山下達郎スタジオ録音盤「プラスティック・ラブ」が、もし存在したら…と思ったことのあるファンも少なくないだろう(イラスト・水野賢司 オフィスキリコミック)

世界中で流行しているシティポップの代名詞ともいえる竹内まりやの「プラスティック・ラブ」。竹内まりやファン、あるいは山下達郎ファンならご存じだと思うが、竹内まりやのプライベートのパートナーである山下達郎が歌っている「プラスティック・ラブ」のバージョンが存在する。山下達郎のライブアルバム「JOY」に収録された1986年7月30日の中野サンプラザでの公演のものだ。しかし、公式に存在するものはこのライブ盤だけで、スタジオ収録版は存在しない。今回は最新のDJアプリを使い、山下達郎版「プラスティック・ラブ」“なんちゃって”スタジオ録音盤を自作する方法を紹介しよう。

「djay」の大型アップデートで手持ちの楽曲をトラック分割できる!

二つ以上の楽曲のテンポ(BPM)やキーを合わせることができるDJアプリは以前から存在しているが、2024年、DJアプリの代表的存在の「djay」に大型のアップデートがあった。

その一つが「NEURAL MIX」機能だ。AIによって既存の楽曲をドラム、ボーカル、ベース、ハーモニック(ギター・キーボードなどの伴奏)の四つのトラックに分割する機能だ。

NEURAL MIXが利用できるのはDRM(コピープロテクト)のかかっていない楽曲。なのでApple MusicやSpotifyの楽曲などはトラック分割ができない。したがって、CDなどから取り込んだ音源データが必要になる。

山下達郎版「プラスティック・ラブ」スタジオ録音盤を作成する上で準備するものは次の四つだ。

1)アプリ「djay」

今回はiPad版にて作業を行った。iPhone版でも作業は少し行いづらくなるが、今回程度のmixであれば可能だろう。

2)CDドライブがついたPCあるいはアイ・オー・データ機器の「CDレコ」など

CDをiPadやiPhoneに取り込める環境を用意する。

3)山下達郎ライブアルバム「JOY」

「JOY」のディスク1の5曲目にライブ盤のプラスティック・ラブが収録されている。

4)竹内まりや アルバム「VARIETY」

個人的には30thAnniversary Editionがおすすめ。

djayに取り込むための「8ステップ」を解説

四つが準備できたら、さっそく次のステップに沿ってdjayに取り込んでいこう。

Step1)音源をスマホに取り込む

音源をiOSのファイルに入れておくのがやりやすい方法。djayからファイルフォルダにアクセスすることができる。

Step2)djayアプリを起動→竹内まりや「PLASTIC LOVE」をdjayに読み込む

まずはトラック1に竹内まりや版を取り込みます。

Step3)山下達郎Joy版 プラスティック・ラブをdjayに読み込む

Varietyでは英語でPLASTIC LOVEだが、達郎版はカタカナで、中黒入りでプラスティック・ラブ表記なのが、ちょっと気になる…

Step4)続いてトラック2に山下達郎Joy版を取り込む

アプリ上部に「KEY」という項目があり、自動的にdjayアプリが取り込んだ楽曲のキーを検知してくれていることがわかる。

すると、竹内まりや版はFキーで、達郎版はEキーということがわかる。今回、山下達郎のボーカルを存分に楽しむために、達郎版のキーを変えたくないため、竹内版のほうのキーを変更、こちらを達郎版のEに変更する。

今や高価なハーモナイザーなしで全体のキーを変えることができるのだ。

Step5)キーを変更したら、ここでNEURAL MIXの出番だ

トラック1の画面左の4トラックのフェーダーで竹内まりや版のボーカルトラックをゼロボリュームにする(ミュート機能があるので、こちらを使っても良い)。

そしてトラック2の山下達郎版は逆にボーカルだけを残すセッティングにする。

Step6)歌い始め部分を揃える

山下達郎版では10小節目から歌い始め、竹内まりや版は14小節目での歌い始めとなる。

山下達郎版の10小節目に画像のようにCueポイントをつけ、竹内まりや版の14小節になったら、Cueを使って再生をスタートさせる。

2曲を同期させるため、画面両端にある「SYNC」をオンにすることを忘れないことが重要だ。これをオンにすることで2曲がピッタリと同期してくれる。

Step7)テンポ(BPM)を決める

今回は竹内まりや版のテンポ(BPM)に山下達郎版を沿わせることにしてみた。

Step8)タイミングを合わせて再生

タイミングを合わせたところで再生して問題なければ、無事、山下達郎版「プラスティック・ラブ」スタジオ録音盤の完成となる。

もちろん「スタジオ録音盤」というのは「妄想」のものであり、言うまでもなく公式のものではないが「もし山下達郎がプラスティック・ラブを竹内まりやの音源で歌ったらどうなるだろう…」という夢が、これで叶うわけだ。

今回の2曲は間奏の長さなども同じなので、かなり簡単にmixすることができる。

初級編として他におすすめなのは「戸川純と細野晴臣のデュエットによる“夢見る約束”」など。細野晴臣版は小池玉緒のTAMAOに良音質版が収録されているので、この機会にTAMAOを購入してみてはいかがだろうか?

Djayアプリはサブスクで有料だが、7日間の無料トライアルもできる。今回のmixであれば、7日間のトラアイル期間でも十分に楽しむことができるだろう。(ITプロデューサー・Jag山本)

Jag山本(山本釈弘)

ITビジネスデベロップメントアーティスト。Webマーケティング・メディア運営などを行っている。武蔵野美術大学大学院非常勤講師。

著書に「新IT時代への提言」(アスキー総合研究所)など。Jag Project,LLC代表。