ワイヤレスイヤホン全盛だが、有線イヤホンも根強い人気を保っている。そのイヤホンのケーブルを取り換えることを「リケーブル」という。これまで、主に音質向上を目的に高価なケーブルに交換して悦に入る、というのが普通のパターンだった。ただ、それ以外にもケーブルを取り換えることで得られるメリットは多数ある。そこで、極めて実用的なイヤホンのリケーブルについてご紹介したい。 最近の、耳に突っ込むタイプのカナル型イヤホンは、リケーブル可能なモデルが増えてきた。イヤホン本体とケーブルがコネクタで接続されていて、容易に取り外せるような構造を採用したものだ。おかげで、仮に断線しても、ケーブルだけ取り換えればイヤホンを使い続けることができる。これはとても大きなメリットだ。また、購入時に付属したケーブルに不満がある場合も、取り換えで自分好みのイヤホンにできるのもいい。例えばタッチノイズ。堅めのイヤホンケーブルの場合、ケーブルがどこかに触れるたびに、ガサゴソといったノイズが耳に届き不快な思いをする。しなやかな素材のケーブルに取り換えることで快適さが向上する。もちろん、見た目や手触りといった様々な要因が使用時の快適さを左右する。ケーブル一つ取り換えるだけでもかなり違うものだ。

ほかにもリケーブルで得られるメリットがある。マイク付きケーブルへの変更だ。オンライン会議などで活用できるマイク付きイヤホンは、多く販売されている。ケーブルの途中にマイクがついていて、声を拾う仕組みになっている。ところが、音質にこだわったイヤホンでマイク付きのものはあまり見かけない。そのため以前は私も、会議用には安物の使用感もあまり好みではないイヤホンを嫌々使っていた。しかし、オンライン会議の時にも、いつも音楽を聴く時に使っている「いいイヤホン」をそのまま使いたい……。そんな時にもリケーブルが有効だ。マイク付きのケーブルに変更するだけで、オンライン会議にも使えるイヤホンに早変わりする。普段音楽を聴くときに使っている、音がいいと評判のイヤホンで、会議や電話の受け答えができるようになって、とても気分が良くなった。現在は、千円台と、とても安価だったTRIPOWINのマイク付きイヤホンケーブルを使っている。

リケーブルで得られるメリットはまだある。対応プラグの変更だ。現在、一般的な有線イヤホンは3.5mmのステレオプラグがついている。いわゆるミニプラグ、というやつだ。最近ではこれ以外にも2.5mm、4.4mmといった「バランス接続」用プラグも増えてきた。バランス接続とは、右と左で回路が完全に分かれている接続方式。「左右の音が混ざらない」「電気的ノイズが減少する」「音量を大きくしやすい」などのメリットがある。対して、従来の3.5mmステレオプラグでの接続を「アンバランス接続」という。メリットが多いことで、バランス接続に対応する音楽プレーヤーも増えてきた。せっかくプレーヤー側で対応していても、イヤホンが非対応なら、バランス接続の恩恵を受けることはできない。その場合もバランス接続プラグが付いたケーブルに変更すれば、すぐにバランス接続の「いい音」をこれまでのイヤホンで楽しむことができるようになるわけだ。

プラグの種類が増えてきたことで、かなり面倒なことになっている。普通のプレーヤー用に3.5mmプラグのイヤホン、アンバランス接続対応プレーヤー用に4.4mmプラグ付きイヤホン、2.5mmバランス接続用にも対応イヤホン、さらにスマートフォン用にUSB-Cでつなげるイヤホンと、それぞれに用意していたらイヤホンだらけになってしまう。これを解決する便利な製品がある。プラグ交換式のイヤホンケーブルだ。複数のメーカーが販売しているが、今回はTRNの「T2 Pro16」を紹介したい。イヤホンケーブルのプラグ側にもコネクタがあり、3.5mm、2.5mmバランス、4.4mmバランス、USB-Cなどと自由に交換できるわけだ。主に4.4mmバランス接続で使っているが、時々3.5mmやUSB-Cが欲しいという場面は結構ある。そんな時に威力を発揮する。もちろん、3.5mmプラグに変換ケーブルなどを接続して使うことも可能だが、その場合はアンバランス接続になってしまい、バランス接続のメリットが享受できない。

リケーブル用のケーブルを購入するにあたって、一つ注意すべき点がある。それはイヤホン本体のコネクタ規格だ。例えば、シュアのイヤホンは「MMCX」という規格でケーブルと接続されており、MMCX接続用のケーブルが販売されている。そのほかは、2pinと呼ばれる2本のピンで接続するものが多い。この2pinにも2 Pin・0.78mm、2pin・0.75mm、QDC(カバー付き2Pin)など亜種がたくさんある。使用するイヤホンにきちんと適合したケーブルを選ぶように気を付けてほしい。また、実際にケーブルを取り換える際、左右とプラスマイナスが分かりにくいイヤホンも存在する。一旦接続したら、左右が合っているか、プラスマイナスである「位相」が合っているか、念のためチェックしておきたい。YouTubeで「オーディオチェック 左右」などのキーワードで検索すれば、チェック用の動画がたくさん出てくるので活用してほしい。(BCN・道越一郎)