男性同士の恋愛を扱った小説や、漫画などを総称して「ボーイズラブ」、通称「BL」と呼びます。
主な読者層は女性で、BLを好む女性は自らを「腐女子」と称しています。
そんなBLにおいて、重要な萌えアイテムのひとつが「タバコ」。ワイルドな男性の象徴として、あるいは別れのシーンを情感的に演出するアイテムとして……タバコとBLは切っても切れない関係といえるのです。
今回はそんなタバコが印象的に登場するBLコミックをご紹介しつつ、男の世界におけるタバコの魅力に迫ってみたいと思います。
気遣いを忘れずに接する大人の余裕を、タバコというアイテムで表現
『どうしても触れたくない』
まずご紹介するのはヨネダコウ作『どうしても触れたくない』。
恋人に手酷い扱いを受けたり、前の職場でゲイと噂されたりして、傷つくことに臆病になっていた嶋。そんな彼が新しい職場で出会った上司の外川は、無遠慮で図々しいが、優しく気配りのできる男だった。そんな外川に嶋は次第に惹かれていく……。
この作品でタバコを吸うのは、「攻」の外川。傷つくことを恐れてついつっけんどんになる部下の嶋に対して、無遠慮に見えながらも優しく、気遣いを忘れずに接する外川の大人の余裕が、タバコというアイテムで表現されています。
また、この作品ではタバコが物語の要所要所でキーアイテムとして登場しており、たとえば嶋が外川の顔を直視できずにタバコを持つ手をじっと見つめるシーンでは、タバコの存在が外川という人物を象徴するかのように印象的に描かれているのです。
顔を見れないから手元のタバコを見つめてしまう……嶋の複雑な心境がこの場面にギュッと凝縮されていて、たまらないですね!
さらに外川から、こんなセリフが。
「俺の目見て喋んないよな 俺が見てない時はよく見てんのにな」
うーん、かっこいい!
言葉ではなく、目や空気で思いを伝えたり汲み取ったりできるのも大人の恋愛の魅力。タバコはそんなふたりの思いをつなぐ重要な役割を果たしているのですね。