iPad Air 13インチか、iPad Pro 11インチかで迷う。妻からは「大きいのって、昔、買ってもてあましていたよね」という鋭い指摘が

久しぶりに、発売日にアップル製品を買った。最新の「iPad Pro(M4)」の11インチだ。「Apple Pencil Pro」と「Magic Keyboard」もセットで購入した。総額、24万円越えである。タブレット端末に20万円以上を支払うなんて、狂気の沙汰? そうかもしれない。しかし、発売日の5月15日から半月が経過した今、本当に買ってよかったと思っている。その理由について、自分を冷静に見つめ直しながら解説したい。2024年モデルのiPad、iPad ProにするかiPad Airにするか、迷っている「普通の」人の購入のヒントになれば幸いである。

思わぬ理由で買い替え機運が高まる

筆者は初代iPadからの生粋のiPadユーザーである。初代の12.9インチiPad Proが発売された時にも即購入した(その後、メルカリで売却することになるのだが……)。その後、2020年モデルのiPad ProにMagic Keyboardを装着、Apple Pencilとともに愛用していた。

その翌年は、iPad ProのCPUは「A12Z Bionic」から「M1」に進化するというエポックな年となったが、さすがに高価なiPad Proを毎年買い替えるというわけにもいかず、ステージマネージャーは使えるけれど外部ディスプレイは使えない、という不自由な状態でiPad Proを使い続けた。「iPadは機動性が売りなんだから、外部モニターなんて邪道なのよ」と歯噛みしながら(涙)。

2022年にはM2を搭載したiPad Proが登場するが、A12のiPad Proに不自由はなかったのでこれもパスして、「買い替えは来年にしよう」と思っていたら、なんと2023年はiPadの新製品が発表されなかったため、穏やかな1年を過ごせるかと思ったが……。この年、iPad Proの液晶画面の右肩あたりが黄ばみ出した。これはかなりショックだった。

iPad Proの用途の一つとして、エディタアプリを使っての原稿執筆がある。エディタアプリは「LiquidLogic」という高機能エディタを使っているのだが、このアプリ、基本は真っ白な背景なので、画面の黄ばみがすごく目立つ。ダークモードにすればあまり気にならないのだが、一度目の当たりしてしまったらもう知らなかったことにはできない。愛用のiPad Proに不具合があると思うだけで、気分が沈んでしまう。

ああ、どうにかしたい!

修理する?

いやいや、ディスプレイだぞ! 結構な値段になるはずだ。

3年前の機種の修理には、お金をかけたくはないぞ!

でも、今買い換えるとしても1年以上前に発売された機種だ!

それもあんまり嬉しくない!

などと、悶々としていた時に、新しいiPadシリーズ発売のニュースが届いた。よし、こうなれば買い替えだ! となったのだが……。

iPad Air 13インチか、iPad Pro 11インチかで迷う

まず、値段にビビった。2020年に購入したiPad Pro 11インチ(第2世代)は、Magic KeyboardとApple Pencil(第2世代)を合わせても16万円弱だった。対して、2024年版のiPad Pro 11インチモデルは、本体だけで16万円を超える。しかも、手持ちのMagic KeyboardもApple Pencilも使えないので、あわせて購入すると最小構成でも総額24万400円となる。ノートPC並、いやそれ以上だ。

それでも、黄ばんだiPad Proを使い続けるという選択肢はないので、買い替えは必至である。ならば、その金額を出すなら気分を変えてでっかいiPadはどうだ?

新登場したiPad Air 13インチを選べば、Magic KeyboardとApple Pencil Proと合わせて22万6400円。でっかいという新鮮さを手に入れながら、お値段は1万5000円ぐらい安くなる。ということで、iPad Air 13インチか、iPad Pro 11インチかで迷った。

最新チップ「M4」を搭載し、最高性能だけれど見た目がさほど変わり映えはしないiPad Pro 11インチか、性能的には最高ではないけれど今使っているiPad Pro(第二世代)よりもはるかに高性能なM2を搭載し、でかいという目新しさもあるiPad Air 13インチか。

余談だが、今、冷静になって考えれば、かなり頭がおかしくなっていたことがわかる。iPad Pro 13インチとMagic KeyboardとApple Pencil Proの合計価格をベースに考えているのって、変だよね。でも、この時は、それが正常な考え方だと思っていた。

で、妻に相談したところ、

「大きいのって、昔、買ってもてあましていたよね」

との一言。そう、初代iPad Pro 12.9インチを4年ぐらい使っていたのだが、確かに持て余していた。iPadは気軽に持ち歩きたいデバイスなのに、12.9インチはデカすぎてノートPC用のバッグしか入らないのだ。それに、当時のiPad OSは12.9インチの大画面をあまり活かせていなかった。だから、今回13インチを買っても、

「目新しくてワクワクするのは最初だけで、すぐにそのデカさに辟易するでしょ?」

というご意見だった。いや、まさにその通りだ! と思い、13インチはやめにしたのだが、そこで11インチiPad Airにする、という選択肢にはならなかった。今使っているMagic Keyboardが使えるので、Apple Pencil Proを買っても13万6000円と10万円以上も安くなるのに、だ。

その理由としては、頭の中が、「20万円前後を支払うなら」という変な枠組みになっていた、ということもあるが、インターネットの新型iPadシリーズ紹介記事で、しきりにiPad Proの「薄さ」を見せられたから、ということもある。

iPad Airがなんだかヤボったく見えたのだ。何だか、印象操作にやられてしまったという気もする。ということで、iPad Pro 11インチ 256GBモデルとMagic KeyboardとApple Pencil Proを発売日当日、Apple 心斎橋で購入したという次第。

▼6月11日掲載予定・後編に続く

<プロフィール>

西脇 功

3Dデザイナーズスクール(https://3dschool.jp/)学長。製薬会社勤務を経て、1987年にApple社のMacintoshに出会いコンピュータ業界へと転進。IT系企業数社でコンテンツマーケティング、広報・宣伝のプロとして活動。製品導入事例の執筆、オウンドメディアのWebサイト立ち上げからコンテンツ作成までを一人で担当。2020年独立し、合同会社「天使の時間」を設立。3DCGソフト活用のためのオンラインスクール運営や、Webメディアへの記事執筆を行っている。