また、若者研究の第一人者である、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは、若年層のオタクについて、「リア充(現実社会が充実している人のこと。とりわけ交友関係が充実している人を指すことが多い)なオタク」と表現します。コレまでイメージと一線を画したオタクが登場しつつあるのです。

原田さんの著書『新・オタク経済』を参考に、リア充なオタクを見ていきましょう。彼らの目立った特徴は、「物を買わない」「おしゃれ」「アクティブ」の3つです。

物を買わないオタクがいる

インターネットとマンガ喫茶の登場により、若い世代の「物を購入する」という価値観が随分と変わりました。動画共有サイトが当たり前のようにある生活で、画質さえ気にしなければ大多数のアニメ作品を無料で鑑賞することができます(違法も含む)。

また、作品の資料となるムックや書籍はインターネットの中にあります。以前まで大好きな作品は購入して家に保管する人が多かったですが、現在ではマンガを読みたいときにはマンガ喫茶で十分と考える人も多い。ですので、音楽CDDVD、マンガといった物を買わずに「オタク」を楽しむことができるのです。

おしゃれなオタクがいる

しかし、彼らは物を全く買わないわけではありません。購入の矛先が変わったのです。原田さんによると、ギャル系、ゆるふわ系の女性や、こざっぱりした髪形・カラフルな眼鏡をかけたイケメンも少なくないリア充オタクは、ファッションにも気をつかうのです。

彼らはオタクでありながらもコミュニケーション能力が高く人間関係も広いので、オタク面以外の友人ともしっかりとつながっているのです。リア充ですね。

「アニメに登場するキャラクターが、かつてに比べてかなり現実的なファッションアイテムを身につけるようになっており、オタクのファッション感度が上がったという側面もあるかもしれません」と、アニメ自体のファッションセンスが向上しているのではと、原田さんは分析します。

発信型のアクティブなオタクもいる

かつてのオタクは多くのコンテンツを購入し、鑑賞し、調べ尽くし、語ると、「消費する」ことに長けていましたが、昨今の若者オタクは少し様子が異なります。

動画共有サイトに「歌ってみた」「踊ってみた」と自身のパフォーマンス動画を投稿。ボーカロイドを使った楽曲の投稿、pixivにイラストを投稿するなど、アクティブに自身を発信するのです。

なかには、DJとしてクラブでアニソンを流したり、アニソンバンドを組んで活動したりと、「外」に向けての発信することを苦と思っていません。また、それを発信しても「オタク」な部分を受けとめてくれる環境が醸成されつつあるのです。

いかがでしたでしょうか。「リア充なオタク」。これらを見ていると、一昔のオタクとは全く違う価値観で楽しんでいますよね。違いますよね。オシャレでアクティブな「リア充なオタク」は、全体の数としてそう多くは無くとも、時代の流れもあって増加傾向にあるのです。

あなたの周りにいるのは旧来のオタクですか? それとも、新しいオタクですか?

【参考書籍】
『新・オタク経済』原田曜平著(朝日新聞出版)