『アナと雪の女王』を手がけたジェニファー・リー&クリス・バック監督

最新ディズニーアニメ『アナと雪の女王』が14日(金)から公開される。本作は本年度のアカデミー賞で2部門に輝いただけでなく、全世界興収は10億ドルを突破。数あるディズニー作品の中でも屈指のヒット作となった。新世代の“ディズニークラシック”はいかにして生まれたのか? 監督を務めたクリス・バックとジェニファー・リーに話を聞いた。

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本作の主人公は、触れるものを凍らせてしまう禁断の力をもった女王エルサと、彼女を愛している妹アナ。エルサは自身の力を制御して成長し、女王に即位するが、ついに自身の力を制御しきれずに真夏の王国を冬に変えてしまう。映画は、アナが愛する姉を救うため、雪に閉ざされた王国を救うために旅立つ様を描く。

童話を基にした物語、愛らしいキャラクター、美しいミュージカルシーン……本作はかつてのディズニーの名作が備えていた要素を余すところなく盛り込んだ作品に仕上がった。バックは「ずっとファンだったから、ディズニー・クラシックがもつ娯楽性やハート、音楽、楽しさは自然に表現できるんです。だから物語やキャラクターに現代的な要素を盛り込むことで“タイムリー”であり“タイムレス”な作品にしたいと思いました」と語る。

タイムリー(現代的)でタイムレス(普遍的)。その方針はドラマ作りだけでなく、アニメの“制作過程”にも貫かれた。本作ではデジタル表現が多用される一方で、キャラクター表現ではこれまでのCGにはない“ゆらぎ”や“手描きならではのやわらかな表現”が取り入れられた。「この作品では手描きのアニメーターとCGアーティストがタッグを組むことで、CGで“手描きアニメ”の動きやタイミングを表現しようとしました」(バック監督)。

ストーリーも画作り同様、現代性と普遍性の両面から検討され、繰り返し変更が加えられた。その結果、本作では主人公やヒロインを誘惑し、苦しめ、最後に倒されることでハッピーエンドをもたらす“悪役”が退場することになった。それは脚本も手がけたリーにとって必然的な選択だったようだ。「もちろん最初はエルサは悪役でした。でも、私たちが最も描きたいものは“愛”と“恐れる心”の対立で、魔女的なものを登場させると、どうしても“善と悪の対立”になってしまうんです。そこで思い切って“魔女”の要素を排除したら、急に自由度が増して“愛と恐れる心の対立”が現代の問題として描けるようになりました」。

本作は一見するとディズニーアニメの“王道”のように見えるかもしれない。しかし、本作は物語、キャラクター、アニメーション表現のいずれもがこれまでの伝統を引継ぎながら現代の観客に響くように考え抜かれている。

『アナと雪の女王』
3月14日(金) 2D・3Dロードショー