東京都の「年収の壁」対策支援奨励金

【家電コンサルのお得な話・188】東京都は2024年度(令和6年度)に「年収の壁」対策支援奨励金事業を開始し、中小企業で働く女性たちが収入の制約に縛られずにその能力を十分に発揮できるような職場環境を促進している。この新しい取り組みでは、配偶者手当の収入要件という制度の見直しを通じて、女性が自らの労働時間を調整する必要がなくなるようにすることを目指している。奨励金額は1事業主に10万円となる。

「家族手当」を設定している中小企業が対象

対象となるのは、東京都内に本店または主たる事業所を構える中小企業で、就業規則に配偶者の収入要件に基づく「家族手当」を設定している企業である。

奨励金の交付は、(1)企業が家族手当の収入要件を撤廃するか、(2)手当を他の給付に振り替えるか、または(3)基本給に繰り入れる場合に限られる。改定後は、労使協定の締結、就業規則の改正、そしてその改正を労働基準監督署に届出る必要がある。

事業の推進により、企業は従業員の福利厚生を向上でき、同時に「年収の壁」による非正規雇用の問題解決にも寄与するとされている。

これにより、女性が自分のキャリアを自由に築くことが可能となり、企業文化の向上と生産性の増加が期待される。

女性の自己実現と経済的自立につながる

奨励金の提供は、企業にとっては人材の確保と保持のための手段として、また女性にとっては自己実現と経済的自立を目指す機会として、双方にメリットをもたらすものである。

さらに、この制度は働き方の多様性を推進し、家庭と仕事の両立を支援することで、社会全体の労働力参加率の向上につながるものとなる。

給付のための申し込み期間は、24年(令和6年)5月15日~25年(令和7年)2月28日までとされ、募集要項(申請の手引き)を通じて詳細な情報が提供されている。

企業はこの機会を利用して職場環境の改善に取り組むことで、将来的にはより多くの女性が職場で成功を収める基盤を築くことができるだろう。

東京都のこの取り組みは、女性が職場で直面する障壁を取り除き、すべての労働者が公平に扱われる環境を目指している。これは長期的に見て、性別による格差を縮小し、経済的平等を促進する重要なステップとなる。

職場環境の整備を考えている中小企業事業主は本制度の活用を検討してみてはどうだろうか。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

問い合わせ:(公財)東京しごと財団「年収の壁」対策支援奨励金担当

第1回受付期間

令和6年5月15日(水) ~ 令和6年5月31日(金)

電話:03-5211-2315

受付:平日9:00~17:00(12:00~13:00、土曜・日曜・祝日、年末年始は除く)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。