古くからのYMOマニアならご存じかと思いますが「YMO GIGA CAPSULE」というDVD-ROMがかつて存在しました。YMOの楽曲が7トラックのパラ(音源別)に収録されて、同梱のソフトウェアで自分の好みのRemixができるようになっていたのです。残念ながら、今のPCでは動作しない上に、すでに廃盤…だったのですが、djayというアプリを使うことで、4トラックながらも、音源をパラにして自分でRemixできるのです。
ドラム・ベース・ボーカル・その他に分離
djayアプリではAIによって楽曲をドラム・ベース・ボーカル・HARMONIC(その他の音源)の4トラックに分離してくれます。
残念ながらキーボードを各々の音色に分離させることはできず、ギターなども、HARMONICで1トラックになってしまいますが、それでも、高橋幸宏さんのドラムと、細野晴臣さんのベース、坂本龍一教授のキーボードをパラで楽しめるだけでも充分に楽しむことができます。
まずは音源を確保!~step01~
djayに音源を取り込むには二つの方法があります。djayはApple Musicのサブスク音源には対応していないため、他の方法で音源を用意する必要があります。
一つはPCなどでCDをリッピングしたデータを使うこと。もう一つはiTunes Storeで購入することです。サブスク版は対応していませんが、iTunes Store購入版は対応しているので、この際に最新リマスター版などを購入してしまうのもオススメです。
音源をダウンロードする~step02~
djayはiPhoneにダウンロードされた音源しか対応していないので、ミュージックアプリで使いたい音源を前もってダウンロードさせておきます。
音源をdjayで読み込む~step03~
djayアプリを立ち上げて、Tap to loadをタップします。読み込み元のソースをローカルミュージックにし、読み込みたい楽曲を検索して読み込ませます。
読み込み完了!
ここでiPhoneを横画面にすると、作業がグンとしやすくなります。
トラック別画面に!
読み込み終わったら、画面左下のフェーダーのようなボタンを選択します。
読み込むと下のような画面になるのですが、ここではドラムとハーモニックとボーカルの3トラックだけになっています。
NEURAL MIXという文字の横の下矢印を押すと4トラックに分離変更ができるので、ここで変更します。
4トラックの画面になったら、好きなトラックを消したり、好きなトラックだけにすることができます!
これで自分の好きなRemixもつくれますし、細野さんのベースだけを聞くということもできます。
キーの移調やBPMの変更も!
djayではキーの変更やBPMの変更もできます。
例えばアルバムServiceに収録されているLIMBOではキーを3度高く設定し、ボーカルだけ抜き出すことで…メインボーカルの「あの低い声」の、ほぼ元の細野さんの声を聞くことができます。
djayでは最大4曲までの音源を同期(シンクロ)させてプレイできるので、例えば一つのトラックで3度移調したボーカルだけのトラックをつくり、もう一つのトラックを元のトラックにし、二つのトラックを切り替えることで、メインボーカルだけ元の細野さんの声にするLIMBOのRemixなどもつくることができてしまいます。
声だけ消したり、抜き出したりできるので、YMOファンにオススメの手軽な遊び方としては、
増殖のThe end of ASIAの「日本はいい国だなぁ」がない版を聞いてみる
残念ながら、喋ってるときに全体の音量が下がっているため、ちょっとボコボコしてしまいますが…曲だけ版を聞けるのは嬉しい限りです。
Service最後のSET 05から「茶柱家族を消す」
Serviceの最後を締めくくる楽曲。つまり散開時最後のアルバム収録曲なのに、あの声がいらない~と思った方も少なくないでしょう(SETをディスっているわけではないのです!)。ボーカルトラックをミュートすることで、教授のシンセサウンドを堪能することができます。
SolidStateSuveriverの最後のゴショゴショ声だけ抜き出す
何を喋っているか?を解析するのは難しいですが、抜き出せます。
Pocketful of Rainbowsの2分35秒目近辺の「この恋(いつか)叶うときまで」の(いつか)を大きいボリュームに合わせて聞く
Be A Supermanのユキヒロの「ごめん」の声だけ抜き出して聞く
BPMもキーも変更できる上、再生のキューポイントなども設定できるので、もう少し慣れてきたならば、コズミックインベイジョンと本家コズミックサーフィンを同期させてみる
矢野顕子のTongpooの歌声を本家の東風と同期させてみる
――といったようなこともできます。
筆者は個人的にはChines Whispersの細野さんのベースを大きめにして堪能して大喜びしています。大幅なRemixなどをしなくても、好みのパートのボリュームの調節をするだけでも、新たな発見があったりするのです。YMOオタクにはdjayは必携アイテムなのではないでしょうか?(ITプロデューサー・Jag山本)
Jag山本(山本釈弘)
ITビジネスデベロップメントアーティスト。Webマーケティング・メディア運営などを行っている。武蔵野美術大学大学院非常勤講師。
著書に「新IT時代への提言」(アスキー総合研究所)など。Jag Project,LLC代表。