写真:渡部伸

5月23日、『MR.CHILDREN TOUR POPSAURUS 2012』東京ドーム公演の初日。仕事を無理矢理切り上げ、開演時間ギリギリで会場に到着すると、まだ会場前は大勢のファンでごったがえしていた。急いで入場を済ませ、すでにオープニングの映像が流れはじめる中、慌てて席につく。次の瞬間、『エソラ』のイントロが鳴り響き、そのあまりに爆発的なエネルギーを食らい、思わず笑みが漏れてしまった。20年もの長い間、彼らなぜここまで巨大な存在であり続けられるのか。それをライブの1曲目のイントロ、ただそれだけでこんなにも雄弁に物語ってしまう。自らを<POPSAURUS>と名乗る(そんなことをできるバンドは他にいない)Mr.Childrenというバンドの本質がいきなりむき出しになったライブの幕開けだった。

続けざまに放たれるのは『箒星』と『youthful days』。2曲とも冒頭の勢いをさらに加速させるアッパーチューンだが、曲の持つテンションは明らかに違う。ドラムの連打からはじまり、旋回しながらグングン高度を上げていく高揚感に満ちたギターのリフが気持ちいい’06年発表の『箒星』と、<I got back youthful days>と繰り返し、ギラギラと鈍く光る欲望を燃やしながら疾走する’01年発表の『youthful days』。この2曲の間には5年の月日が流れている。この日のライブがデビューから20周年を迎えた節目のタイミングで行われるツアーであることを、はたと意識させられる。

「完全にあったまっているようなので、何も言うことはありません! LとOとVとEが、この会場を包むことを期待しています」との桜井和寿のMCから歌われたのは、『youthful~』からさらに時間をさかのぼって’93年のアルバム『Versus』収録の『LOVE』。そこから’08年の『GIFT』、さらに’97年の『Everything(It’s you)』へと、20年という時間を自在に行き来しながら、文句なしの名曲が次々と披露されていく。