chairmansプロデューサーインタビュー

chairmansの素晴らしいライブを見た後、自分の中にはいくつかの疑問が浮かびました。1stマキシシングルから2ndへの、大きな曲調の変化はなんだろう?そして、地元の大きな被害にも関わらず、こんなに明るく楽しいサウンドを聴かせてくれるのはなぜだろう?

そこで、スペシャルインタビューをさせていただきました!チャーマンズプロデューサーの赤間史将さんにお話をうかがっています。被災地の復興のためにアイドルが何を出来るのか…。ぜひお読みください!

――まずは名曲『冬のONE SIDE LOVE』が収録されている「1st COLLECTION」からお聞かせいただけますか?

赤間「1stマキシシングルは震災の年にリリースしました。当時は壊滅的状態で…。がれきも残っている、家も流されている人が多い、ものすごく大変な状態でした。そんな中で自分たちに何が出来るかを考えて…、支援ユニットの名の下に、「岩手美少女図鑑」の女の子を中心に結成したのが「chairmans」(チャーマンズ)でした。」
 

 

――そのコンセプトのもとに、あの優しい楽曲が出来ていったわけですね。

赤間「その時のコンセプトは、被災した人たちの気持ちを楽にできるような曲を作りたい、と思いました。透き通った曲、優しく包み込むような曲です。今の気持ちを少しでも前向きに出来るような…。被災した当事者から当事者に対するメッセージを送りたかった。これが1stシングルにこめた思いですね。」

――今回の2ndでは、作風が一変していますよね。アップテンポでポップな楽曲が多い印象です。

赤間「私たちが今回の曲作りを始めたのが、ちょうど今から1年前、震災から2年経った頃でした。その時の思いは、がれきも少なくなって、仮設商店街も建ち、工場を建て直して、自分たちで立ち上がろうとしているタイミングだったんです。自分たちは悲しみを引きずらないような、そんな曲にしたかったんですよ。アイドルの元気の良さによって、岩手の人を勇気づけ、元気づけしたいという意味合いがあったんです。」

 

 

――この楽曲の変化には、そういう思いがおありになったんですね。

赤間「被災地域の方々で、俺たち、普通の暮らしをしたいんだよ!という方も、その時点で多くいらっしゃいました。仮設住居に住んでいる人も、がんばって勤めに出ている。中高生だった子たちが、大学生や社会人になっている。若い方の時間っていうのは、大人が考えるよりもスパンがすごく早いと思うんです。そんな中で、悲しみ、苦しみを歌うのは、私たちの役割を終え他の方にお任せしようじゃないか、と。

いまからは、元気いっぱい、普通に生きることの素晴らしさを表現したかった。被災地の方々に対する寄り添い方の方向性を変えようと考えたんですね。」

――寄り添い方の方向性…深いですね…。

赤間「2ndマキシシングルの「TWO FACE」というタイトルには、天使と悪魔、二つの方向性、という意味合いがあります。一つの方向性は、メルヘン、ファンタジー。岩手には宮沢賢治の世界観のようなファンタジー意識が根付いています。銀河の大地と言ったりしますが、メルヘンの世界が岩手の底辺にあるんです。宇宙人が登場する『愛しのエイリアン』や、ファンタジーそのものの『MY HERO』は、メルヘンの世界を根底に持つ岩手の人々を勇気づけたい、と思ったんです。」
 

 

――あの歌詞にはそんな思いが込められていたんですね。

赤間「もう一つの方向性が、等身大の自分たちです。たとえば『Promise You』はブライダルソングになっています。震災後に結婚するカップルが増えました。恋愛っていいなぁ、結婚っていいなぁ、そういう前向きな気持ちを伝えたかった。それが天使の部分ですね。

恋愛を純粋に歌った『大好き大好き』や、女性の情熱を描いた『恋のスパーク』。生きようよ!恋愛しようよ!というポジティブなメッセージが込められています。」

――それが、じんわり伝わってくるのがいいのかもしれません。

赤間「岩手にはその温度感が合っているのかもしれませんね。chairmansは、イマドキのアイドルソングではないんですよね。ソイヤ!ソイヤ!と盛り上げるタイプではない。次の3rdでも、さらに変わると思いますが、ソイヤ!ソイヤ!とはならないでしょう。生活の時間を以前のような日常に戻したようなものを作りたいと思います。」

 

 

――アッパーなものではなくて、当たり前の生活の素晴らしさを描くようなもの、なんでしょうか。

赤間「そうですね、私たちが被災地から発信している、意味合いが大きいのではないでしょうか。自分たちの置かれている状況が、このコンセプトにつながっていくんです。日本の他の地域とは同じようなメッセージは作れる状況ではありません。そこを理解しないで、我々の活動は出来ないのですね。」


――貴重なお話、ありがとうございました!

赤間「いえいえ、聴いてくださってありがとうございました。」