舞台『HELI-X』
フォトギャラリー【写真10枚】演劇界に新たな沼が出現! 玉城裕規×菊池修司W主演 完全オリジナル劇『HELI-X』開幕レポート
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2020年12月3日(木)、演劇界を牽引する脚本家・毛利亘宏と演出家・西森英行による新プロジェクト『HELI-X』が遂に幕をあげた。

初日公演前に行われたゲネプロの観劇レポートとをお届けする。

第三次世界大戦後の超科学文明を描いた完全オリジナル劇

2.5次元舞台を中心に幅広い作品で活躍する玉城裕規と、デビュー4年の新星・菊池修司のW主演で幕をあげた『HELI-X』。本作は、脚本家・毛利亘宏と演出家・西森英行による完全オリジナル作品の第一弾ということで、期待は2.5次元ファンに留まらず、演劇ファン、そして演劇関係者にまで広く及んだ。

物語は、第3次世界大戦後の「大和」が舞台。科学と遺伝子工学の進歩により性別を自由に選択できる技術「TRANS」が生まれ、それと同時に性別転換をきっかけに特殊能力を発動させる人々=HELI-Xが誕生した。本作は、そんな男と女の境界線を超えた真新しい価値観の中、真の幸せと正義を求めて闘う人々の生き様を描いた壮大なSFスペクタクルドラマだ。

舞台『HELI-X』

ところが、舞台上に待っているのは巨大スクリーンに映し出された背景と剥き出しの鉄骨というシンプルなセット。近未来な風景とのギャップに驚かされてしまうのだが、そんな観客の反応もよそに、突如、美しきソルジャーたちが次々と雪崩れ込んできて、いきなり大乱戦が始まっていく。細かい説明もなくいきなり始まるド派手なオープニングは、まるで映画のワンシーンのよう。きっと誰もが、あっという間にセットの疑問など消えて、ただただ迫力と美しさに骨抜きにされてしまうはず!

ちなみに、物語が進むとこのセットが真価を発揮していく。スクリーンは、背景にもなり、コンピューター画面にもなり、最新鋭のデジタルな空間をも巧みに表現していく。そして、目に映る情報がシンプルだからこそ、観客は興奮のままにそれぞれの未来絵図の風景にポ〜ンと背中を押され、深い没入感を楽しむことができる。まさに近未来的なエンターテインメントを実現させた、洗練された仕掛けなのだ。

玉城裕規が元女性の暗殺者を熱演 新境地を開く!

主人公は、闇組織ブラックブラッドに所属する暗殺者・ゼロ。かつて同じ組の構成員だったクライ(宇野結也)に恋人を殺害され、復讐のために男へとトランスした過去がある。ゴシックなコルセットにも似た中性的な衣装を身にまとい、物憂げな遠い目で闘う姿は狂気にたぎり、両手に握られたナイフもまた彼の殺気の凄まじさを物語っている。

そんなゼロを演じるのは2.5次元ファンで知らないものはないトップスターの玉城裕規。前出のインタビュー記事を読んでいただくとお分かりになると思うが、普段はふわっとした沖縄イズムを放つ名俳優だ。そんな彼が一変。暗殺者ゼロから感じるのは得体の知れない狂気。ファンをもすごませる迫力に満ちている。

目を見張るのはゼロが所属するブラックブラッドのボスであるブラッド(西岡德馬)とのシーンだ。ブラッドを敬愛するゼロが、ブラッドの前だけで見せる『女の弱さ』は、この物語の重要なファクターでもあり、ひしひしと「女とは? 」「男とは? 」という命題を突きつけてくる。

また、性別を超えた繊細な苦悩の表情は、玉城裕規の演技力が冴え渡る一幕でもある。役者としての新境地さえ感じさせる名シーンなので、ぜひじっくり鑑賞していただきたい!

菊池修司が正義と愛に翻弄される青年アガタを好演

舞台『HELI-X』

もう1人の主役は大和自治軍情報部所属の軍人・アガタタカヨシ。己の正義を貫くため除隊を希望するも、腹黒い上層部に利用され、曰く付きのHELI-X犯罪専門チーム・螺旋機関に送り込まれてしまう。生真面目ゆえに性別の転換にも疑問を抱いていた彼だったが、螺旋機関で性別を変えざるを得なかったHELI-Xたちの素顔に触れ、心が揺さぶられ、身も心も大きな成長を遂げる。

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そんなピュアなアガタを演じたのが、菊池修司。開幕前には、物語のスケールに大きさに圧倒されるばかりだと話していたが、幕があがると堂々とした演技力を披露。青い正義感をひけらかすツンとした顔、あどけなさでいっぱいの驚き顔、正義を見失い葛藤にくもる顔、そして愛情にうるむ瞳など、表情も感受性も豊かなアガタを全身で演じ、スペクタクルな世界観の中、彼の存在が暖かな温もりを灯していく。

全方位萌えな異能バトルに魂をさらわれる!

舞台『HELI-X』

そんな魅力あふれる2人を中心に、物語は2方向に進んでいく。ゼロはひたすら恋人の復讐を、アガタはHELI-Xによる謎めいた犯罪の解明に尽力し、そこにブラックブラッド、大和自治軍、螺旋機関の3つの組織の野望が入り混じり、スリルと迫力を加速させていく。

舞台『HELI-X』
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そして、入り乱れる陰謀の中で繰り広げられる激しい異能バトルも本作の目玉だ。HELI-Xたちが勝利の確率を操ったり、魂と肉体を入れかえたり、時を操りながら闘う姿は圧巻! 特殊能力が発動するたび、フラッシュで視覚を奪われる演出もあり、まるで自分自身も魔法にかけられたかのような不思議な体験もできる。

また、特殊能力を持たない者たちの戦いぶりも見事。剣で火花を散らしあい、ピストルを構え、鋭い知略と姑息な陰謀をぶつけ合う様は手に汗握る迫力に満ちている。

舞台『HELI-X』

そしてなによりの魅力は視覚にも麗しいこと! 裾のドレープをヒラヒラとひるがえし舞うように戦う美貌の戦士や、螺旋組織のリーダーであるカンザキ(久世星佳)をはじめとした美女ソルジャーたちが凛と戦う様子は、どこを向いても、誰を見ても美しく、目がいくつあっても足りないほど。イケメンに恋する女子も、戦闘好きな男性も、本格演劇を楽しみたい老若男女も魅了してしまう、まさに全方位萌えなバトルが繰り広げられていく。

そして、登場人物全員バックボーンがしっかりしていることも本作の特徴。全員に過去があり、悩みがあり、弱さがあり、観るものの共感をさらっていく。気づけば無意識に推しを探してしまう、そんな沼に嬉しい悲鳴をあげる人も少なくないはず!

まだまだ序章! 物語はここからはじまる

さて、そんな怒涛の最後には、心が温まり、勇気が湧き上がり、そして期待に胸弾むエンディングが待っている。幕が降りているにも関わらず、始まりを感じさせる素晴らしいフィナーレに、会場には大きな拍手と笑顔が広がっていった。

舞台『HELI-X』

それもそのはず。舞台『HELI-X』は事実、まだ序章。今後のシリーズ化が決定している上に、メディアミックスも進行中だ。現在発売中の特別編集・小説集『HELI-X STORYS1 sketch×悪夢を生きる者たちよ』をはじめ、今後はコミックや映像化なども計画されている。

アニメやゲームありきの2.5次元ブームは過去のこと。遂に舞台ありきのコミックや映像が世に放たれる新時代が幕をあげた。ご時世にも負けず、力強く発展して新たな舞台の魅力を伝える『HELI-X』に、早くも第2作を待ち望む声は大きい。

文・写真:浅水美保

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