸本:正直なところ、「息子に観てほしい」と思って作った部分はあります。この前この話を妻にしたら「恥ずかしいから絶対によそでは言わないで!」と釘を刺されましたけど……。

──いま言っちゃいましたね(笑)。息子さんがどんな反応をするのか楽しみです。

岸本:そうですね。映画が公開されたら、それとなく誘ってみようかな(笑)。

《作品情報》
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
8月7日(金)TOHOシネマズ新宿ほかロードショー
原作・脚本・キャラクターデザイン・製作総指揮:岸本斉史
監督:山下宏幸
脚本協力:小太刀右京
キャラクターデザイン:西尾鉄也・鈴木博文
配給:東宝
製作:劇場版BORUTO製作委員会
〔声の出演〕
三瓶由布子 菊池こころ 竹内順子 杉山紀彰
木島隆一 阿部敦 小野賢章 早見沙織 浪川大輔 ほか

株式会社エディトル所属。IT系雑誌やムックの編集業のほか、コミック、文芸、お笑い、ライフハックなど多分野の記事を執筆。絵が描けないくせにイラストのディレクションに手を出し始めた今日この頃、この仕事はなんでもありなんじゃないかと思い始めている。