高いコミュニケーション能力は必ずしも必要ではない

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――キャストというと、いつも笑顔で、ハキハキとしていて……というふうに、コミュニケーション能力に長けている印象があります。

例えば、ふだんから明るくて、友達が多いような人でなければ務まらないのでしょうか? 自分にもできるのかな?と不安になる方も多いと思うのですが。

神野さん:必ずしも高いコミュニケーション能力が必要だというわけではありません。まったくアルバイト経験がない方でも安心して働いていただけるように、トレーニングを整備しています。勤務形態にもよりますが、一人でゲストの前に立つまでに、入社時、所属部門、OJTなどたくさんのトレーニングを受けていただきます。その後も習熟度に応じて段階的にトレーニングを行っております。

また、コミュニケーションが得意な方もいれば、どちらかといえば得意ではないと思っている方もいらっしゃいます。そういった方には、バックステージから東京ディズニーリゾートを支えるお仕事もありますよ、とご紹介しております。

レストランを例にとれば、「お料理や美味しいものが大好きで、料理を通じてゲストとコミュニケーションを取りたい」という方は、フードサービスキャストをオススメしていますし、「お話をするのはちょっと苦手だけど、料理を通じてサービスをしたい」という方には、調理補助を担当するカリナリーキャストをオススメしています。

どちらの仕事も最終的にゲストに楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい、という思いは変わりません。ゲストと接する機会のないカリナリーのお仕事でも、下げられてきたお皿に、ソースで「ありがとう」と書いてあった、なんてエピソードもあるんですよ。また、「料理がおいしかった」とゲストから賛辞のお手紙をもらうこともあります。ゲストと直接お話できなくても、ゲストの存在を感じられる機会はたくさんあります。

配属先はみなさんからのご希望と、こちらから適正と勤務条件を見させていただき、総合的に判断して決定しています。接客は苦手かもと思っている方でも、バックステージのお仕事もありますので、一緒に働く仲間とのチームワーク、コミュニケーションがとれれば、まったく心配はいりません。

 

キャストをしていて「自分が変わる」経験をする人は少なくない

――なるほど、遊びに行っているだけでは見えない「バックステージ」にも、たくさんの役割があるんですね。ところで、元キャストの知人から、「キャストとして働いて自分が変わった」という話を耳にした経験があります。そういう方は多いのでしょうか?

神野さん:キャストとして働いたことで、「新しい目標ができました」「夢ができました」という声や、逆に苦手なことにチャレンジして「自分が変わった」という声は、実際多く耳にします。

例えば、フードサービスキャストとして働いていて、自主的にソムリエの資格にチャレンジをし、資格を取得したキャストがおります。東京ディズニーシーがオープンして、アルコールの提供が始まり『テディ・ルーズヴェルト・ラウンジ』でソムリエキャストとして勤務することになりました。

また、カリナリーキャストとして働いていて、料理に興味を持ち、調理師免許を取得したキャストもおります。オンステージのキャストで、サービスそのものが好きで興味を持ち、サービス接遇検定の1級に合格したキャストも何名かいます。

――なぜ、向上心が生まれるのでしょう? 例えば、調理補助を行うアルバイトは世の中に無数にありますが、それがきっかけで「調理師免許を取得しよう」とは、なかなかならないと思うのですが。

神野さん:毎日サービスをしていて、周囲にも同じように頑張っている人がいる環境なので、「もっと良いサービスがしたい」という思いが生まれやすい好循環があるのだと思います。

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