ステップ2 複写する文献を指定する
ちなみに筆者が依頼したのは、以下の4作品です。いずれも雑誌に掲載されて以降、一度も単行本化されていない(もしくは絶版となっている)貴重な作品ばかり。ちゃんと複写してもらえるのでしょうか……。
[今回遠隔複写を依頼した作品]
・『街と、その不確かな壁』 村上春樹
作品概要……『文學界』1980年9月号に掲載された中編小説で、その後に刊行された『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の試作的な作品。後に村上春樹自身が「失敗作」と言及しており、以降は単行本にも全集にも収録されていないため、ファンの間では知る人ぞ知る幻の作品とされている。
・『豚と薔薇』 司馬遼太郎
作品概要……歴史作家として知られる司馬遼太郎が、推理小説の分野に挑戦した異色作。1960年に単行本が発売された後、角川小説新書の『古寺炎上』に収録されて以降は文庫化されておらず、『司馬遼太郎全集』でも未収録となっている。現在『豚と薔薇』を収録した上記の2冊は数万円から数十万円で取引されており、司馬作品の中でも入手が難しい作品のひとつとされている。
・ブラックジャック「快楽の座」 手塚治虫
作品概要……雑誌『週刊少年チャンピオン』1975年1月20日号に掲載された漫画『ブラックジャック』の単行本未収録回。脳に電子装置を埋め込まれた鬱病の少年が、笑みを浮かべながら人を襲っていくというショッキングな内容で、初出の『週刊少年チャンピオン』を入手する以外は今のところ読む方法がない。
・ちびまる子ちゃん「まる子、夢について考える」 さくらももこ
作品概要……雑誌『りぼん』1995年2月号に掲載された『ちびまる子ちゃん』の単行本未収録回。何の脈絡もなくクラスメイトが死亡したかと思えば、突如謎の王子さまが登場したりと、ふだんのまる子ちゃんからは想像がつかない支離滅裂なストーリー展開が当時のファンの間で物議を醸した。