――そのどや文具ペンケースの次に開発されたのが、今回ご連絡いただいた「立つノートカバー」なんですね。どのような商品なのでしょうか?
阿部:このノートカバーはアナログとデジタルをシンプルにつなぐ文房具です。
ビジネスシーンで商談やミーティングでメモしたことをパソコンに打ち込むいった際にノート自体を立ててパソコンの横においたほうが「見やすい」というシンプルなコンセプトから産まれました。
私が会社員時代、営業レポートや出張の報告書をパソコンで書くことがとても多かったんです。普通のノートだとパソコンのディスプレイとノートを上下に交互に見ないといけず首がいたくなってしまいまいました。ある時、ノートを書見台に立てて見ると目線だけを左右に動かすだけでノートとパソコン画面を見ることが出来すごく楽だったんです!
そこでノート自体に書見台のような自立機構を組み込めないかどうかを考え始めました。こういう経験をされて苦労されている方は多いんじゃないでしょうか?
――何度も試作を繰り返されたと伺いましたが、どういうところにこだわって開発されたのですか?
阿部:最初、試作品は厚紙で作り何度も脚の構造やデザインを幾度も試しました。そして商品と同じような樹脂でも作りました。
脚の立体構造はある程度すぐに出来たんですが、その時のデザインはあまり「美しく」なかったんです。それから何でも美しいデザインを求め、黄金比率の勉強をしたり、知り合いのデザインナーに意見を聞いたりしながら「美しさ」を求めました。今の脚のデザインは無駄な部分がなくとても美しい美脚なデザインに仕上がったと思います。
――この商品を発売するために行う「日本の文房具業界初の挑戦」とは?
クラウドファンディングで資金を調達して、量産品の製造を行います。
僕のような個人レベルのクリエイターや小さな会社では新しいモノづくりを進めるには資金的に難しい面があります。
この「立つノートカバー」も大手の文具メーカーのノートカバーと同等の販売価格に落とす為にロットをたくさん作らねばなりません。そういう資金面で悩んでいる時に知り合いからクラウドファンディング型ECサイト「Kibidango」さんをご紹介いただきました。
個人や小さな会社が新しいモノを創っていく上でクラウドファンディングというシステムは本当に素晴らしいシステムだと思います。
――次々と新しい取り組みをされていらっしゃいますが、今度どのような商品をつくりたいと思われていますか?
阿部:今回の「立つノートカバー」のように+アルファの価値観をもった、大手文具メーカーが作らないようなエッジのたった商品を創っていきたいと思っています。
文房具好きが始めた文房具メーカーだからできる目の付け所が商品に反映していきたいですね。
僕らのような小さな文房具メーカーが増えることで文具の幅がより広がり、業界的により活性化してくれたらいいなぁと文房具好きとして思います。
――すばらしいですね。本日はお忙しいところありがとうございました。
阿部社長にお話を伺っていて感じたのは、「自分が本当に欲しい。使いたい文房具を作りたい。」という阿部社長の思いでした。
文房具ファンのアイデアが、大手メーカーや文房具店に頼らなくても商品として世の中に出せるようになれば、面白い文房具がさらに増えますね。
阿部社長の「立つノートカバー」プロジェクトはぜひ成功していただきたいですね。