名家、旧家と言っても、名家は“社会的に貢献をした人物”を輩出している家。名声を得ており、視点は常に外に向かっています。
一方、旧家は土地に密着しており、代々長く続く家。自分の家や血筋を守ることが目的で、視点の方向は内側です。
この二つは似ているようで異なっていますが、「家を受け継いでいく」という考えは同じです。
一般家庭に育った人にとっては「名家? 旧家? そんな旧態依然な家なんてあるの?」という感じですが……。
妻は身を粉にして働き、家に尽くす。ただただ、家の名誉と存続だけが使命なのだそう。ヒエ~恐ろしや。
今回は、そんな“一般家庭からかけ離れた家”のエピソードをご紹介します。
「老舗の長男と結婚しました。義両親とともに毎日忙しく働いていました。とにかく商売に厳しく、普通の家庭に育って普通の会社勤めをしていた私は気苦労が絶えませんでした。
そんな中、妊娠が発覚。喜んで義母に報告すると『どうするんだい』と怖い顔をされ、予想外の答えに固まりました。『お店に影響が出る』『私も赤ん坊の世話で忙しくなるじゃないの』ということです。どうするもこうするも、産むに決まっているのに。
『おめでとう』が当たり前だと思っていたので、落ち込むどころか家出したくなりました。夫に言いつけましたが、一瞬『なんだよそれは』と怒って終わり。すぐに忘れたようです。結局、臨月直前まで働きました。つらかったです」(45歳・女性・北関東)
「おめでとう」と言わない義両親の話を、ときどき聞くことがあります。今は第一声で「おめでとう」と言うのがマナーですが、義母くらいの年齢だとその意識がないのかもしれません。
それに加えて、自分の労働やお店のことが気になってしまったのでしょう。腹が立ちますが「そういう言い方をする人」と思うしかなさそうです。
夫に抗議しても、親には言わずそこで終わることも多くあります。育てられた環境によると思われますが、親に強く言えず優しいのが、息子なのかもしれません。お店を一緒に営んでいるからこそ、よけい言えないのでしょうね。