タイガー魔法瓶がユーザー意識調査を発表

タイガー魔法瓶は、未就学児6歳以下の子どもをもつ30~40代の男女638人を対象に、電気ケトルに関する意識調査を実施した。

やけどのヒヤリハットの原因で「電気ケトル」は約3割

電気ケトルの普及にともない、小さな子どものやけど事故が問題視されるようになり、2021年に「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈についての一部を改正する通達」により、転倒流水試験(転倒した際のお湯の流出量が50mL以下であること)が追加された。この基準に準拠する電気ケトルは、今年8月以降、同基準の転倒流水試験条件を満たさないと製品の製造・輸入ができなくなる。

今回の調査では、自身の子どもに対して、ひやっとした経験(ヒヤリハット経験)がある人は94.3%。そのうち、やけどのヒヤリハット経験がある人は、70.4%にのぼった。また、乳幼児の子どもが、やけどをしないよう普段から心がけている人は93.1%という結果になった。

やけどのヒヤリハット経験エピソード第1位「熱くなった調理器具に触れそうになった/触れてしまった」は、半数以上が経験があると回答。続いて第2位は「炊飯器の蒸気に触れそうになった/触れてしまった」、第3位は「電気ケトルを触りそうになった/倒しそうになった/倒れてしまった」となった。

やけどのヒヤリハット経験がある人のうち、その原因が「電気ケトル」だった人は29.0%にのぼった。

子どもがやけどしないように気をつけていること第1位は「調理中は近寄らせない」こと。その数は65.2%にのぼった。第2位は「子どもの手が届くところに熱くなる物を置かないようにしている」で、57.5%が該当。そして第3位は「電気ケトルでお湯を沸かしている時に近寄らせない」だったものの、該当者は約3割にとどまった。

また、電気ケトルによるやけどのきっかけにもなりやすい「調理器具のコードは、子どもの手の届かないところに配線している」について実践している人は、23.8%にとどまった。

電気ケトルの使用時に、やけどにはいたらなかったものの“危なかった経験”について、当時のエピソードについて聞いたところ、第1位「子どもが高温になった本体の表面を触ってしまった」、第2位は「子どもが蒸気に手をかざしてしまった」、第3位「お湯を器に入れる際にお湯をこぼしてしまった」となった。

電気ケトルの「転倒」によって、やけどをしそうになった経験のある人は48.7%にのぼった。

子どもがやけどをしそうになった経験がある人に「当時の電気ケトルの置き場所」について聞くと、43.6%は「子どもが手の届かない場所」に設置していたことが判明。4割以上が「子どもの手の届かない位置」に置いていたにもかかわらず、やけどのヒヤリハット経験があった。

子どもの手の届かない位置に電気ケトルを置いていたにもかかわらず、やけどの危険があった理由を、緑園こどもクリニック院長の山中龍宏先生に聞いた結果、電気ケトルを使用する際のNG行為は「電気ケトルの決まった置き場所がないこと(電気ケトルの定位置が度々変わること)」だということがわかった。「子どもの手の届かない位置」に置いていても、使用中に一時的に置き位置を変えたタイミングでやけどするケースが大半だという。

以上を踏まえ、お湯が沸いた後「電気ケトルの置き場所が定位置から変わる」ことがある人を調査したところ、51.8%が該当する結果に。半数以上が“やけど予備軍”であることが判明した。

自宅の電気ケトルに搭載されている安全機能について聞いたところ、全く把握していない人が最も多く、その数は31.8%にのぼった。電気ケトルでやけどする主な要因について着目すると、「転倒お湯もれ防止」が搭載された商品を選んでいる人は22.9%のみ。続いて「本体が熱くなりにくい」機能は31.2%、「蒸気が出ない・少ない」機能は18.7%のみという結果に。電気ケトルの安全対策については、関心が低い傾向があることが浮き彫りとなった。

「電気ケトルの新安全基準に、2021年から転倒流水試験(転倒した際のお湯の流出量が50mL以下であること)が追加された」ことを知っている人は23.7%にとどまった。

子どものやけどや事故に至る危険性について情報収集している人は42.7%で、電気ケトルのやけど事故の報道・ニュースなどを知っている人も43.0%。いずれも4割程度にとどまる結果となった。【タイガー魔法瓶「電気ケトルの新安全基準に関する意識調査」から引用】