ついでに、軸に使われている「ラバーラッカー」という塗料も凄い。これ、塗料なのに触るとまるでゴムのようにしっとりと手に吸い付く。軸のブラックのマットな感じもシックでカッコいい。筆記具は往々にして国産の方が良い事が多いのだけど、デザインに関しては外国製がカッコいいのは昔から変わらない。不思議な事に。特にパーカーは実用的でカッコいいデザインを得意としているから、こういうのを作らせると上手いのだ。

 ちょっと持ち上げ過ぎだと思う方もいらっしゃるだろうけれど、これ、本当に「新しい」筆記具で、という事は売れなければ、この世から消えてしまうのだ。でも、これが継続して販売され続ければ、ここから、また新しい可能性も生まれる。しかも、ちゃんと筆記具として良い感じだったりもするのだ。価格が高いというのは確かだけど、ある程度売れないと、価格も下がらないし、安価なタイプの発売の可能性だって消えてしまう。大手のメーカーさんは、そういう決断も早い。だから、多くの人に試し書きでもいいから使ってみてもらいたい。軸も女性向きのスリムタイプもあるから、手が小さい人はそっちを試して欲しい。


例えば、これはもう裏技に近いけれど、この「インジェニュイティ」のリフィルだけ購入して(それなら1050円だ)、それに紙を巻いて鉛筆の太さにして、鉛筆用の補助軸なんかに入れて使うのもよいと思う。この、ちょっと変わったリフィルだけでも残れば、先に可能性が生まれてくる。または、このリフィルを使った軸を、国産メーカーとかも出してくれると嬉しい。せっかく生まれてきた新しい筆記具の可能性を、大事に育てていきたいと、とっても、強く思っているのだ。別に俺の子でも何でもないけど。気に入っちゃったからしょうがないじゃないか。

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のうとみ・やすくに 東京小猫商会コモノ部1号、文具部3号。フリーライター、All About男のこだわりグッズガイド、懐中雑誌ぱなし編集長。夕刊フジ「オトコ小物の名品」、日経トレンディネット「聞いた、試した、すごかった! 最新ビジネスギア情報局」、Pdweb「今月の気になるプロダクト」など、モノ系の連載も多数。著書はデジタル系からモノ系、ドリンク系、書評系など幅広く出版。ラジオやテレビやトークイベントで喋ったりもするし、オリジナルグッズのプロデュースや販売もする。現在、プロのライター向け取材用ノートカバーをプロデュースし発売中