壁だらけのステージの理由

その答えは開幕と共に明らかになる。

登場するのは小さな紙切れを片手に絶賛迷子中の配達員・赤血球。

大きな荷物を運びながらウロウロと工業都市の中を巡っていくのだが、彼女の歩きに合わせて壁が前後左右に移動し、場面がくるくると展開する様子を見事に表現していく。

そして、そんな巧みなステージパフォーマンスに感心しているのも束の間、気づくと自分自身も迷宮に入り込んでしまったかのような錯覚に落ちるのだ。

この圧倒的な没入感こそ、「体内活劇 はたらく細胞」の真骨頂。

コミックでも、アニメでも味わえない舞台ならではの臨場感と興奮に包まれる瞬間だ!

©清水茜/講談社・体内活劇「はたらく細胞」プロジェクト 2019

物語は大まかに3話で構成され、それが大きな1つのストーリーとなる構成。

赤血球が迷子になりながらも1人で仕事を果たそうとする危なっかしい奮闘を心やさしき白血球が陰ながらサポートするのほほんとした日常には思わずほっこり。

そして、コテコテな敵役・インフルエンザウイルス、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌の3バカトリオが舞台を飛び出して大暴れするとマッチョなキラーT細胞チームが繰り出しはちゃめちゃバトルがスタート。

そして恒例の客いじりが炸裂しクスクス笑いが止まらなくなる中、ついに一般細胞である観客のおしごと指令も発動。

ネタバレになるので詳しい経緯は割愛するが、客席を埋め尽くすオカメ面集団のおぞましさときたら、肩を揺らして大笑いするか、鳥肌で震えるかの2択必至だ!

壮絶なクライマックス

©清水茜/講談社・体内活劇「はたらく細胞」プロジェクト 2019

さて、クライマックスは息を飲む壮絶バトルが展開。

第一弾の内容を引き継いで、より凶悪化した「あの細胞」が、狂気と脅威を振りまいて免疫細胞チームに襲いかかってくる!

©清水茜/講談社・体内活劇「はたらく細胞」プロジェクト 2019

ギャグとシリアスが右から左から迫り来る体験型舞台「体内活劇 はたらく細胞Ⅱ」。

原作や前作を知らなくても、むしろ知らない方が純粋な驚きに包まれ、知っていれば爆笑に次ぐ爆笑で2時間があっという間に感じられるはずだ!