ウォルト・ディズニーが愛したジャズ音楽をたっぷりと堪能できる『ディズニー・ワールド・ビート 2022』が2022年8月5日(金)の東京・サントリーホールでの公演を皮切りに、全国11都市で14公演開催される。

ディズニー音楽のエキスパートとして知られるブラッド・ケリーは『ディズニー・オン・クラシック〜まほうの夜の音楽会』の第1回(2002年)より指揮・編曲をつとめ、18年の全国ツアーをもって、同公演の指揮者を勇退。19年よりジャズを中心とした新しいディズニーコンサートである『ディズニー・ワールド・ビート』シリーズを始動した。

3年ぶり2回目となる今年は「JAZZ ANIMALS〜夢を奏でる動物たち」をテーマに、『ライオン・キング』、『おしゃれキャット』、『ダンボ』といった素敵なヒーロー/ヒロインに光をあて、彼らが奏でるジャズのリズムにのせて、夢見る姿をスクリーンの映像と音楽で描く。

バンドリーダー、音楽監督、そしてMCを務めるブラッド・ケリーは「本当に日本を恋しく思っていました」と3年ぶりの来日を喜ぶ。「これまでディズニー・オン・クラシックで毎年のように来日して、(日本を)第二の故郷のように感じていましたから。全国にいる熱心なファンの皆さんとまたお会いしたいです」。

今回の「JAZZ ANIMALS」というテーマに込めた思いを尋ねると「ディズニーのアニメーションにおいて、人と動物との関係性を描いたものがいかに多いか。例えば『白雪姫』も『シンデレラ』なども、多くが登場と同時にジャズのサウンドを使って登場するんです。彼ら動物たちにオマージュを捧げつつ、ジャズの作曲家たちへも敬意を払いたいと思っています」と話す。

自身が好きな曲を尋ねると「みんな僕の子どもだから」と笑いながら、一部の一番最後に演奏する『Mr.インクレディブル』メドレーを挙げたブラッド。「私がこの『ディズニー・ワールド・ビート』を企画したいと思ったきっかけの曲なので、全ての基礎になっている楽曲だと思う」という。また『ピノキオ』の「星に願いを」は、ブラッドがディズニー・オン・クラシックのために一番最初に編曲した曲で、何百回と演奏を重ねてきたこともあり、「非常に私にとって大切な曲」と語った。

最後にブラッドは「プログラムを提示する側として、やはりジャズファンではない人にも楽しんでいただけるようなものをご用意したいなと思っています。料理でいえば、私はいわばシェフのような立場。お客様には好きなものを食べて楽しんでもらえるようにしたいと思っています。ジャズの中にも“難しいジャズ”もありますが、そうではなくて、ディズニーの音楽をご存知であれば、きっと楽しめるであろうという思いで演奏する予定です」と観客へのメッセージを送った。

取材・文:五月女菜穂