「Amazon Businessは販売事業者にもメリットが多い」と語るAmazon Businessマーケット事業部の白石肇事業部長

アマゾンジャパンは11月29日にメディア向けのラウンドテーブルを開催し、マーケットプレイス事業の近況を報告した。

開始から1年のマケプレプライム 約75%の利用事業者の売り上げが向上

Amazon以外の販売事業者にECプラットフォームを売り場として提供するマーケットプレイスは、世界最大の品揃えを誇るECサイトAmazonの屋台骨ともいえる事業で、現在、全世界の売り上げの半分以上を占めている。販売事業者はAmazonが在庫管理・配送代行をするフルフィルメント(FBA)を利用すれば、業務を効率化できるほか、世界展開も容易になる。

セラーサービス事業本部のジヤ・ゲンチェレン事業本部長は「2016年度にマーケットプレイスで10万ドルの売り上げを達成した事業者は10万社以上、また6万人の雇用も生み出している」と、販売事業者に対するマーケットプレイスの貢献度について具体的な数字を示した。

プライム会員の特典充実・会員増加も販売事業者にとってメリットになっている。プライム会員はショッピング時に、会員であれば送料が無料になる「プライムマーク」が付いた商品に絞り込んで検索することが多い。販売事業者が自分の商品に「プライムマーク」をつけることができれば、それだけで露出アップにつながるのだ。

プライムマークの付与は、FBAもしくはマケプレプライムに加入していることが条件。FBAは現在、800円未満の小型・軽量製品を対象にしたプログラムや定期おトク便のプログラムも用意しており、販売事業者のニーズを踏まえて、選択の幅が広がっている。

16年10月に開始したマケプレプライムは、自社配送の商品もプライム対象になる仕組みで、在庫管理が難しいアイテムの販売に向く。運用開始から1年で利用者は初月の約4倍に、アイテム数は約2倍に拡大。また、17年4月時点で売上が向上した顧客は利用者の約75%にのぼるという。

成長カテゴリは「消費財」と「ファッション」

販売事業者が利用できるサービスの変化は、売れ筋のカテゴリにも影響を与えている。「17年7月のプライムデーではうなぎが非常に売れて、『日本人はどれだけうなぎが好きなんだ』と世界でも話題になったが、食品を中心とした消費財カテゴリの伸長を象徴する出来事」と、セラーサービス事業本部の石橋憲人営業本部長はエピソードを紹介。

また、ファッションも成長著しいカテゴリだ。17年10月には大阪の藤井寺に国内15か所目の物流拠点として「アマゾン藤井寺FC(フルフィルメントセンター)」を開業。6万5000平方メートルの広大な敷地を、ファッションカテゴリのアイテム専用に活用している。

米マーケティングリサーチ会社のNielsen Digital Content Measurementが17年8月に実施した調査によると、Amazon.co.jpの月間ユニークユーザーはデスクトップで約1650万人、モバイルで約3560万人。「Amazonは男性の利用者が多いイメージがあるが、拡大しているモバイルユーザーの半数は女性。消費財やファッションが成長している要因にもなっている」(石橋氏)。

「Amazon Business」が追い風に 販売事業者のメリットは?

9月に日本で開始した法人向けサービス「Amazon Business」も販売事業者にとって新たなチャンスになっている。Amazon Businessマーケット事業部の白石肇事業部長は「チャネルだけでなくエリアも含めた販路拡大」「見積書作成や契約処理を代行することによる業務の効率化」「与信販売・代金回収を代行することによる掛売り販売のリスク軽減」をメリットに挙げた。

サービス開始から2か月の売れ筋をみると、電池や磁石などの消耗材からノートPCやプロジェクターなどの高額製品まで幅広い。Amazon Businessは海外販売にも相性がよい。現地における提携先や販売先を確保する必要がないからだ。

米国ではサービス開始から1年で40万社、2年半で100万社と急速に広がった。現在、日本で契約している社数は公開されなかったが、本国同様に好調な出足とのこと。白石事業部長は「個人が一時的に代金を負担したり、面倒は手続きに手間をとられたりすることがなくなるので、中小企業で特に伸びている」と状況を説明した。(BCN・大蔵 大輔)