先日、日本テレビ「嵐にしやがれ!」という番組で、嵐の松本潤さんにシステム手帳の選び方を伝授する、という仕事をしたのだけど、その現場で気がついたのは、想像以上に若い世代はシステム手帳を知らないという事。かつて、全てのビジネスマンが持っていると言われたブームが1984年~1994年くらいまでだから、既に17年前の事。しかも、その後2005年くらいから、じわじわと綴じ手帳が流行し、ここ数年の手帳ブームは、完全に綴じ手帳のものになっているのだから、30歳以下の人たちは、むしろ知らなくて当然なのかも知れない。
もちろん、ブームが終わったからといってシステム手帳がこの世から無くなった訳では無く、当時から使っていて、今でも使い続けているユーザーも沢山いる。文具王こと高畑正幸氏が去年、考案し作成した「文具王手帳」も、その基本部分はバイブルサイズのシステム手帳だ。かく言う私も、綴じ手帳の特集とか、クオバディスの手帳全ラインアップの使いこなし、なんて記事をあちこちに書きつつ、システム手帳も使い続けていた。実際の話、自分の好きなように内容を設定できるシステム手帳は、一度自分なりの使い方を見つけると、本当に便利なのだ。
ただ、問題は、その「自分なりの使い方」だったのだと思う。まだ、手帳が会社から支給されていて、そこに「自分の使い方に手帳を合わせていく」なんて発想が全くなかった時代に、システム手帳はオーバースペックだったのだろう。それなのに無理して使っていたから破綻したユーザーが多かった。また、システム手帳ブームが終わる1995年あたりは、インターネットが普及し始めた頃であり、PDAブームの時代でもあった。システム手帳的なカスタマイズに魅力を感じるユーザーは、パソコンやPDAに向かい、手帳に馴染みがないユーザーにはハードルが高過ぎて、システム手帳は何となく継続ユーザーのみが利用するレガシーデバイスになっていった。
そんなシステム手帳に復活の兆しが見えてきた(気がする)。松本潤さんがシステム手帳を購入したというのも、一つの兆しだろうし、手帳+革カバーの流行も、システム手帳を後押しする。何より、ここ数年の手帳ブームで、多くの人が手帳の扱いに慣れてきた事が大きい。最近、やけに「手帳のカスタマイズ」という言葉を聞くのも、手帳に慣れてきたユーザーが、既存の手帳では自分にぴったり来ないという事に気がついて、自分なりの手帳に改造してしまおうという人が増えてきたからだ。そうなると、システム手帳まであと一歩。何せ、自分に合わせる使い方なら、どの綴じ手帳よりも得意なのだから。
システム手帳は、あまりにも自由度が高い故に敬遠されていたのだから、その自由度が求められれば問題は無いはずだ。未だに愛用者が多いため、リフィルは継続して販売されているし、種類も十分多い。そして何より、これも知られていない事実だが、システム手帳の方が綴じ手帳よりも遊びの要素が多いのだ。特に大人にとっては。
その遊びの最大のポイントは、高いカバーを使える事。最近は綴じ手帳用のカバーも色々売っているけれど、それでも、何年使い続けるか分からない、何年発売され続けるか分からない綴じ手帳のカバーに、数万円は出しにくい。ところがシステム手帳なら、ずーっと使い続けられるから、例え5万円のカバーを買ったとしても、10年使えば1年5千円。綴じ手帳用の革カバーより安く上がるのだ。作る側も、その理屈が分かっているから、システム手帳のカバーは、きちんと良いモノが多い。