2時間睡眠が不足した“ほろ酔い”状態の深刻な影響
睡眠、特に「ノンレム睡眠」は、脳の中の「前頭連合野」と「頭頂連合野」を効果的に休息させると言われています。
「前頭連合野」は、注意や集中、短期記憶、感情表現などにかかわり、「頭頂連合野」は、細かい手指の運動や発語などにかかわるとされています。
睡眠が不足すると、これら前頭連合野と頭頂連合野の働きが低下します。
2時間睡眠が不足した“ほろ酔い”加減の脳の状態での学習効果は、3分の1にも下がってしまうそうです。夜遅くまで勉強することが、必ずしも学習効果を上げるわけではないようです。
さらに、睡眠が足りない状態が続くと、肩こりや腰痛、だるさなど身体的な不調のほか、「ちょっとしたことが思い出せない」「考えがまとまらない」といった脳の機能低下、さらには意欲の低下や不安・抑うつなど、心の健康にも影響を与えます。
また、睡眠不足の子どもは運動嫌いになりやすく、食欲を抑えるホルモンが減って食欲を亢進させるホルモンを増やすため、肥満になりやすいとも言われています。睡眠の大切さについて、私たちはもっと深く考えるべきなのかもしれません。
質のよい睡眠のために
睡眠は、単にたくさん寝ればよいというものでもなく、「就寝時刻」と「起床時刻」、「リズム」が大切です。
同じ睡眠時間なら、夜10時に寝て朝6時に起きるより、夜9時に寝て朝5時に起きる方が深い睡眠が得られます。
また8時間睡眠でも、毎日起きる時間がバラバラだと、体内時計のリズムと自律神経が乱れ、体調を崩す原因に。
毎日一定の時刻に起きることで、自律神経と体内時計のリズムを保つことができ、夜11時に寝ても毎日5時に起きるようにすれば、6時間睡眠でも疲れがよくとれるといいます。
よい睡眠のためには、毎日なるべく朝早く、決まった時刻に起き、日中は外で元気に運動したり、散歩するなどして身体をよく動かすのがポイント。
それから、日中“よく笑う”ことも快眠のコツ。
子どもは“寝相が悪い”という特徴がありますが、それは脳をしっかりと休息させる“よい睡眠”がとれている証拠だそうです。そう考えると、寝ながら子どもに「ガツン」と蹴飛ばされたとしても、広い心を持つことができますね。
<参考>
『眠りで育つ子どもの力』白川修一郎/東京書籍
『税所式 日本人のための睡眠雑学100』税所弘/講談社