ミュージカル「ダブル・トラブル」が5月2日から上演される。本作は、作詞家と作曲家の兄弟が、ハリウッドのメジャームービーの曲を書くというチャンスをつかんだことから始まるミュージカルコメディー。たった2人の出演者が、歌って踊って曲を書くボビー&ジミー兄弟を演じると同時に、映画会社の社長や秘書、演出家、スター女優など、およそ10人の登場人物を演じる。今回の公演では、福田悠太(ふぉ~ゆ~)と辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)による「ハリウッドチーム」と、原田優一と太田基裕による「ブロードウェーチーム」で上演する。原田と太田に、互いの印象や公演への意気込みを聞いた。
-脚本を読み、稽古を通して感じているこの作品の魅力を教えてください。
原田 もとは、(戯曲を書いた)ボブとジムというウォルトン兄弟が、自分たちのこととして書いた作品なのですが、今回は、原田優一と太田基裕がジミーとボビーのウォルトン兄弟を演じて、そのジミーとボビーがいろいろな役を演じているという構造になっています。複雑な構造ではありますが、僕たちが悪戦苦闘しながら何役も演じている姿を見て楽しんでいただけたらと思います。
太田 出演者が2人だけで、歌あり、ダンスあり、しかも何役も演じるというのは、本当に大変な作業となりますが、僕自身が楽しめたら、このステージは成功なんじゃないかと思います。なので、一生懸命、必死に、さまざまな挑戦をしていくしかないと思いながら稽古をしています。僕にとっては、お兄ちゃん役が原田さんというのはすごく安心感があるので、お力をお借りしながらすてきな作品を作っていきたいと思います。
-複数の役を演じるとなると、気持ちを作るのが大変そうですが、役の切り替えはすぐにできるものですか。
原田 1幕の前半は、もっくん(太田)の方が早替わりが多いよね。お客さまに「この作品はこういう構造ですよ。笑っていいんですよ」と提示する役割でもあるので、そこは大変なんじゃないかなと思います。
太田 そうですね。ですが、もう少し段取り的なものに慣れていけば、それぞれの役に対しての思いもどんどん深くなっていくと思うので、稽古を重ねながら慣らしていき、丁寧に演じたいと思っています。
原田 今回、1、2行のせりふの間に早替わりしなければならないシーンもあるんですよ。この間、スタッフさんから「大丈夫ですよ。ここ30秒もありますから」と言われて、恐ろしいと思ったぐらいスピードが大切なんです(笑)。
太田 すでに、30秒あったら早替わりじゃないみたいな感覚になってますもんね(笑)。「あのシーンは15秒でいけましたから」って(笑)。
-お互いの最初の印象を教えてください。
原田 僕が演出をさせていただいた、(2017年上演の)ミュージカル「デパート!」に出演していただいたのが最初でした。そのときは、体当たりで演じてくれた姿が印象に残っています。予想以上に壊れてくれるし、パワーもある。背も高くて、イケメンだけれど、格好悪いことも率先してやってくれるんで、僕は大好きです。
太田 僕は「デパート!」のときに、原田さんの笑いのエッセンスがすごく好きで、楽しかったことを覚えています。今回は、役者として共演させてもらえるので、そのコメディー感覚を役者として共有できるんだと非常に楽しみにしていました。
-本作では、お二人とも女性役も演じますが、女性らしく見せる秘策はありますか。
太田 僕は、これまでにも女性の役は何回か演じているんですが、やはり原田さんが演じるとオーラが違うなと思って見ています。
原田 生き生きしているんでしょ(笑)。
太田 すごいです、圧倒されます。なので、僕も本番が楽しみです。
原田 僕は、最初にもっくんの舞台を見たときに女性の役をやっていたので、そのときのイメージが強いです。かわいかったんですよ(笑)。
太田 年を取ったのでだいぶ変わってしまいましたが、じゃあ、あのときをイメージして今回、演じます(笑)。
- お二人から見て、ハリウッドチーム(福田・辰巳)はどんなチームだと思いますか。
原田 同じグループで活動されているので、お互いのことをよく分かっていて、連携プレーがすごくできていると思いました。それから、器用だな、と。
太田 振りもすぐに覚えていたので、すごいなと思いましたね。もう恐ろしかった(笑)、吸収力がすご過ぎて。
原田 それでいて、変な力が入ってないと言いますか、自然体で舞台上にいるので、好印象でした。
太田 稽古は一緒に行っているので、彼らのアイデアを使わせてもらったり、彼らのお芝居を見ることで新しい発見があったり、学ばせていただくことも多いです。
- では、そんなハリウッドチームとは違う、ブロードウェーチームならではの魅力はどこにあると思いますか。
原田 爆発力かな。ハリウッドチームは器用だし、覚えるのも早いのですが、僕らはコツコツ型なんです。地道に進んでいっています。でも、最終的にゴールに到達したときには、きっとものすごい爆発力を発揮するのではないかなと思っています。
太田 やっぱりお客さまに楽しんでもらわないといけないので、優しくて品がある、でも爆発力もあるコメディーにしたいです。
原田 そうだね。「そう来たか!」と言わせることやりたいよね。
-改めて公演への意気込みをお願いします。
原田 コメディー作品は、お客さまに来ていただいてようやく完成するものだと思います。大声で笑うことはできないご時世ですが、ぜひ楽しんで見ていただければと思います。僕たちは、お客さまの拍手を聞いたときやお客さまから「(舞台は)なくてはならないもの」と言ってもらえたときに、やっていて良かったと思えます。足を運んでいただいて、どんな感想でもいいのでいただきたいです。皆さまに何かメッセージをお届けできるよう頑張ります。
太田 気持ちが暗くなってしまったり、いろいろなことに悩んでいる方もいらっしゃると思いますが、僕たち二人が全力で演じているのを見て、少しでも気が楽になってもらえたらうれしいですし、豊かな気持ちを持って帰ってもらえたらと思います。僕たちが一生懸命やっていることが皆さまのエネルギーになればと願いながら頑張っていきたいと思います。
(取材・文/嶋田真己)
ミュージカル「ダブル・トラブル」は、5月2・3日に、埼玉・志木市民会館パルシティでプレビュー公演を上演。その後、都内・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA、都内・よみうり大手町ホールで上演予定。(※詳細は公式サイトへ)
公式サイト https://www.musical-wtrouble.jp/